ジョイスの’自分で決めた亡命’ self-imposed exile

アイルランドからヨーロッパに出たジョイスの’自分で決めた亡命’ self-imposed exile を読みとれる一文。亡命といっても、1920年代のパリの知識人と芸術家たちの亡命とは随分ちがう。アイルランド人は英語を教える日雇い労働をさがしてやむを得ず国外を出るが、ジョイスも例外ではなかったとみるひともいる。「女房と逃げやがった」(ran away with hunself)の妻ノラアイルランドとおもっていたし、言説の空間化であれ(『ユリシーズ』Ulysses)、言説の時間化(『フィネガンズウェイク』Finnegans Wake)であれ、アイルランドのほかのことは本に書かなかった。’自分で決めた亡命’ self-imposed exile、これは勝算もない亡命であることをジョイスは隠しているが、むしろアイルランドから逃げた 

アイルランドのなかの亡命と考えるべきではないかと思うのである。


He even ran away with hunself and became a farsoonerite, saying he would far sooner muddle through the hash of lentil in Europe than meddle with Ireland’s split little pea. 

ーJames Joyce Finnegans Wake