2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大杉栄とはだれなのか? ー アナキズムの具体的他者の思想

大杉栄とはだれなのか? 1、 書店の棚に本が少ないことでわかるのですが、関東大震災の話題を除けば、大正という時代は、明治と昭和とくらべて人気がありません。自由を謳歌する種々雑多のものが湧いて出てくるがかえってつかみどころがない漠然とした大正。…

悪口を言い合って争っている場合じゃない!下の世代と上の世代の連帯が必要!!

悪口を言い合って争っている場合じゃない! 下の世代と上の世代の連帯が必要!! アベノミクスに期待する下の世代は、(上の世代ほどには)資本主義の体系を認識しこれを批判することがないのですが、そのかわりに、(社会民主主義の危機に無関心な上の世代が無…

リゾーム的「ー性」「ー的」

リゾーム的「ー性」「ー的」 「国会を私物化した自己宣伝は許されない☹という言葉が通じる相手かしら」という見事なわが皮肉の言葉を英訳しようとして、「国会」の語のまえに定冠詞theを添えるかで考え込んでしまいました。theをつけるかつけないか、それが…

ギリシャの選挙

わたしはパリでの追悼デモにため息をついたのは、言論の自由、表現の自由の主張に対してではありません。追悼デモのなかに、国家(フランス)の敵対的他者にたいして揶揄するイスラム嫌いの愛国者ーネットに触発された意志表示の形でーが国旗を降って存在して…

なぜ、いま大正を読み直すのか?日本がつくった戦争をかんがえるためです

なぜ、いま大正を読み直すのか? 日本がつくった戦争をかんがえるためです 今日の日本人のなかに、自分自身をふくめて、日本帝国主義と天皇ファシズムがもたらした戦争と植民地主義にたいして、自分がほんとうにそれほど一方的な被害者の立場と一体だったこ…

18世紀のネットワーク ー 商業の大阪、政治の江戸、学問の京都

18世紀のネットワーク ー 商業の大阪、政治の江戸、学問の京都 私は専門家ではないので間違ったことをいうかもしれませんが、幕藩体制の構造から、ヨーロッパ社会史では「所有権」と意味されるはずのものが、二つのモメントに分裂していきました。いわば公的…

パラドックスのゴダールの映画史

パラドックスの映画史 「映画史」にどんな映画がいくつあるのかという問いも本質的なものではないとおもいます。「映画史」が「映画史」を言う主体(ゴダール)に触発する意味が問われるべきだからです。見ることの複数性の意義を教えるとき、正反対の方向で、…

河上筆「貧乏物語」を読む

河上筆「貧乏物語」を読む エピクテトス的に、大杉栄は、この道(監獄)の内部の他(脱出する自身の思想)を問うた思想家でした。大杉はこう言いました。「大逆事件の審判中、閣僚、大臣は一人も傍聴に来なかった。最初は捕らえた者二十四人に死刑判決を下して国…

ファシズム批判の使命をになって70年代にデビューした批評精神はどこへ

ファシズム批判の使命をになって70年代にデビューした批評精神はどこへ 何が<先>で何が<後>なのか?国家が成立する前にファシズムは出現することはありませんでした。国家が<先>でファシズムが<後>です。常の事として、近代主義者の口から、ファシズムの形態…

表象批判 ー 「言葉と物」のフーコは本当にそれほど非マルクス主義的だったのか?

渡辺一民氏が「苦労してうまく訳した序文」と言っていたが、この序文のなかで分析されているベラスケスの「侍女」ほど、画家と<背後>の複雑な関係を表現した絵はない。ポスト構造主義の批判精神は自身の言説の依る<背後>も問いの括弧にいれたとき、この絵画…

<第三帝国>のまえに、また<大東亜共栄圏>のまえに、まず国家があったのである。逆ではない。

二人の下宿人 近代主義の「家」(国家)には二人の下宿人、「健全」ナショナリズムと「不良」ナショナリズムがいる。前者は大家(近代主義者)と仲良く食事をするが、後者は、15分の約束なのに一時間もシャワーを浴びている。いつまでも部屋からでてこない。窓か…

外交政策をかんがえるー 人質問題を契機に

安倍が公然とイスラム国敵視をカイロで表明してしまったことを、撤回するかどうか国民が憲法の平和原則に照らして考えるべき問題だとおもいますが、中近東専門家は<したり顔>で、払うか払わないとか、 高すぎるとかもっと安くなるかの話ばかり語りますね。株…

ファシズムは多種多様 ― <家族的類似性>(Wittgenstein) として相互に類似し交差しあった諸領域

ファシズムは多種多様 ― <家族的類似性>(Wittgenstein) として相互に類似し交差しあった諸領域 ファシズムは多種多様です。イタリア、ドイツ、日本、イギリス、フランス、ソビエト、文革の中国、マッカーシズムのアメリカと比較すると、家族的類似性とよぶこ…

他者の問題ー 人質問題をどう読むか?

他者の問題ー 人質問題をどう読むか? 絶望的に、安倍がイスラエルの旗を背後に会見を開いたことの絶対的鈍さに本当にあきれました。この男は、隣国の痛みが判らないような、日本の内部の中にしか通用しない時代遅れで、(ただの孤立なのに勘違いした) 独善的…

大衆の暴力の構造 ーフランスでも日本でも

大衆の暴力の構造 ーフランスでも日本でも 国家の敵対的他者を標的にした<表現の自由>で何が意味されるのかについてはこれ以上深読みしても仕方ありません。三色旗の有難い意味が判らない者は<表現の自由>の意味も判らないのかと教えてくる文明の当惑のジェ…

二十一世紀のリゾーム

「二十一世紀の資本」に書いてある話は当たり前とおもうのですけど、世界資本をコントロールできる単一の超国家的連帯が困難だと予言している一文を読むときに、ここで私をとらえるのはつぎの問いです。つまり単一の超国家的連帯が不可能ならば、それにかわ…

なぜ美術館は存在するのか?

なぜ美術館は存在するのか? フランスの美術館の絵の数に圧倒されます。ルーブル美術館での空港並みのチェックのとき、「なぜ美術館は存在しているか?かつては帝国が自らの力を示すため、現在は(その帝国を打ち倒した)近代国家が自らの力を示すため」と苦々…

魂(心)の不死 ー カントはいかに考えたか?

魂(心)の不死 ー カントはいかに考えたか?パリでのあの巨大な追悼デモは、「敵」(ヨーロッパの排他的他者イスラム)をペンで殺した魂の不死を祀る靖国的なものを感じました。遠い国での出来事のようにはおもえません。国旗をみて正直嫌な気持ちになりました…

なぜ暴力が起きるのか?ー「シャルリー・エブド」誌をめぐる事件からなにを学ぶか?

なぜ暴力が起きるのか? 「シャルリー・エブド」誌は、イスラム教の宗教的権威を揶揄しているのではなく、他のどの宗教的権威も揶揄しているという点を力説する意見に、「だからそれがどうしたの?」と聞きたくなりますね。ヨーロッパが自らの独善的揶揄を、…

二一世紀の集団肖像画の意味

二一世紀の集団肖像画の意味 集団肖像画の傑作は、17世紀のレンブラントの「夜警」でした。帝国の王と貴族ほどには裕福ではなかった、モデルの台頭してきた '市民' たちはお金を出しあって自分たちの姿を描いてもらったのが、集団肖像画の始まり。このような…

マーテル塔の'日本知識人' ー 柄谷行人と佐藤優

ジェイムス・ジョイスの「ユリシーズ」のテレマコス挿話における<マーテル塔>は、近代のいわば'外界なき'前衛精神の決定的勝利を意味していたといわれます。言い換えれば、<マーテル塔>は、「ユリシーズ」が書かれた1920年代ヨーロッパ知識人の特権的な場所…

古代ギリシャにおいて民主主義は演劇とともに発達したといわれるが、それはどういうことか?

Question. 古代ギリシャにおいて民主主義は演劇とともに発達したといわれるが、それはどういうことか? Answer.アテネの市場で互いの素性もよく判らないワイワイガヤガヤ、ウロウロウヨウヨが歴史上初めて誕生しました。商業と交通のおかげで言葉の交換が可…

アゴタ・クリストフのユーモラスで風刺的な小戯曲『ジョンとジョー』ー東京演劇アンサンブルのスープ劇場

アゴタ・クリストフのユーモラスで風刺的な小戯曲『ジョンとジョー』ー東京演劇アンサンブルのスープ劇場 ・アゴタ・クリストフのユーモラスで風刺的な小戯曲『ジョンとジョー』(堀 茂樹氏訳)を、劇団〈東京演劇アンサンブル〉が上演します。今日ブレヒト…

21世紀は民族の問題は無くただ市民の問題しかないということ

21世紀は民族の問題は無くただ市民の問題しかない 啓蒙思想のヴォルテールは、ローマ文化の優位性は映像の多義的解釈にあると言いました。ところで風刺画というのは、フランスの言論の自由の歴史の一部だったから、常に民主主義と一体の問題として構成されて…

Joyce, telemachus

Stately, plump Buck Mullogan came from the stairhead, bearing a bowl of lather on which a mirror and razor lay crossed. A yellow dressing-gown, ungirdled, was sustained gently behind him by the mild morning air. He held the bowl aloft and …

記号としての<口髭>を読む

記号としての<口髭>を読む 政党の大きな人間が闊歩する時代にノスタルジーを感じるような、ポストモダンのモダン化の気持ち悪い方向に絡みとられるなと自身にいいきかせています。安倍の側で政治が非政治化したら、他の誰でもない自己の意志と権能が政治化し…

<注釈> からはじまったお正月

<注釈> からはじまったお正月 東京演劇アンサンブルのブレヒト小屋で初めてお会いした渡辺一民氏に、「海外では、ジョイスが分からなくなったときは「言葉と物」(渡辺氏が訳した)を虎の巻的に注釈にしました」と告げると、氏がヴィーコについて興奮して喋り…