2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

オリヴェイラー監督「家族の灯り O Gebo e a Sombra」の感想文

嘗てオリヴェイラーはゴダールに言った。「私は概して、映画のそこが好きだ。説明不在の、光に浴たす、壮麗な記号たちの飽和」。今日観た「家族の灯り O Gebo e a Sombra」からは、そんな光が演劇的場に介入する事件性のことを思った。この映画はまさに、ポ…

冤罪は何故起きるのか?

冤罪は何故起きるのか? 弁護士は検察側の証明を反駁すれば十分なのです。ところがこれについては多くの人々に理解がなく、弁護士が真犯人をさがし出せなければ反駁した事にはならないと思い込んでしまっています。だから冤罪事件を取り扱うのは大変困難なこ…

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」(東京演劇アンサンブル)の感想文 ー その3

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」(東京演劇アンサンブル)の感想文 ー その3 モーラーは痛さを感じていました。最後に、'右側'から街頭に現れたとき、吹雪く寒々とした痛いほどの寂しさから逃げ出したくて、友と出会う為に降りてきてしまったひとりの人間の姿…

冤罪事件の裁判はなぜ、かくも時間がかかるのでしょうか?

冤罪事件の裁判はなぜ、かくも時間がかかるのでしょうか?昔、免田事件を解決した人権弁護士 (倉田氏) から直にきいたことがあります。途中で、裁判を引き継いでいく検察官達が無罪だと気がつくのであるが、(犯人を処罰しなければ気が済まぬという)世論の反…

日本のマスコミはあまり報じようとはしません? 写真だけでも載せてください!人々は映像があれば考えることができますから

日本のマスコミはあまり報じようとはしません!? 状況にたいして説明する適切な言葉を、読者に与えることができないのかもしれません。が、そういう場合であっても、写真だけでも載せればいいのです。人々は映像があれば考えることができますから。アメリカ…

食べ物が豊富にあるのに飢える人々が大勢でてくるというシステム?

食べ物が豊富にあるのに一方で飢える人々が大勢でてくるというシステム? 十九世紀半ばにアイルランドに大飢餓が起きたときも、百万人が餓死するその傍らで、実は大量の食料が英国の船に積まれていた。これと同様に、現在飢えているアフリカに食料が不足して…

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演) ー その2

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演)ー その2「屠畜場の聖ヨハンナ」では、舞台中央にある装置に向かって投射された文字列が電報の如く走るのは、ツイッターを思わせます。資本の側にある新聞とテレビが必ずしも伝えてくれな…

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演)

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演)公の空間とは、未来の世代に大切なことを伝える空間のことである。この公の空間は、人びとが妨げられずに自由に接近できる'道'として思い描かれてきた。そうして、例えば、1939年の'子供…

紛争地域から生まれた演劇シリーズ; 「修復不能」(アフガニスタン)の感想文

東京芸術劇場アトリエウウエストで、 公家義徳演出「修復不能」(アフガニスタン)のゲネプロを観劇しました。紛争地域から生まれた'わたし'に、誰にも似ていない誰かが近づいて来ます。意味を意味で刻むポストコロニアリズムではなく、重大な事は対立する民族…

アルフォンソ・サストレ「さるぐつわ」(東京演劇アンサンブル研究生公演) の感想文

アルフォンソ・サストレ「さるぐつわ」を観劇。パソコンもInternetもない、舞台上のテーブルを囲む研究生の若者たち。スペインの矛盾を孕む過去の両義的解釈を証言した芝居に挑戦した。ここから、怒りを以て、公演パンフで日本の諸問題について書いていく。…

Andras Schiff アンドラーシュ・シフによるベートーベンのピアノ・リサイタルでかんがえたこと

昨夜はAndras Schiff アンドラーシュ・シフによるベートーベンのピアノ・リサイタルに行った。福島へのチャリティー・コンサートであった。6つのパガテル、第32番、そしてディアッべリの主題による33の変奏曲を弾いた。最後は、バッハのゴールドベルグ変奏曲…

ペンローズを考える

予測不可能・計算不可能な決定論について思索する、このラディカル数学者は、神秘主義との境にいるようにみえます。しかし素人の考えですが、かれがいう、計算が複雑過ぎて予測不可能という考え方はそれほど非科学的とは思えません。ただし日本での彼の紹介…

アイルランドとはなにか?

アイルランドとはなにか? アイルランドの8年間で徹底的に教え込まれたのは、どんな内側にもさらに外側と内側があるということ。 独立後もアイルランドの政府は、イギリス政府のような政府としてあらわれました。英国憲法とそっくり同じ憲法を据えるというそ…

<信>とはなにか?

<信>とはなにか? 自己の出生の秘密を知りたいとき人々が依拠していく<信>とは、見られず聞かれることもない<私の世界>にあります。そこで祈りが成り立つのだとおもわれます。しかし<私の世界>に留まるままでは生物的限界を超えれません。このようにして、こ…

<信>とはなにか?

<信>とはなにか? 自己の出生の秘密を知りたいとき人々が依拠していく<信>とは、見られず聞かれることもない<私の世界>にあります。そこで祈りが成り立つのだとおもわれます。しかし<私の世界>に留まるままでは生物的限界を超えれません。このようにして、こ…

なぜふたたびサルトルなのか?

なぜふたたびサルトルなのか? 最高裁の無原則的逸脱に沿って、安倍の信仰する自由をいう意見がありますね。しかし憲法の構造から、国家を人権享受主体としてあつかうのは無理があるというものです。ところで神道の歴史は儒家的影響下にあり、したがって心に…

ヨーロッパの政教分離とは何であったか?

ヨーロッパの政教分離とは何であったか?ヨーロッパの明の中心は、ルネッサンスと宗教改革を契機に、懐疑精神と内省の領域へと移行しますが、その過程で、対抗として生じるのが反宗教改革です。教会権力は、バロック的芸術家を結集しこの彼らに祭祀的崇拝の…

Jeanne Moreau ジャンヌ・モロー

Jeanne Moreau ジャンヌ・モローがダブリンのIFCにきたとき、友人のフランス人が対談のインタビューしましたから、そのときの発言はよく覚えていますね。ジャンヌがブニエル映画でデビュー。元々コメディー・フランセーズの舞台俳優で、映画撮影について何も…

トロッタ監督「ハンナ・アーレント」の感想文

トロッタ監督「ハンナ・アーレント」の感想文 「ハンナ・アーレント」の鑑賞では、 同監督の「ローザ・ルクセンブルグ」との連続性を意識して観ることができた。(そうやって観てなにが悪い?)ローザ・ルクセンブルグを演じた女優バルバラ・スコヴァしか、…

中国の問題を通して、アイルランドの歴史について考え、さらに現在マイノリティーを抑圧している日本の問題を考えています

中国の問題を通して、アイルランドの歴史について考え、さらに現在マイノリティーを抑圧している日本の問題を考えています。恥ずかしながら、私の認識に間違いがあるかもしれませんが、原発の問題を考えるときはデモに集まった人々の中から考えたいですし、…

近代としての原発体制をいかに乗り越えていくか

近代としての原発体制をいかに乗り越えていくか 近代としての原発体制をいかに乗り越えていくか3・11 以降、三か月間のあいだ全国新聞は、街頭における数百人規模からはじまった反原発の意思表示をまったく無視しきったわけですが、大江健三郎がこの国の知識…

3・11に、生きること

3・11に、生きること 3・11 以降、小さな人間たちは現れたのは、外部からでした。大きな人間の決定に介入するために、新しいものを加える行動が必要だとかんがえたのです。自由とは、このように、外部の人々が新しいものを加える行動を共有することです。ま…

他者からの<許し>、他者の前の<約束>

他者からの<許し>、他者の前の<約束>。 自分達が何をしていたか自覚なく罪を犯かした場合、その国民が永久に自己を責めることは避けられません。この非人間性に陥る呪縛を断つのが、他者が与える<許し>です。この他者からの<許し>は、将来において過去の過ち…

寛容の精神、他者への信頼の形が、運河という社会的エンジ二アリング

17世紀アムステルダムといえば、寛容の精神。カトリック教会、プロテスタント教会、ユダヤ教のシナゴーグが向き合っています。17世紀以来計画されたのは、どのような他者が来るか分からぬというリスクを負いながら、だからといって最初からその他者を拒んで…

戦争推進した日の丸の前で起立しない人間としての良心

戦争推進した日の丸の前で起立しないこと、それはなにを意味しているか? 三年間殆ど毎日、顔と顔との出会いであった。その最後の大事な日に、愛したこの顔たちを前に、人間的に人間らしい人間としての良心が、起立しないことを決めたのだ。 「国旗国歌法」…

'[討議] 柄谷行人+丸川哲史 (帝国・儒教・東アジア)' に疑問を呈す。

[討議] 柄谷行人+丸川哲史 (帝国・儒教・東アジア) に疑問を呈す。 天安門前広場の抗議の声も空しく、中心なき自己差異化する差異体系が、大東共栄圏<マダム・ボバリーとしての中国論>という意味の病へ行く。70ー80年代に出た最も良質な知識人が拵えた21世紀…