2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

破れ傘 (3)

破れ傘 (3) 「画家は絵から心もちさがったところにいる。モデルに一瞥を与えているところだ。あるいは、仕上げの筆を加えようとしているのかもしれない。だがもしかすると、最初のひと筆がまだおろされていないのかもしれない。(・・・) 彼はいまわれわれの…

たくさんの言葉を住処とするたくさんの真理。(切断された) たくさんのフィルムから多方向に繋げられていくたくさんの真理、

ひとつの真理しかない、したがって、ただひとつなのだから分けることができないような真理しかないという思い込みは案外、根強いものがありますが、それにたいして、別に考えることはできないでしょうか?たとえば、真理はどこを住処にしているのでしょうか…

ギリシャの危機と日本の危機、アンチゴーヌという名の精神の反乱

ギリシャの危機と日本の危機、アンチゴーヌという名の精神の反乱 東京演劇アンサンブルの研究生公演、「アンチゴーヌ」(ジャン・アヌイ作、志賀澤子演出) を観劇しました。ジャン・アヌイのフランス語で書いた台本は、ドイツ語のヘルダーリンのブレヒト台本…

普遍的に開かれていること、と同時に、差異が開かれていること。これは、包摂されまいとする市民の思想として「議論できる」と思います。

' THE MIRROR & THE MASK'と題した本に紹介されている絵画を掲示板に投稿していますが、PORTRAITURE IN THE AGE OF PICASO という副題がついている理由はなにでしょうか?例えば、私が「美しい」と感じる未開社会の仮面を、「醜い」と感じる人に説得できると…

'憲法記念日'は憲法の記念日ならば、忘れられていることだが、それは自然法の記念日でもあるだろう

'憲法記念日'は憲法の記念日ならば、そうであればこそ、忘れられていることですが、フランス革命を契機に新たに問われることになった自然権・社会契約論の記念日でもあるのです。そうして、憲法が憲法であるのはただ、憲法の語りがこうした自然権・社会契約…

「戦争立法の議員たち、戦争神社へ行く」と報じなければならないまでのところにきたのではないですか 、大げさでしょうか ?

何度でも言います.... 靖国神社は、明治政府が戦争を行うために設計した、顕彰施設としてありました。戦争が終わっていなければならないのに、そこで現在A級戦犯が祀られているとは、いったいどういうことでしょうか?もし弔ふだけならば、国がつくった千鳥…

破れ傘 (2)

破れ傘 EPRの問いとは何か?わからない。ただ破れ傘的にいうと、こうである。 生存と死はいかに、人間的尊厳をもって、同時に存在できるかという問い。 つまり「ユリシーズ」のモリーの独白に書きこまれたように、 身体に表象された共同体が、これ以上排除し…

東アジアのグローバル・デモクラシーと市民の思想史の展開ー「帝国か民主か -中国と東アジア問題」

レジスタント運動のサルトルのジレンマは、かりにファシズムをやっつけてもそのかわりに資本主義が勝利したらいったい意味があるのだろうかというものでした。このサルトルのジレンマとは逆に、反グローバル資本主義の意思表示であった、2009年ロンドンでのG…

No general ethics, no universal rights

No general ethics, no universal rights レジスタント運動のサルトルのジレンマは、かりにファシズムをやっつけてもそのかわりに資本主義が勝利したらいったい意味があるのだろうかというものでした。このサルトルのジレンマとは逆に、反グローバル資本主義…

破れ傘 (1)

破れ傘 (1) 大したことはなくても、外国語の本もそれなりに読めると、訳本の正確さはどうでもよくなるものです。そもそも外国語が母国語に翻訳できないと思って高をくくるからですが、興味深いことに、これと同様に、思想の内部に何かをおくひとは時々、外国…

「NHKといえどもに民主主義に反するような放送をする自由はない」といわなければならないでしょうに ! 安倍自民党はどこの国の政治家たちよりもファシズム

報道の自由を侵害するのか? 「NHKに国の見解に反するような放送をする自由はない」を言うこれらの安倍自民党の政治家たちは、だれが知る権利を侵害してきたのか、だれが表現の自由を侵害してきたのか、そしてこれらの侵害によっていかに民主主義を損なうこ…

愛川欽也を称えよう

愛川欽也を称えよう 人間はいかに、「この道」に閉じこまれた自己の袋小路から脱出するために、外部にある領域を、自己の世界の中心にしようとするか。かくも動物の領域が芸術の表現において政治的な意味をもつことすらあります。そうしてワグナーのジークフ…

歯医者のアリストテレース「弁論術」

アリストテレース「弁論術」 歯医者がこわいのです。どうも、子供のとき麻酔を使わないドイツ人の先生に治療を受けた記憶が、ダブリン時代の治療で蘇ったのでした。麻酔をうってもらったはずなのに (笑)。自慢するわけではありませんが、歯医者ならば、わた…

だれが「吉田松陰」を作ったか ー 洗脳マシーン、 '国民的膨張'の昭和ファシズムの「松陰」像

だれが「吉田松陰」を作ったか ー洗脳マシーン、 '国民的膨張'の昭和ファシズムの「松陰」像 私は五年間テレビがないから見たことがないが、観ている人たちの話をきくと、NHKの大河ドラマが依っているのは明らかに、昭和のファシズム的「松陰」像のようであ…

2009年のアラン・チューリングを読む

2009年のアラン・チューリングを読む 四年間ロンドンにいましたからイギリスについてそれなりに色々な見方をもっていますけれど、しかしかえってコンパクトにまとまったイメージがなくて困っている次第です。が、実はイギリス人も何が英国かということについ…

グローバル資本主義時代の大学の危機ー「国立大に国旗掲揚・国歌斉唱要請へ 首相答弁受け文科相」

「国立大に国旗掲揚・国歌斉唱要請へ 首相答弁受け文科相」 劇団の憲法集会のとき、裁判をした都立高校の音楽の先生方からお話しをききました。歌わせたい文部省に電話しては、「君が代」の意味をたずねるのだが、毎回絶対に教えてくないのだそうです。もっ…

白紙の本 (10)

白紙の本 ヨーロッパは、自ら自身のことを語るとき、どうしても、叙事詩「ユリシーズ」という故郷への帰還の言説に依らなければならなかった。この言説がそれを再び書くジョイスに触発した意味は、帰還とは正反対の意味であった。つまりジョイスは帰るために…

白紙の本 (9)

白紙の本 絵画について書いているときは、美術館にある絵画ではなく、寧ろ映画の絵画を思い浮かべております。それらの絵画は、部屋から部屋へではなく、ショットからショットへという過程のようなものです。個人コレクションは別ですが、世の中にある絵はか…

白紙の本 (8)

白紙の本 ヨーロッパでは、ある画家の絵というのは、本人の絵、弟子たちが描いた絵、他の画家が真似たもどきの絵、ただよく似た絵、その画家の影響下に描かれているはずなのに類似していない絵、同じ部屋におかれている理由か不明な匿名の絵などに囲まれて存…

子安宣邦氏の台湾講演について

子安宣邦氏の台湾講演について (1)思想史はその対象に、思想をもつ学問です。重要な点は、思想史が外部の多様性から、思想の成立を批判的に問う方法性に依ること。思想史は、 「日本思想史」と「日本思想」、この両者が、20世紀の言説を構成する上で互いに切…

Picasso et les maitres ー ピカソがえがいた他の巨匠の絵

ピカソがえがいた他の巨匠の絵 東京の、どこでもいいんだけど、ヨーロッパからある画家の絵をもってきたXX展に行くと、絵の少なさに呆然としてしまう。展示されている絵が少ないからではなく、その画家の同時代の画家たちの絵を見ることができないから。例え…

白紙の本 (7)

白状すると、絵を描くときはどうも手が勝手に動くのであります。 目で記憶したものが手に直に伝わるような、 この速度とリズムのなかで、 勇気があればたとえ文法を間違えても、 その場で思い浮かんだ言葉たちを隙間に書き添えてしまうのが 一番よいのです。…

軍国主義の現在、偶像破壊の愛のコリーダが思想史に必要?

軍国主義の現在、偶像破壊の愛のコリーダが思想史が必要 アイルランドで学んだこと、考えたことはたた、このひとつです。記憶というのは、絶えず発明することが必要で、発明をやめてしまうと化石となってしまうということ。さて子供時代を回想する大島渚の自…

ブレッソン「やさしい女」の感想

ブレッソン「やさしい女」の感想 今日は新宿で映画「やさしい女」を観ました。映画を見終わったあと、私の気のせいでしょうか、六十年代後半のパリのあの言い難い雰囲気は永遠に変わらないようなのですが?ただ、モノの価値を測るという目的がはっきりしてい…

ヨーロッパのテクストを日本で読むことの意味はなにかという問いがあらわれてきたということ。その日本は、外部の東アジアから、常に相対化されること。これが大切ではないかと

当時は学生時代に新聞で毒にも薬にもならない記事を読まされたと覚えていますが、西洋思想の中村雄二郎は、子安先生によると、(子安先生は日本思想史で) 岩波書店の全体の編集の方向を話し合う会議で一緒に働いたことがあったそうです。この大事な会議の場で…

言説の関係が地層の中のように反転すること

言説の関係が地層の中のように反転すること 丸山真男の「心の中のxx」でいわれる意味は、彼が勝手に想定した日本文化の「基底」に一致するとき、そのXXを実体化してしまい、それを取り除けなくなるという危険性を丸山はどれほど念頭に置いていたでしょうか、…

司法当局の秘語

司法当局の秘語 原発と安全神話を推進した政財官マの原発事故は、ほかならない、司法当局の原発事故でもあったのです。ところが、「原発事故の前に今回の規模の津波が発生し原発の主要機器が浸水する危険性を認識すべき状況にあったとは認めがたい」と言うよ…

白紙の本 (6)

奇妙な観念に囚われるー テレビで中継された戦争の勝利で湧くこの国で、 詩というものが悉く消滅しつくし、 映画が投射されていたことを思い出すことが禁じられる近未来のこと。 歴史修正主義。映画は最初からテレビで見られていたと洗脳される。 ヨーロッパ…

白紙の本 (5)

白紙の本は、散歩へ行くー 一国語で書かれた文の意味を眠らせるために 問題は何を消すのか?そこに何を何で書くのか? 平仮名を消したとき、つまり流れを切断したとき 別の流れに加わる、粒子の飛翔のような漢字たちの沸騰。 まだ市民を語る言葉としては、 …

4月1日は、ウソについてかんがえる日でもあります

4月1日は、ウソについてかんがえる日でもあります ヒトラーの時代は政治家が俳優のようにふるまいましたが、レーガン以降逆に俳優が政治家の真似をし、その結果今日テレビの画面のなかでは政治家と俳優の区別がなくなりました。これは大変危険なことです。ハ…