津田左右吉

‪宗教社会学のマックスヴェーバはカウンターウエイトの語を以てピューリタニズムのあり方を分析した。ピューリタニズムを構成していく世界は現実世界に対するカウンターウエイトを作っていく。昨日は子安氏はカウンターウエイトのことに触れたうえで、津田左右吉の「我が国民思想の研究』とは明治国家と同じ重さをもった大業だとおもったと話した。明治国家に耐えらないからかくも厚い本を書いたのではないかと。同様に、『仁斎論語』は、安倍の世界を直視するのが嫌で、逃げないでやっていくカウンターウエイトだと語った。この四年間は、仁斎論語と津田論(「『大正』を読み直す」、津田・国民思想論)でやってきた。現在中国の読者を獲得しているというポストモダン孔子が発明されていく思考の時間に、「津田左右吉」はすんでいたのである。


戦後日本の民主主義は五箇条の御誓文の第一条(万機公論)に内なる始原を見いだしながらその国民的定着がはかられていった。しかし津田左右吉にとって問題は、「王政復古」ー天皇政治責任を押しつけるーは責任をもたぬ政府を成立させてしまうことだった。それなのに、グローバル時代における明治維新の再評価が起きているというの?

(子安氏講義「津田、国民思想論」とメモ)