ゴダールの『女と男のいる舗道 』(Vivre sa vie 1962)

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ゴダールの『女と男のいる舗道 』(Vivre sa vie 1962)

ジャン・ドゥーシェは、溝口健二監督の『赤線地帯』(1955年)の影響なしには本作は存在しないと指摘しているという。アンナ・カリーナの渾身の演技をみよ。ゴダール映画はアンナ・カリーナがいなければ成り立たなかったとおもう。衝撃を受けるのはやはり、ナナが場末の映画館で、カール・テオドール・ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』を観て涙を落とすショット(アルトーが出演している。) そしてシャトレ広場 - 見知らぬ男 - ナナは知識をもたずに哲学する場面である(place du Châtelet - l'inconnu - Nana fait de la philosophie sans le savoir)「ナントカなんとか最後の...」とか「ナントカの最初の...」と反復されるような思考なき表象に絡みとられることはない。ナナにおいて言葉が思考を以て持続しているのだ