2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

発音記号

わたしのダブリン時代はゲール語の辞書に発音記号はありませんでした。ネットではあるようですが、本屋に発音記号のある辞書をおいていませんでした。友達に理由を聞きましたら、言語は共同体に属するから、直にゲール語を喋るひとたちから言葉の読み方を教…

『野性の少年』(L'enfant sauvage フランソワ・トリュフォー)

『野性の少年』(L'enfant sauvage 1969)は、フランソワ・トリュフォー監督 François Truffaut がJ・M・G・イタールによるアヴェロンの野生児の記録を映画化した。 イタール博士はトリュフォー自身が演じている。 この戯曲は、アイルランドに行く前に、フラン…

ゴダール

‪『映画史』は、言説とは何かについて理解をもっていないと、全体像の理解が成り立たないかもしれない。私はどうか?少なくともそれがゴダールの言説の歴史という性格をもっていることをなんとか理解している。だけれど多くの言説を読み解けないままでいる。…

ゴダール

1950年代迄に映画はそのあるゆる可能性を尽くしたといわれる。映画は失敗したまま完成してしまったというか、とにかく、映画に未来はなかった。映画は、トーキーの時代に忘却されてしまった過去の映画を読み解いていく映画の痕跡を拾い集めるだけである。例…

白紙の本

日本人は『朱子語類』を中国研究者による訳文を読むが、江戸時代の書き下し文で読もうとはしないという。ところが講座に参加なさっている中国人留学生から感想を伺うと、書き下し文が面白いという。この感想が面白かった。このとき、日本近代というのは、近…

仁斎

‪縺れ合いという言葉で理解していこうとするわたしは、天は外部的に天を仰ぎ見る人をもたなかったら、流行的天と主宰的天の縺れ合いが成り立つことがないと思うのです。「人間にとって天命とは?」の問いかけが消されては、仁斎にとって朱子を読む意味がなか…

イエニー

‪映画のイエニーはロンドン時代のヴィクトリア朝風コスチュームでなくて本当によかったとおもっている。マルクスは、といっても、もちろん映画のマルクスのことであるが、人間の本質的平等観をもっていたので、かれのなかで「革命」の概念が成立していたよう…

ポストコロニアル世界としてのワールドカップ

‪ワールドカップはポストコロニアル世界をもつ。参加国の数ではオリンピックよりも「普遍性」があるとする見方が成り立つ。世界はテレビをつうじてアフリカチームの監督が現地の非白人という意味を考え、セネガルの映画はポストコロニアル世界の問題を問う‬…

MEMO

‪アイルランドはどちらかというとフランス革命のマッチョ主義の犠牲となったマリー=アントワネットに共感があるという印象をもった。ところでマリー=アントワネットという名の紅茶、私のようなものでも嗅覚と味覚のギャップに一瞬イメージが宙吊りになるそ…

フーコ『言葉と物』

‪フーコなんかが言っているようなことは全部、ウィットゲンシュタインが言っているよという人が結構いるけれどね。ウィットゲンシュタインの名をあげるまでもない。ressemblance 類似物、similitudes 相同は、さんざん論じられていた陳腐なテーマである。だ…

アジア

安倍政権はアジアにおける近所どうしの話し合いの重要な意義の認識を十分にもたないから、アメリカと中国を利用しながら二つの極から自立していく交渉とアメリカの属国または中国の属国になる孤立との区別が成り立たない。まだアメリカに何がなんでもくっつ…

世界と言語

地震に乗じたヘイトスピーチも、トランプの親と子の隔離もどうかやめて!世界と言語は、外から新しく到来してくるいわば二番目の誕生への歓待もたなければ、閉じた共同体がこだわりを示す最初の誕生だって成り立たなくなるよ

時枝誠記

西欧の音声中心主義の言説は近代言語学に投射されている。これによって漢字は二次的な役割しかなくなるとき、漢字の外部的なあり方をどこからどう見出すのか?これは再び言語学の内部から明らかにすることが不可能だ。問題は西欧と東洋が縺れあう網目にある…

荻生徂徠

荻生徂徠『政談』を10分立ち読みすれば、荻生徂徠は幕府のために民をコントロールすることが大切だったんだね、それは間違いないみたい。しかし『弁名』から考えるとき、徂徠はたんに民をコントロールする国家のブループリントを書いた思想家ではなかったよ…

岡倉天心

岡倉天心は丹田を中心に身体の全体から考えた思想家ではなかったかな。だから風貌が中国人になったりインド人になった。ある物にべつの物を見ているというか、意味するものと意味されるものとの価値の転倒を行うというか、岡倉天心は、太平洋の方向に中国と…

ゴダール

‪ゴダールについて尋ねてきたロンドンの女性詩人に、気の進まぬ英語で書いたら、以前と比べて思想の表現がよりはっきりした。‬思考の順序として思考の形式が優先するとき、盲目の他者から、あなたにはあなたの手が見えるのか、と、見ることの自明性が問われ…

近代の超克

「私は明治の末から昭和の敗戦に至る日本の足取りを考えると、どういうわけだかつい『ドン・キホーテ』の物語を連想する。」と尾崎行雄はいう。『ドン・キホーテ』とはなにか?「ドンキホーテはその平原を際限なく巡歴するのだが、決して相違性の明確な国境…

MEMO

紆余曲折にみちたドンキ・ホーテの冒険は、そのまま境界線を描いている。ーフーコ『言葉と物』With all their twists and turns, Don Quixot's adventures form the boundary. ー Foucault‪Avec leurs tours et leur détours, les aventures de Don Quichott…

ヒチコック「レベッカ」(1940)

「レベッカ」(1940)。鳥のように険しい崖に立つ人間、ビクトリア朝の美意識を体現した垂直軸における崩壊の静けさ。ベラスケス『侍女たち』のパロディーにみえる。死者との関係において痕跡があるだけで実体がなく、外部の海からあらわれる偶然をそのまま内…

‪能『楊貴妃』の鬼神論

‪能『楊貴妃』の鬼神論唐玄宗皇帝は楊貴妃の死後、方士に命じて魂魄のありかをさがさせる。方士は楊貴妃の魂を尋ね天上から黄泉まで探すが見当たらず、最後に常世の国蓬菜宮に来る。そこで楊貴妃をみつける。方士は逢えた証の品を請い、楊貴妃は髪に挿してい…

「もつれあう」(entangled)

無限が介入する「もつれあう」(entangled)とはなにか?「もつれあう」状態に、宗教がなければ道徳も成り立たないだろうが、このことを前提にいうと、道徳の依拠しなければやっていけぬと語る視点は過剰をみるし、宗教の絶対的に依存しなければ悪だと教える見…

共同体について

小さな人間は自らを権威づけることはできない。ロンドン時代のユダヤ系人物がおしえてくれたのは、偶像が危険なのは体系の自らを権威づける抽象性が危険であるのとおなじだ。共同体はかくも抽象的な体系にすむことができないし、共同体の成立を可能にした他…

マイナー思想史とはなにか

‪マイナー思想史とはなにか• 思想史的にいうと、戦前の左翼が展開した「近代の超克」の言説は近代批判の大切な視点をもっていたかもしれない。天皇ファシズムと軍国主義の時代にあって自分達の影響力を用心深く考えていなかった点が彼らの問題であった。近代…

新しいものと古いもの

‪17世紀は東西で知識革命が起きる時代である。ヨーロッパでは芸術の言説が一般の人々に読まれるようになるのは、17世紀からなんだね。17世紀に書かれた芸術理論を調べてみようとおもうが。21世紀からみると17世紀は古いが、17世紀は17世紀をモダンとみていた…

『変身』の鬼神論

この際、世界文学のチャンピオン、『変身』の鬼神論も書いておこうかとおもうが、それは無理ムリ。深読みは禁物だし。ただ、グレゴールがいた部屋は窓なきモナドのようなものだったとしてだね、部屋が窓をもたないことから、外部性の成立がないという問題が…

‪アイルランドのお兄ちゃんたちは詩を書くのが好きだと恥ずかしくなく言えるんだね。絶対に後で電話してこないのだから留守番メッセージは意味がないとおもうが、彼らの留守メッセージに詩が流れる。戦争で負けてきた国の方が詩はあるのか。負けたのに勝った…

『失われた時を求めて』の鬼神論

‪プルーストは儒者ではないようであるが、新翻訳で読んでいる小説『失われた時を求めて』に、モダンに構成された鬼神論に等価なものがあるだろうかなどと考えている。と書くと、「あんなものwa!?」と、非難されるまえに、呆れられてしまうことは必至である…

思想の所有を考える

思想の所有を考える思想史という自分の関心に引き寄せてこの問題を考えますと、思想は常に「家」の独占物だったと思うのです。長い歴史において学問が読むことができた貴族・僧侶・寺社の独占物だったようにですね。だからこそ解体しなければなりません。そ…

グローバルな視点をもった市民の思想

‪民主主義を考えているのは左翼だけではない。理念型の右翼を想定すると、彼らが民主主義を論じるときは国家からの実現を考えている。国民からの実現ではない。(大衆を包摂した国民から民主主義の実現をかんがえていたのはファシズム)。理念型左翼のほうは、…

ふくろうねこと学ぶ『論語』

ふくろうねこと学ぶ『論語』ホーホー、力をもった悪い奴らは地獄おちでしょうか?否、現実は、善人は救われず、権力者は何の後悔もなく平然と余生をおくるのでしょうニャ。そういう力が支配する現実の世界でやっていけのかと問われれば、やっぱりわたしはや…