2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オリジナル?コピー?

ロンドンのカフェで声をかけてくる隣人から、「なぜ大英帝国は失敗し消滅したといわれるのに、世界中の人がここにやってくるのか、なぜみんなが英語を学びたいのだろうか」と聞かれたときほど当惑し不愉快になることはありません。が、繰り返されるこの嫌な…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.28

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.28 ”われわれは道具のことを悪く言うつもりはない、ただ私はそれが使えるものになってほしいのだ。危機は道具のうちにではなく、われわれの手の弱さの方にあるのが、概して真実であるにしても、機械のリズムに身を任せ…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 17

言葉と物のコンパクトな世界 No. 17 「人間とその分身」とは何か?「言葉と物」の入口にさりげなく呈示された謎の絵画にそのヒントがあるというのだろうか?で、もしあなたが、鏡が構成する場、自身の鏡像を眺めるモデル(画家)について洞察をもって熱心に…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 16

言葉と物のコンパクトな世界 No. 16 純粋な思考は内部化された声が響く場所にしか成り立たないとするのは形而上学の果てしない夢だったかもしれない。そういう場所は「起源」と表象されてきたのである。この場所に絶えず帰還するのは声である。声そのものが…

漢字論とはなにか No. 2

漢字を受容した時代の約千年後、17世紀の京都からは、12、13世紀原書の漢字と、漢字仮名交じり文で考えながら、東アジアの知のために、中国文明と対等な思想、朱子学批判の漢字テクストを書いた儒者たちがあらわれました。例えば、「童子問」がそういう本…

「沖縄の勝連城跡からローマコイン 海上交易で流入か」について

あらためて思うことは、琉球は囲まれない海上貿易に属していたのですね。シューレアリスムのバタイユは古代ローマのコインを収集していて、ロンドンでその展示をみたことを思い出しました。ずーっと見ているとなにか一つ一つの金属片が過去に存在したであろ…

KYOTO 1693 (古義堂)

KYOTO 1693 by takashi honda

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 16

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 16 世界中の言語に翻訳されている「ユリシーズ」。世界中に存在するジョイス読みは、電話のブルームが呼びかけるように、外からやってきた他者に"hello"と声をかけるべきだという。予定調和的とはいえない、おそるべき偶然の…

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 15

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 15 Did Bloom discover common factors of similarity between their respective like and unlike reactions to experience ? ブルームは両者それぞれの体験に対する反応の類似点および相違点を通じて似かよった共通要素を発…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 15

言葉と物のコンパクトな世界 No. 15 ー人間とその分身、言語(ランガ―ジュ)の回帰 古典主義時代の知が、合理主義的なものであり、ガリレイとデカルト以来<力学>に絶対的特権をあたえ、自然の一般的秩序づけを想定し、要素や起源を発見するほど根源的な…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.27

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.27 ”思考する者いれば、行動する者もいるというが、真の人間の条件とは、手で考えることだ。” ・映像が観念に先行する。街頭の映像とともに、ド二・ド・ルージュモン「手で考える」(1936)の言葉が引かれる。「手…

カフェ童子問

カフェ童子問

安倍首相は喝采を求める独裁者でないとしたら、まるで一国皇帝のつもりですかあ?対抗的に、一国帝国の防衛戦のつもり?

喝采を求める独裁者でないとしたら、まるで一国皇帝のつもりですかあ?この気持ち悪い呼びかけは、この男が全国から警官を沖縄に集めているのとパラレルにみえて仕方ありません。対抗的に、一国帝国の防衛戦のつもり? ->衆院本会議での所信表明演説で、壇上…

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 15

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 15 「公」の英語のほかに、隠蔽されている色々な種類の英語がある。言葉の意味を書いてある辞書なんかむしろ存在しないほうが普通と考えた方がいい。ダブリンに行って初めてそのことを知った。だから単語をどう発音するかは…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.27

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.27 "今まさに思想は、その本当の姿を取り戻す取り戻すべきである。思想にとっては危険極まりなく、現実を変容させる力をもった姿を。「創造するところでこそ私は真である」と、リルケは書いた。” ・私は究極的にどこに…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.26

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.26 ’近代的共同体の最終論拠にして、最終基盤である、窮乏。ありとあらゆるわれわれの惨事、思想、行動、さらにユートピアでさえ、背景をなすのはそれだ。確認しておくまでもないが、重要なのは独裁者の思い浮かべるこ…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.25

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.25 ”数多くの可能性をものにしたが、自慢の自由をどうすればよいのかよくわかっていない国家と、いくつかの戦争の後に大衆革命を成し遂げたり被ったりした国家。言論の自由、つまり愚痴をこぼす自由はあっても、深い情…

論語の世界 No.15

論語の世界 No.15 「顔淵問為邦」(衛霊公第十五第十章)はいかに読むか? 岩波文庫の金谷訳は、「顔淵が国の治めかたをおたずねした。」とある。ついでに英訳、仏訳をみると、金谷の現代語訳と同じ意味で、顔淵の問いが国の統治、治世を問うものと理解され…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.24

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.24 ”今日のヨーロッパ、このヨーロッパの、二種類の国家。古びたと言われるものと、若返ったと言われるもの。” (ド二・ド・ルージュモン「手で考える」(1936)。ゴダール 映画史 テクスト) ・理念としてのヨーロ…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 14

言葉と物のコンパクトな世界 No. 14 ー人間とその分身、言語(ランガ―ジュ)の回帰 文学、釈義の回帰と形式化の配慮、文献学の成立、要するに、多様な繁茂のなかにおける言語(ランガ―ジュ)の再出現とともに、古典主義時代の思考の秩序は以降姿を消すこと…

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 14

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 14 Of what did duumvirate deliberate during their itinerary? この道行きのあいだに両巨頭はいかなる問題を討議したか? Music, literature, Ireland, Dublin, Paris, friendship, woman, prostitution, diet, the influ…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.23

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.23 ドウルーズの思想は微分方程式、フーコーのはルベーグ積分と深い関係があるといわれるし、デリダの哲学の記号論理学との関係を考えることもあるが、厚い本に書かれた彼らの思想にやっつけられないために数学に依存す…

論語の世界 No.14

論語の世界 No.14 考えることができるから読むことができるとするのはいかにも近代である。原理を読むというか、近代はそういう態度をとる。だから、「孝弟也者、其為仁之本与」という文をまえにしてひるむことはない。近代は、La piété filiale et le respe…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.22

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.22 ”人々の不安とはそのことだ。もとよりそれは物質的なものではなく、何よりもまず、友愛の死から生まれる。心と精神の不安である。私は神秘的な声を信じていない、ただ事実の呼びかけに信を置いている。時代を注視し…

論語の世界 No.13

論語の世界 No.13 もし言説家の孔子が今日生きていたら、自分の思想をどれくらい多くの人が理解してくれるかを気にかけただろうね。言説家であるからどうしてもそれは気になること。だが売れる本が良い本であるとかんがえたかはわからない。読む人の欲求と…

論語の世界 No.12

論語の世界 No.12 ー消えた八文字はどこへ行ったのか? 江戸時代は、学問文化の中心は京都、経済の中心は大阪、政治の中心は江戸にあるというネットワークを形成していました。物は情報(知)を運びますからネットワークにおける大阪の重要性を認識しまし…

漢字論とはなにか No. 1

漢字論とはなにか No. 1 1, 21世紀のアジアの現在アートは、不可避の他者としての漢字の理念性にたつことができるのではないか。漢字論を利用することはできる。それはなにか?一度大きく挫折してしまったが、改めて「漢字論」を読もうかという気持ちになっ…

論語の世界 No.11

論語の世界 No.11 知識革命と思想革命、この両者は相互に重なり合うが、おたがいに異なる内容をもっていることは当然である。イギリスにおいてよく言われることであるが、保守的な国だから、フランスのようにはラジカルな政治に直に結びつく思想革命は中々…

問題提起;21世紀のアジアの現在アートは、不可避の他者としての漢字の理念性にたつことができるのではないか。漢字論を利用することはできる。それはなにか?

問題提起;21世紀のアジアの現在アートは、不可避の他者としての漢字の理念性にたつことができるのではないか。漢字論を利用することはできる。それはなにか? 思考可能なものと思考不可能なものとはたがいに分割できないが、二つの間には百兆光年ぐらいの距…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.20

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.20 ”言葉が崩壊し、誰から誰かへの、その存在に関わる何かを賭したた贈与ではなくなってしまえば、崩壊するのは人間的な友愛である。” ・70年代後半のゴダールによれば、映像批評の問題となってくのは、「映像は言葉…