2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

サィードとバレンボイムの対話を読む

資本主義のボストンか、あるいは社会主義のベルリンへ行くのか?と、このことが繰り返しいわれてきた、私が8年間すんでいた、南アイルランドというのは常に、この米国とEUという、将来二つの帝国として現れるのではないかと予測されるその原初形態の諸基底に…

なぜ人間性を否定するヘイトスピーチがはじまったのか?

なぜ人間性を否定するヘイトスピーチがはじまったのか? 今回現地で大変お世話になった台湾の学生たちに、日本の一部全国新聞や全国書店が助長するヘイトスピーチのことを告げると驚いていました。台湾では少なくとも新聞と書店が公に少数民族を差別する言説…

台湾で学んだこと、考えたこと

台湾で学んだこと、考えたこと グローバル資本主義が現れたとき、資本主義は同じではなくなりました。このとき、市民に起きたことかが何かはわからないが、ただこれから起きることだけははっきりとわかります。つまり、市民が分散を余儀なくされたとき、一国…

思想はいかに自立するのか? - これからだれが'自発性'を語るのかーー

秘密保護法でなにが言われているのかさっぱりわかりませんが、これから起きることははっきりとわかります。「構造と力」の著者は最近は、繋がりすぎてもヤバイというようなことを言っているようですが、これは、何のためにかわからない集団的自衛権の戦争と…

何を言うのか?舞台が終わったあとに始まる

何を言うのか?舞台が終わったあとに始まる 1935年、フランクフルト。ある医者のユダヤ生まれの妻が出国を決意します。列車の中でのように板上の俳優が舞台の道に沿って移動していくのを観ながら、観客は通話中のこの妻がユダヤ人の公職追放が始まる中、いか…

演劇の舞踏

「盲目の言葉と沈黙する映像」は、ゴダールとデュラス。そして「音楽に従属しない舞踏」といえば、ケージとカニングハムである。「ロラトリオ」John Cage: Roaratorio (1979) は、ケージがアイルランドの至る場所で偶然に録音した音を再構成した音楽サーカス…

近代の知に囚われたときでも知の巨人はいつも本当にそれほど巨人なのか?

近代の知に囚われたときでも知の巨人はいつも本当にそれほど巨人なのか? ハーケンクロイツの旗のもとでフルトフェングラーがベートベンを指揮したことは否定できない事実です。他方でこれについては、かれは他の音楽家達とユダヤ人のアメリカへの亡命を手伝…

アイルランド文学の「父なき息子の怒り」を読む

父に怒る息子 アイルランドの反抗者の言葉をどう読むかですが、ドイツの反抗者は、計画的で秩序をもった父たる国家にたいして計画的に秩序を以て反抗するといわれますが、アイルランドの反抗者の場合は、計画も秩序もないアイルランドに計画なく秩序のない反…

'八紘一宇'発言を考える

どうも大衆的リアクションで終わる気配ですが、それにしても、安倍をはじめ、侵略も無かったとまで公に言おうとする歴史修正主義者の発言を原因として、こんなに東アジア諸国が緊張しているいま、これ以上の最悪な言葉があるだろうかという思いですね。腹が…

映画の感想文 ー シュレンドルフ監督「ディプロマティック」

日曜日に渋谷で、「ブリキの太鼓」のシュレンドルフ監督がつくった「ディプロマティック」を観ました。なるほどあのように、パリのレジスタント運動の反撃が連合軍に先行したからこそ、戦後のフランスは米国に従属しない立場を保てたことがわかります。映画…

われわれが本を読んでいるときに、まさしくこのときに、本がわれわれを読んでいるのはなぜなのか?

ファシズムの問題は考えなくてよいのでしょうか? 1930年代のファシズムは、貧困の拡散と単一的価値観の集中から生じました。21世紀においてファシズムの再来は心配しなくていいのは、戦後のいわゆる高い教育水準でそれなりに価値観が多様となったからなので…

「言論を伴わない活動は、いわば、その主語を失う」(アーレント)

「言論を伴わない活動は、いわば、その主語を失う」(アーレント) 科学者Xと科学者Yのもとにパリから手紙が届く。ブレヒト「第三帝国の恐怖と貧困」の中の「物理学者」で描かれているふたりの物理学者に、アーレントが言うような知識人の沈黙したグロテスクな…

人間の危機とはなにかを問う市民の劇場 ー東京演劇アンサンブルの「第三帝国の恐怖と貧困」の感想文 2

人間の危機とはなにかを問う市民の劇場ー東京演劇アンサンブルの「第三帝国の恐怖と貧困」の感想文 2 1、東京演劇アンサンブルは、大学のベンヤミン研究者をブレヒト小屋に招いて当時のドイツの政治状況がいかに現代日本に似ているのかについてかんがてみる…

人間の危機とはなにかを問う市民の劇場 ー 東京演劇アンサンブルの「第三帝国の恐怖と貧困」の感想文 1

人間の危機とはなにかを問う市民の劇場 ー 東京演劇アンサンブルの「第三帝国の恐怖と貧困」の感想文 (1) 1、敗戦から10年、1954年に創立した東京演劇アンサンブルは、18人の平均年齢20才、「企画も深くあったわけではない、若者の思いで発足した集団だった…

もしフロイトが生きていたならば、 日本の領土ナショナリズムをどう分析したか?

もしフロイトが生きていたならば、 日本の領土ナショナリズムをどう分析したか? 精神分析学は投射作用という心理現象を扱います。たとえば、あなたはある考えにとりつかれているのですが、あなたはそれを認めません。理由はそれがあまりにも辛いからとか、…

日本のネオファシズムNeo-Fascism in Japan

冷戦以降に台頭するネオ・ファシズムが起きてくる条件をあげてみますと、 長期的不況 (Industrially advanced economies hard hit by the recessionary slump)、 左翼政党への不信感 (A discredited Left alternative)、 語る民主主義の終焉 (An end of cons…

白紙の本 (4)

白紙の本 20世紀の芸術史を回顧すると、 芸術理論は脱構築の思想の影響の下に盲目の言葉の様相を呈するほど饒舌の方向にいくとき、反対に、作品は益々沈黙していったのである。 理論と作品が出会うのは、詩のほかにおいてない。と、思想家の芸術理論を失った…

ファシズムの問題とは近代の問題である

ファシズムの問題とは近代の問題である われわれはファシズムについてかんがえているときに、実は、ファシズムそのものをかんがえているのではありません。このことを理解するためには、例えば、画家がモデルを描くときのことを思い浮かべてみます。画家は、…

近代におきてくる、近代からしかおきてこない, ナチスのファシズムと天皇ファシズム

近代の西欧世界の奴隷制度とは、資本主義の本源的蓄積のために行った収奪のシステムです。ポストコロニアリズム系の研究のなかには、ナチスのホロコーストは米国の黒人奴隷貿易の植民地主義といかに似ていることをいう指摘もあります。<ファシズム>の根底に、…

ヨーロッパの眼 ー東アジアの緊張緩和促す、独首相来日「平和的解決を」(朝日新聞)

ヨーロッパの眼ー東アジアの緊張緩和促す、独首相来日「平和的解決を」(朝日新聞) 日本は憲法9条を利用して一方的に軍縮すれば(過剰な富を破壊すれば)、互酬性の原理が働き、負い目を感じて恥ずかしくなった他国も必ず軍縮に向かうはずだと柄谷行人において…

だれが市民か

ヨーロッパは理念型と共に<市民>と<国民>をつくった。ロシアは人民という名のメタ<民族>を、米国はハリウッド映画の<大衆>を、いや、<アメリカ人>をつくった?わたしの学校時代は市民を意味するはずの<公民>という科目があったが、<市民>とは絶対に言われな…

ヨーロッパの文学を日本から読むことはなにを意味するのか?

アイルランドに8年間もいたのに、今回のことに関して、アイルランドからの視点で書いていない自分自身に苛立ちがありましたから、アイリッシュの言葉がストーレートに自分に突き刺さりました。中近東のイラクに軍事介入するアメリカによってアイルランドの中…

国民道徳とは、ふたたびあらわれる教育勅語のこと

国民道徳とは、ふたたびあらわれる教育勅語のこと 「年間20ミリシーベルト以下の被曝は我慢しろ」「賠償打ち切り」は、国のためになぜ死ねないのかをいう国民道徳の形じゃありませんか?また、戦争する国のために喜んで死ねと、愚かにも、もし教室でこのよう…

「賃労働と資本」をいかに読むのか ー 消えた哲学的・政治的の問題意識は再びどこに現れるのか?

「資本は賃労働を前提とし、賃労働は資本を前提とする。両者は互いに制約し合い、両者は互いに生み出し合う」Capital presupposes wage labour; wage labour presupposes capital.They reciprocally condition the existence of each other ; they reciproca…

言説と戦略

安倍自民党への無条件ともいえるほどの大衆的共感はどのようにかんがえてみるべきでしょうか?敵を敵と見做すことができない「過ぎた性善説」のような慣性の如き観念形態の背後に、言説の問題をみないわけにはいきません。民主主義の危機と戦争の危険性をい…

白紙の本 (3)

白紙の本 翻訳する一文一文がどの国のどの言葉か定かにならないほど左翼的アナーキーか?それとも反動的な、右翼の骨董品的迷宮なのか?しかし「フィネガンズ・ウエイク」は「ユリシーズ」の近代性を失ったのではない。転向にみえても、神話のイェーツのアイ…

詩 ; 白紙の本 (2)

白紙の本 (2) 白紙の本のなかで詩人のときは、 哲学者と画家が終わらせたものをはじめようとする。 詩においては、哲学の呼吸のうちに終わった愛の囁きが再び始まり、...光の筆遣いが塗りつぶした闇も再び始まる。 白紙の本が哲学者のときは、 詩人と画家で…

台湾へウロウロウヨヲヨと行く

ジョイスの「自分で決めた亡命 self-imposed exile」は、本当に変な言葉だ。アイルランドを脱出したという意味のほかに、アイルランドを国外へ連れ出したと指摘する意見もきく。なるほど、たしかに、外部の位置から初めて書けるアイルランドの全体像があるの…

国民道徳の恐怖と貧困

国民道徳の恐怖と貧困 Q. この国で一番ヤバイ言葉はなんですか? A. ヤバイというのはどういう意味ですか? Q. 日本人が心の中から洗脳された言葉です A. ああ、それならば、吉田松陰の「至誠」です。 Q. 吉田松陰ならば、現在国営放送の大河ドラマであつか…