2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

原沢未来氏のピアノリサイタルの感想文

原沢未来氏のピアノリサイタルの感想文 'THE PIANO WOMAN IVの案内文の冒頭は、'『忘却 (Oblivion) 』から『めぐりあう時間たち(THE HOURS』へ' でした。ご説明によると、今回は映画を利用した映像と音楽のミステリアスなコラボレーションを行うということ。…

雍也第六

雍也第六 第五章 「心」イコール「仁」、と解してよいのか、それが問題です。朱子的には「性」と「情」を結合したものが「心」。これにたいして、常のこととして、仁斎は「性」をきっぱりと否定します。仁斎は、「仁」への向きをもった「心」のあり方を問題…

近代の超克について

近代の超克について 東京国際映画祭のいかにも自民党的なPRがいうようには「日本」そのものが称えられたのではありません。そんな話は一度もきいたことがありません。唯一の映画は存在しません。だから、多様性の方向に向かって、<日本的>映画を表現した監督…

帝国デモクラシー vs.グローバルデモクラシー

帝国デモクラシー vs.グローバルデモクラシー 柄谷行人は、グローバル資本主義の問題を考える上で、民族と国家の問題を知るべきだという。「資本論」の限界はなにであったか?それは資本の問題だけを論じていて、民族と国家の関係を捉えていなかった点にある…

語る民主主義は自らをいかに選ぶ民主主義から差異化していくか

語る民主主義は自らをいかに選ぶ民主主義から差異化していくか 民主主義は万歳する選ぶ民主主義しかないのでしょうか?選ぶ民主主義だけではついに、選ぶことすら無意味になるところまできたのではないでしょうか。原発が約束した'豊かさ'は何であったのか、…

徂徠と徂徠的マルクスがいかに凄いか - 方法としての「復古」

方法としての復古 荻生徂徠によると、物と名の分離とは名だけが一人歩きすることをいう。たとえば、時間を経て、「仁」がどういうものと対応していたのかわからなくなってくる。名にたいして儒家は恣意的な解釈をあたえてきた。が、先王の時代においては物と…

なにを知るのか? ー 田中伸尚氏の<講演> 自由と抵抗をめぐって ー「大逆事件」と現在、を読んで

なにを知るのか? 冤罪を知ることは、国家が行った犯罪を問うこと。が、「大逆事件」の再審請求は1961年に起こされても、最高裁が再審請求棄却をしたために「大逆罪」による死刑判決は今もまだ法的には有効、無傷です。つまり大審院判決は今も生きているとい…

英語

英語 アイリッシュがアイリッシュである所以は、発明品Audio protester against the war という彼一流のアイロニーにありました。笑いながらどんな厳格なコントロールも穴をあけるぞというrebellious spirit 。隙間をつくるのですね。これについては、porous…

ユダヤ人とわたし

ユダヤ人とわたし 私は三歳から七歳まで4年間オーストラリアにいました。帰国後の三年後に英語は完全に消滅しました。日本語に入れかわったのですね。さて当時のオーストラリアは日本人が500人足らずでしたから圧倒的少数派。まだ白豪主義の影響でパブリック…

21世紀精神とはなにか?

21世紀精神とはなにか? 国家の事情で外の世界との多様な関わりを奪われて国家の中に囲い込まれてしまった少数派の人々にどんな「特権」があるのでしょうか?これについて、同化主義について疑いもしない日本知識人たちがはじめる言葉とは常にこういうもので…

福沢諭吉は1860年代にロンドンに行っています。大英帝国時代のロンドンですから、もしぶらりと街の図書館に足を運んだら、そこで世界中の言語の本をみて圧倒されたにちがいないのです。

ドイツの哲学者ヘーゲル(1770~1831年)が自身の初版本に当時の書評を抜粋して書き込んだ本が、都内の古書店で見つかったそうです。ところで福沢諭吉は1860年代にロンドンに行っています。大英帝国時代のロンドンですから、もし諭吉がぶらりと街の…

21世紀は自らをいかに書いていくのか ? ーゴダールのグローバル・デモクラシーとしての肖像画

21世紀は自らをいかに書いていくのか ?ーゴダールのグローバル・デモクラシーとしての肖像画はじめにー ゴダールはだれか?ゴダールの五十年代。モノー家追放に​帰結した、混乱のパリ時代の後、ダンデイな青年となる。​ブルジョア両親の厳格なモラルと、時…

昭和はなにを書くのか?

昭和はなにを書くのか? 二十世紀にアイルランドは何を書くのでしょうか?最後のひとりまで誰にも読ませる言語に向かおうとすればするほど、益々誰も読めない本を書いていくというのは大変皮肉です。本の言語の構成は、翻訳において元の何語から翻訳すべきか…

大正はなにを書くのか?

大正はなにを書くのか? ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し ー萩原朔太郎「純情小曲集」(大正14年) 明治の巨人と昭和の巨人のあいだにはさまれてた大正はそれほど存在感がありません。書店の棚にも、関東大震災の話題をのぞいて、大正の…

グローバル・デモクラシーの思想史

世界精神の五十年代・六十年代、そして'68年'に至った重要な闘争。運動の挫折、戦後民主主義の近代に対する決定的見直しが起きてきたのに、これらの経験と反省をまったく無視する形で、70年代に大正デモクラシーの言説が普及してきました。この言説は、<戦争…

子安宣邦氏の挑発的ラディカル<大正>論

子安宣邦氏の挑発的ラディカル<大正>論ー10月11日の早稲田大学生教室での講義「なぜいま<大正>なのか」の一部を簡単にご紹介いたしますと ・ヨーロッパの近代史のズレは、日本のような後進国において再体験された。たとえば、ロシア革命が直面していた問題を…

societyの訳語に、福沢諭吉の訳語'人間交際'がありました。これは明快な訳といえないでしょうか。

'社会'と名のつくものは全部、大正のときに生まれてきました。'社会政策'、'社会運動'、'社会主義' 等々。かつて、このsocietyの訳語に、福沢諭吉の訳語'人間交際'がありました。これは明快な訳といえないでしょうか。ちなみに'社会'の'社'は元々土地の神の…

新しく登場した、「帝国の亜周辺」という形式化されたナショナリズムの時代遅れな言説 - 自らを縛る日本のファウスト達

「資本論」の原理論的読みは、ファウスト達に市民的主体を与える神話になってきました。メフィストは約します。純粋に、原理的に読めば、君たちのコンプレックスである'近代化の遅れ'を贖えると。そうすると、自信をつけたかれらのなかには、「帝国の構造」…

読むことの快楽、見ることの快楽、学ぶことの快楽

読むことの快楽、見ることの快楽、学ぶことの快楽 「論語」のなかで本当に孔子が言った言葉がどれだけあるのかは本当はわかりません。孔子の死後、後世に書き足された言葉が多くあるのですね。書き足されたり、削られたり、ふたたび書き足されたりと、本とし…

集団的自衛権はなんのための侵略戦争なのか?

集団的自衛権はなんのための侵略戦争なのか? イラク戦争を観察すると、簡単に国外に出た軍隊はいかに、戦争が終わっても、帰還してくることが難しいかです。国民が世界地図のどこにあるのか指をさせないような国々に行くかもしれない、米軍のあとにしたがう…

Ulysee gramophone を読むことは、 反時代的に、多様性にたいしてHello!と言うことの倫理性を読むことにほかなりません

Hello! アイルランドに入ったとき純粋異教徒のこの私にも(笑)、デリダ的ジョイシアンからは、Hello!を連発されました。ジョイスは、傘の形をしたスピーカーを通して Hello!と呼びかけると棺桶に繋がる蓄音機 gramophoneを書きました。文学の倒錯に陥る滑稽…

戦争の作り方 (整理してみました...)

戦争の作り方 (整理してみました...) 1、領土問題の存在。領土問題の解決は戦争によってしか解決してこなかった歴史を理解しないこと・理解させないこと。'国土'を求める排外主義2、復興幻想。失業の問題は戦争の景気によって解決でき、また他に選択がない…

なぜ平和賞が憲法9条に?ー平和賞のメダルはサッカーでいうところの'レッドカード'だから

なぜノーベル平和賞が憲法9条に? 平和賞のメダルはサッカーでいうところの'レッドカード'だから <本文> アイルランド時代でしたが、ノーベル平和賞は、北アイルランドの対立する政党達の代表者達に受賞させました。本来の意味で受賞に値する政治家もいるこ…

ジャック・アタリ著「世界精神マルクス」を読み終えて

ジャック・アタリ著「世界精神マルクス」を読み終えて 現在は失望のあまり、このネットにも、あたかもよき時代を懐かしむ言葉が頻繁にながれてきます。しかし現在は、敢えてこのノスタルジーを捨てたいとおもいます。ジャック・アタリが指摘するように、二一…

安倍自民党はいったい何がしたいのかさっぱりわかりません !ー <米軍支援、世界規模に。「周辺事態」削除へ>

建前的な理念の呈示すらないまま、安倍自民党はいったい何がしたいのかさっぱりわかりません。が、超急いでとにかく、アメリカ軍の一部になってしまえ!という事実をつくりたがっているというかれらの焦りのことだけは。あるいは、それ以上のことかも。(これ…

香港の声なき声とわれわれ

国の秩序に反するから立ち退きしたまえ!は、国に本当の意味で秩序がなければ理性の知を動かせません。国が乱れているからこそ、立ち退かない愚者としてふるまうのですから。国に都合がいい「公」から身をひき、そうして晴れでも「傘」をさして街頭に立つの…