2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「大正を読み直す」の書評(武田徹氏)を読む

「大正を読み直す」の書評(武田徹氏)を読む 今日の都知事選の大事な日に、朝日新聞から、新しく民主主義の意味を問うこの本の書評を出しました!<「民主主義はこれだ」と喝采の声を熱狂的に合わせるよりも、歴史を訪ね、覚めた批評的検証を静かに重ねるこ…

子安宣邦氏の「大正を読み直す」(藤原書店)の書評が 朝日新聞(7月31日)に出ました。 東京新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞から書評が出たことになります

子安宣邦氏の「大正を読み直す」(藤原書店)の書評が 朝日新聞(7月31日)に出ました。 東京新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞から書評が出たことになります。新聞書評としては東京新聞が最初でした。本当ならば朝日新聞でなければならなかったはずです…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.4

図は西村和雄氏の本から引用 ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.4 投射ついて語っているところで、イスラム世界を指示しているのは何故か?こちら(ヨーロッパ)とあちら(イスラム)とを関係づけるためか?「映写機と映写室と、世界に向けて自分を投射す…

トランプとの対決といっても、どうもアメリカはクリントンを大統領にするようですね。このクリントンとはだれか?

トランプとの対決といっても、どうもアメリカはクリントンを大統領にするようですね。このクリントンとはだれか?民主党の政治家?しかし本当は共和党から大統領に出馬すべきような政治家といわれています。クリントンにかぎらず、民主党があまりに共和党的…

日本の近代化とは、下級武士が推進した近代化であった

兎に角、このままではこの国がラベル張りしている「テロ国家」よりも危険な国となるだろう。百年後のまともな教科書は、その中心的原因が、安倍「伊勢サミット」にあったことをはっきりと記述するだろう。そしてその意味を考えるためには、近代日本の祭祀国…

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.3

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.3 ジョイス「ユリシーズ」イタケ挿話の一番最後で「どこへ?」と問われるとき、書かれた言葉それ自体が眠りに陥る。そこに指示されるような空白は、フーコ「言葉と物」にある、ベラスケス「ラス・メニナス(宮廷の官女た…

ジェイムス・ジョイスの世界  No.2

ジェイムス・ジョイスの世界 No.2 イタケ島は、ギリシャ神話のオデュセウスの故国とされる島。現代の「ユリシーズ」イタケ挿話のナレーション形式は教理問答である。(それより前に一度も問われることがなかった)間違った<問い>と(前に一度も答えられる…

現在緊急に考えなければならないことは、ほかのことではなく、フーコのこのことばではないでしょうか。

「主体性、アイデンティティ、個性といったものは、60年代以降、ある重要な政治的問題を構成していると思われます。アイデンティティと主体性を、政治的、社会的要因によって左右されることのないような本質的で自然な要素とみなすのは、私の考えでは危険な…

「論語」の世界 No.3

「論語」の世界 No.3 近代知は、徂徠を登場させるときのその紹介の仕方がなんともアレなんだよね、昔そう思った。モダンな、したがって「前近代」において非常に例外的に(と勝手にかれらがきめつける)、客観知をもった実践的な思想家として紹介したがるわけ…

「論語」の世界 No.2

「論語」の世界 No.2 1、なるべく、「儒教」という文字から逃げるのは。それをみたらもうその文を読みたくなくなると逃げ出した最初の人はだれか?それはいつからなのか。福沢諭吉から始まったことなのだ。朱子学に記されている名分論(「名分をたてる」「…

安倍と日本会議がいう「美しい日本」とは、ナチスの優生学的な民族主義的スローガンのように、経済的、政治的、民族的、社会的、身体的な強者のためのスローガンである

「是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。」 (相模原殺傷、衆院議長宛て手紙) 相模原の犯人は、“beautiful Japan”(安倍と日本会議がいう「美しい日本」)をネットに書き込んで犯行に及んだというのだから、はっきりと、安倍支持者の犯行と報じ…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.3

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.3 反人類史的な歴史修正主義者の政権とともに道徳的に劣化しているという嘆きに、まだ「道徳」は人生に於いて意味をもっているだろうか。「道徳」の撤退の意味が問われる場所で、(赤青緑の色で構成されるスクリーンに先…

ポピュリスムについて

浮動票は、なんとなく良く知らないのに、女性だから、自民党じゃない気もして、あみだに委ねる感じでうっかりと、投票してしまう。ヨーロッパで起きているように、右左の間で互いにポピュリスムだと非難し合って、実体なき言葉がグルグルと流通するようにな…

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.2

問題は、人間を排除する王の場所にあった。不動点のような王の場所があるとき、人間が再び、自らを排除したその王の場所をとることは、倫理的に許されないし不可能なことだろう。それでは、見られる多から見る一へ移行しただけで、構造としては何の変化も起…

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.1

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.1 「すべての“明確な”知識は科学に属し、明確な知識をこえる事柄に属するすべての“独断”は、神学に属している、と私は主張せざるを得ない。しかし神学と科学との間には、この両方からの攻撃にさらされている無人境がある…

「論語」の世界 No.1

「論語」の世界 No.1 1、伝記作家コレルスによると、レンズ磨きで生計を立てていた哲学者スピノザは、ナポリの革命家マザニエッロに扮した自画像を描いたというのは、ドゥルーズが言うところの所謂ナポリのスピノザのことである。スペインの支配下にあった…

ジェイムス・ジョイスの世界

No.1 「ユリシーズ」の問題は、書く主体(ジョイス)を場所と潜在的な機能の多様性のうちに分散させる句切りである。ジャーナリズムは、大衆の間を吹き抜ける現代の風神の如き地位をもつが、戦争に対してはやはり駄目なのかという疑いをもっている章において、…

No.1 渋沢栄一とはだれだったのか ー天保の改革のときに生まれた儒者の知識人としてのあり方

No.1 渋沢栄一とはだれだったのか ー天保の改革のときに生まれた儒者の知識人としてのあり方 中体西用論は、「中国の伝統的な文化、制度、倫理道徳を根本(つまり「体」に)して、西洋の科学技術を利用(つまり、「用」すべし)」という意味。朝鮮の儒者(両…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.1 No.2

No.1 映画史で問題なのは、映画をみる主体(ゴダール)を場所と潜在的な機能の多様性のうちに分散させる句切りである。「字幕」の意味が問われる場所で、「誕生のエネルギー」として「血」の赤色が指示される。なぜか?「イタリア映画」の意味が問われる場所…

なぜ、反戦と反貧困のデモが同時に起きてきたのか?

2003年ダブリンのイラク爆撃抗議デモと、2009年ロンドンのアンチ・G20グローバリズムのデモとの関係が自分の中でみえはじめてきたのは、恥ずかしながら、やっと最近になってからである。戦争と貧富の格差は共に進行してきたのである。戦前の日本…

「人の外に道無く、道の外に人無し」

「人の外に道無く、道の外に人無し」は、伊藤仁斎によっていかに読まれたのか、そしていかに書かれたのか。この「人外無道、道外無人」は、朱子の「論語集注」に確認できる言葉だという。17世紀の伊藤仁斎はこれをいかに読んだのだろうか?近代的文献学のオ…

17世紀の危機とはなにか? -17世紀の伊藤仁斎の東アジアにもたらししたと考えられる<知識革命>の意義を考えるうえで、大変興味深いものである。

伝記作家コレルスによると、レンズ磨きで生計を立てていた哲学者スピノザは、ナポリの革命家マザニエッロに扮した自画像を描いたと言う。ドゥルーズが言うナポリのスピノザ。これはいわゆるヨーロッパに起きる<17世紀の危機>と関係している。この危機の…

「人間」を書くこと ーオリエンタリズムはいかに君子から人間を発明したか?ただしそこに平等性という市民という開かれた意味をもって発明されることになったのか?

「人間」を書くこと ーオリエンタリズムはいかに君子から人間を発明したか? 「子曰く、狂にして直ならず、(とう)にして愿(げん)ならず、悾悾として信ならず。吾れこれを知らず。」(泰伯第八・第16章) 仁斎古義によると、狂とは「意高くして検束無き」をい…

"A terrible beauty is born" それを理解できたのは、「莫春には、春服既に成る。冠者五六人、童子六七人、沂に浴し、舞雩に風して、詠じて帰らん」を解した徂徠の注釈を読んだとき

"A terrible beauty is born" 国家のおかげで政治的な動物は自らを代表する言葉を獲得したと反復的に憲法の起源を指示する教説は狂気としかいいようがない。この教説のもとに隠蔽されるのは、言葉で自らを語ることが不可能な暴力だけではないはず。詩人の天…

アザミThistleは,いま注目されているスコットランドの国花。スコットランドの詩をひとつ。読もうとおもえばなんとか読める、声を出してね

アザミThistleは,いま注目されているスコットランドの国花。スコットランドの詩をひとつ。読もうとおもえばなんとか読める、声を出してね。 Hauf his soul a Scot maun use Indulgin' in illusion And hauf in getting rid o' them... And comin' to conclus…

小池百合子の「病み上がり」発言はどう考えていかなければならない問題なのか?

小池百合子の「病み上がり」発言はどう考えていかなければならない問題なのか? トランプとてそれほどの酷い言葉を一度も口にしていないかもしれないのにとおもうのですが、選挙のときになればトランプがなにを言っても許されるし同等の資格で自らも罪無しと…

社会の権利を引き裂くサリーちゃん(小池百合子)

人間の権利を引き裂くサリーちゃん(小池百合子) 「東京に核ミサイルを」「核武装を」「急げ軍法会議」 「少子化の最大の原因は頼もしい男性が減っていること」 「子供に喧嘩に強くなるように教育しその中からリーダーシップを」 小池百合子の「病み上がり…

映画史とは何か - 「去年マリエンバード」(1961)

映画史とは何か パリのシネマテックの映画館に毎日4年間通って大学の代わりに学んだというひとも、ダブリンのアイリッシュフィルムセンターにいた。現在は、(イギリスの国民投票のときに問題とされていたが)、EU基金で運用されている。ここは元々クエーカ教…

Japan Reverts to Fascism 日本、国体ファシズムへ行く

Japan Reverts to Fascism 日本、国体ファシズムへ行く '『日本会議・日本会議国会議員懇談会設立十周年記念大会』のご盛会をお慶び申し上げます。誇りある国づくりのため、皆様の叡智を結集していただけますよう祈念しています」'(小池百合子) 「東京に核ミ…

キェシロフスキのトリコロール/青の愛(1993)の感想文

キェシロフスキのトリコロール/青の愛(1993)を観て、渋谷駅前でアイスコーヒーを飲むナウ。女優の微妙な顔を見事に照らし出す効果的な自然光の使用もあるが、全体としてあまりに照明と効果に時間が従属してしまっているので創造的飛躍がないと感じるときもあ…