2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

自由を言う言葉と意志

このままではファシズムになるよと危惧する言葉を読むと、もうファシズムになっている事態にまだ気がつかないのかと呆れてしまう。国会前の抗議に行って、全体主義反対!と叫んだら孤立するか囲い込まれてしまうかもしれないほど日常の隅々まで、自由を言う…

ダブリン女性の言葉

この写真を見たときに私に語ったダブリン女性の言葉を忘れることはないだろう。「現在ここに女性たちが囚人になっている」という言葉の意味を知るためには、独立後の新国家のナショナリズムのもとで女性たちが抑圧されることになった事情を知る必要がある。…

「有徳者必有言」 (「論語」憲問第十四) について

「有徳者必有言」(「論語」憲問第十四) 現代語訳「徳ある者は必ず言有り」 「だが言葉がなくてはならないときに言うものが有徳者である」(伊藤仁斎の大意、子安氏訳)。ここで「有徳者」という言葉がやはり近代のわれわれにはひっかかかる。2500年前の孔子の…

PANOPTICON

現在ダブリンに植民地時代のパノプティコンが博物館として残されていています。ここで、この雰囲気を利用して、シャークスピア「テンペスト」が上演されたそうです。初期のタイプのこのパノプティコンは、罪を犯したら(買ったら)罰で償う(罪の価格通りに支払…

作家の問題を構成するのか、それとも作家が住処としている近代の問題を構成するのだろうか?

だから言語(ランガージュ)は、透明であるためにのみ実在し、十六世紀に判読すべき言葉(パロール)として言語に厚みをつけ、言語(ランガージュ)を世界の物ともつれあわせた、あの人知れぬ手ごたえを失ってしまっていた。しかもまだそれは、今日われわれが自ら…

Zizek on The Paris Attacks and Refugees ー西欧の外部の悲惨に対しては人間的感覚が麻痺しはじめたのではないかということを心配しております。

パリのテロ攻撃に巻き込まれた死んだ人々に同情することは尊重すべき人間的な感情だとはおもいます。しかし関心がパリの悲惨だけに留まってしまうとき、あえて言うと、その不幸な出来事はたった一日だけのこと。他方で米国とヨーロッパの中近東攻撃とそこか…

ダンスの意味とはなにか?映画が照明で光を書く芸術だとしたら、ダンスとは身体で距離を書く芸術といえるのではないか。そんなことをピーナ・バウシュの演出をみておもうのであった

恵比寿時代は六本木の映画館では彼女の映画を観ていましたが、ピーナ・バウシュPina Bauschの『カフェ・ミュラー』をロンドンの舞台で実際にみたとき、ダンサーというのは、空間の距離を占拠している椅子たちを蹴散らすエイリアンのようだときがつきました。…

大阪をおもう...

大阪をおもう... 勉強不足で大阪のことはよく知っているとはいえません。間違いを恐れずにいうと、大阪の事情に即した多様性の要求に沿った結果ではなかったかと考えました。だから厄介なんです。もし橋本を否定しきってしまうと(追放すると)東京の近代的中…

THE OBLIQUE CITYー身体と建築との間の関係を問うこの問いから、現代建築が自らを斜線としてのあり方として自己規定するに至った思考の歴史を考えることになりそうです

THE OBLIQUE CITY 建築家だから必ず図面を引くかというとしそう単純なことではないようです。例えばカントは建築家として通用する知識をもっていたということがポストモダン建築家から指摘されていました。難しいですが、人間学の哲学者は哲学の建築を書いた…

FOUCAULT; L'homme et ses doubles

FOUCAULT; L'homme et ses doubles 博物学が生物学となり、富の分析が経済学となり、なかんずく言語(ランガージュ)についての反省が文献学となり、存在と表象がそこに共通の場を見出したあの古典主義時代の<言説(ディスクール)>が消えたとき、こうした考古…

「左翼リベラル」はいかにサバイブするのか?

「左翼リベラル」はいかにサバイブするのか? こういう政治的な事柄はリベラル派憲法の教科書には書いてはいなかったが、護憲「左翼リベラル」が自民党政治の前近代的権威体制の内部改革を求めるとき不可欠だったのは、米国からの圧力だったのだ。だから求め…

吉本隆明

吉本隆明 人間は自分の権能が及ぶ範囲の事柄については配慮することができますけれどね、常の事として、自分の権能が及ばない範囲のところではどうしようもないことが起きてしまいます。圏外の事に関しては責任を感じるまえに自己の無力を感じます。というか…

「我考える、外部に, 我存在す」

ホホー、父親の眼差しから、最近母親の眼差しに似てきたと不安に駆られた男がプロフィール写真にいきなり侵入してきたが、みなさんの梟猫は元気ニャッ。リア王もこうして外に追放されたときみたいな心境だったのかな..。と、なんだか世の中はねー、なんでも…

裁判所は秘密保護法を違憲であると積極的に判断すべきだとおもいます。権利のない国に反対です!

権利のない国に反対です! 裁判所は何が法であるかを発見し法を適用します。その法が憲法の「法」である場合が、憲法裁判(違憲裁判)です。しかし裁判所は国 (立法府の国会)に委ねるのが民主的だと考えたときは何が法であるかという憲法判断をあえて回避する…

「イタケ」挿話、「人間とその分身」、「「漢語」とは何か」

市民大学講座「20世紀精神史」のときだったかはっきり覚えていないが、東大文学部時代の同級生丸谷才一と一緒に授業を抜け出しては駒場喫茶店でそれぞれが相手に向かってフランス文学史と英文学史について喋りまくったという思い出話を池袋駅喫茶店で渡辺一…

Itacha Ulysses

ITHACA, JOYCE ' ULYSSES' 1 What parallel courses did Bloom and Stephen follow returning? ブルームとスティーブンは帰途いかなる平行線をとったか? Starting united both at normal walking pace from Beresford place they followed in order named L…

リアルなものー消すことができない痕跡

リアルなものー消すことができない痕跡 アメリカのようにイギリスでも原理主義ブームが吹き荒れていて、当時、'やさしい聖書入門'の類の本がベストセラーであった。ロンドンのICA講演会のとき、これを憂う聴衆からの質問にたいして、ジジェクがあたえた答え…

第三次世界大戦前夜、ホントか?かくも反復してくる、世界の不条理とは何か?

ここで正直私はどれくらいアイルランドでの限られた経験と知識をイスラムに適用していいのかよくわからない。戒むべき大きな誤解もあるはずだ。だが間違いと非難を恐れて何も言わぬことはできないと考えるようになった。第三次世界大戦前夜とはホントか?か…

パリ同時爆破事件の意味

パリ同時爆破事件の意味 2005年ロンドン同時爆破事件では、当初はイギリスが戦争している勢力による組織的テロだと一方的に報じられたのですけれど、国外で軍事訓練をうけたアラブ系「イギリス人」が実行犯だということがわかってきました。中には小学校で先…

現代語訳「古事記」ブームの意味

Le philosophie est une lutte contre la maniére dont le language ensorcelle notre intelligence. (1921,Wittgenstein) 現代語訳「古事記」ブームの意味はなにか? 21世紀において、これからだれが、哲学の脱神話化と覚醒の意義を言ったウィットゲンシュ…

現在天に流通することがない私の孤独な言葉だけど、ここ、ネットのデジタル立て看で言っておくべきことがまだまだあるとおもう。それはこうだー

かつて大学の立て看たちのメッセージはどれも政治的で、それを言う人だけに意味しかなかったことが多かったけれど、それらは、文字を読む人間の、公共圏に繋がりたい思いの徴であった。 現在天に流通することがない私の孤独な言葉だけど、ここ、ネットのデジ…

恐怖の誕生 - いつ恐怖が誕生したのか?

恐怖の誕生 公共放送の大切な報道番組の一つが、自民党への配慮から来年3月に打ち切りになるという。それもNHK職員の証言では、安倍友達の財界の人間が決定したというではないか。酷い話だ。ジョットの地獄図をみると、言論の自由に平然と干渉する安倍自民党…

ウンベルト・エーコの'トマスーダンテ'の線でとらえなおされた普遍言語としてのepiphany(顕現、本質は現象するという考え方)

「フィネガンズウエイク」」(1939)を読んではじめて、「ダブリンの人々」(1914) がわかちゃったというアメリカ人がいた。「ダブリンの人々」はジョイスの脱神話化の仕事だからだ、ということをいいたかったのだろう。(だが、そうだからといって、「フィネガ…

ダブリンのジョット

言葉はイメージと一緒に学ぶのが楽しいですね。外国語もそう。初期ハリウッド映画の劇場は、ニューヨークに到着した英語が分からない移民で賑わったのでした。まるで母親が赤子をするように、映画が言葉を喋ろうとする者たちの面倒をみたということですね。…

映画「暗殺の森」をいかに読むか?

もし主人公のマルチェロが戦後の法廷で裁かれるとしたら、それは何の罪だろうかと考える観客が多いだろう。私も時々考える。確かにこの知識人はファシズムと反ファシズムとの間で揺れ動いていた。だが転向そのものについては問われることはないはずだ。ヨー…

映画から、沖縄の意味を読むことができるのだろうか?― 「マイケル・コリンズ」(ジョーダン)、「麦の穂をゆらす風」(ローチ)

東京新聞のコラム二ストは'沖縄からの問い'を緊急に書くためには、どうしても大英帝国から独立したアイルランドの戦いを描いた映画に言及しなければならなかったようだ。しかし本当に、映画から、沖縄の意味を読むことができるのだろうか?二ール・ジョーダ…

映画から全体主義を読むー粧し込んだ若者達で大いに賑わう新宿土曜の夜に、モラヴィア小説『孤独な青年』を1970年に映画化したベルトルッチ監督『暗殺の森』を久々にみた。

映画から全体主義を読む 粧し込んだ若者達で大いに賑わう新宿土曜の夜に、モラヴィア小説『孤独な青年』を1970年に映画化したベルトルッチ監督『暗殺の森』を久々にみた。ただ残念なことに、'暗殺の森'という日本語題がピンと来ない。原題は、Il conformista…

概念を展開する(つづき) ― 竹内好・溝口雄三から、山口昌男を媒介にして、柄谷行人に至る線についての試論的な察考

今回は、竹内好・溝口雄三から、山口昌男を媒介にして、柄谷行人に至る線についての試論的な察考である。ここでは、思考のイメージを構成する基底として、「空間性」「時間性」「単一性」という三つの基底を想定する。さて「空間性」は分割の概念にかかわる…

カオスの斧 - サミュエル・ベケット小説の最後の場面みたいに、<帝国>アメリカは、イラク、リビア、アフガニスタンで殆ど抵抗できない「脆弱なシステム」(チョムスキー) を破壊してきた

カオスの斧 動乱が起きているらしい遠くの街 (1916年ダブリン)の点滅、あちらこちらが燃えている様子がみえる、静寂の夜の海で、小舟の無抵抗の人々に斧をもった男が振りおろした恐ろしい殺人行為。このサミュエル・ベケット小説の最後の場面みたいに、<帝国…

「思考のイメージ」とはなにか?ー 概念を展開する

概念を展開する 思想史ではなく哲学でもなく、さて「思考のイメージ」とはなにか?「思考のイメージ」から、幸徳秋水・大杉栄と小田実を結ぶ直線のことをおもう。直線といっても、平面上ではなくむしろ曲面上に沿ってひかれる線をかんがえる。基底とは線を構…