‪『怠惰の罪』La Paresse (episode in Les Sept péchés capitaux) 1962‬

‪『怠惰の罪』La Paresse (episode in Les Sept péchés capitaux) 1962‬

ロッセリーニが怠惰だったかは知らないが、物語的語りに重要な意義を与えない怠惰な人間こそは、たたえられるべき視覚的人間である。『怠惰の罪』は視覚的人間が映画を作った映画だ。殆ど準備をしない即興演出、同時録音、自然光を生かすロケーション中心の撮影。その映画が怠惰に物語るのは、視覚的人間自身である。倦怠、茫然としていて、現実感も乏しく生気もなく、幻想というほどのものでもないがすこしなにかの感覚にとらわれているこれらの状態は、異邦人としての視覚的人間が棲家とする大いなる多孔性の空間である。 f:id:owlcato:20190429143108j:plain