2014-01-01から1年間の記事一覧

ヴェルデイーのオペラ「アイーダー」の神官たちみたいにグロテスクになってきたと裁判員制度

ヴェルデイーのオペラ「アイーダー」の神官たちみたいに グロテスクになってきたと裁判員制度 なんのために裁判に参加するのか?と問うとき、わたしの考えでは、二つのポイントがあります。まず第一に、裁判を知ることではないでしょうか。そして第二に、冤…

アインシュタインの息をひきとった日の自宅の書斎 1955

「雇用・利子・貨幣の一般理論」(1936)の序文で特殊理論にたいする一般理論の必要性を説くとき、ケインズがアインシュタインの相対性の一般理論 (1916)の意義を意識しなかったとは考えにくいですね。この本のなかでケインズが呈示した、古典派のドグマ的真実…

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(1927)を読む

宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」を十回以上書き直していたことについて、演出家の入江洋佑氏は、シュールレアリズムからリアリズムへと書き方がかわっていった事実に注目しています。なぜでしょうか?まず時代背景に注目しながら「銀河鉄道の夜」の思想を掘り返…

演劇感想文 ー 東京演劇アンサンブルの宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

演劇感想文 ー 東京演劇アンサンブルの宮沢賢治「銀河鉄道の夜」 宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」を十回以上書き直しましたーシュールレアリズムからリアリズムへと。賢治の死後、最終的にその弟から信頼を受けた東京演劇アンサンブルが、当作品の著作権を得て日…

全国新聞や知識人たちの本音に、安倍に同一化したいという憧れがあるようですけど、それは無理です

それは無理です 道徳論のカントは、人間の道徳性が知識に依存せず、ただそれが理性の意志に為すべきことを言う方法に依るとしました。18世紀の啓蒙を啓蒙するほどの啓蒙主義を現在にあてはめてみますと、きっぱりと、アベノミクスの知識は終わったのです。そ…

だれが物語をつくり、誰がそれを再び語るのか?

だれが物語をつくり、 誰がそれを再び語るのか? BBCは、もし重大な犯罪事件ならば、警察発表を分かり易く再構成してみて寧ろ不明な点を次々に明らかにしようとします。これに慣れると、日本の新聞とテレビがまず検察の発表をあたかも'事実'のように伝えるこ…

「もう僕らは政治には期待していませんから」を読む

「もう僕らは政治には期待していませんから」を読む 自分の力の限界を知るためにも、デモに行ったり投票に行くこともあるのでしょうが、多分そういう限界を知りたくないのでしょう。またこれをいう二十代は、この道しかない、と、この道に期待しすぎるのかも…

哲学だけじゃないよ、芸術も観念論と経験論があるある

哲学だけじゃないよ、芸術にも観念論と経験論がある なぜ、ロンドンでは顔を描いてはならないのか?それは、多文化主義マルチカルチュアリズムだったからです。感覚的に顔を描くとそれはかならずどこかの人種をあらわすことになり、不公平なヤバイ感じがあり…

21世紀の思想の問題

ヨーロッパの近代=西欧的合理主義=植民地主義、に対するアンチテーゼ。八十年代のデリダ脱構築ブームのもとで、ジョイスの各国語の翻訳は多様なゲームの規則の発明であり、啓蒙主義の一元性の幻想を突き崩すポストバベルの塔的プロジェクトとしてありました…

柄谷の「この道しかない」解釈論と安倍の「この道しかない」政治のプレッシャー

柄谷行人の「この道しかない」的解釈論 X 安倍晋三の「この道しかない」的政治権力 ヨーロッパの近代=西欧的合理主義=植民地主義、に対するアンチテーゼ。八十年代のデリダ脱構築ブームのもとで、ジョイスの各国語の翻訳は多様なゲームの規則の発明であり、…

'西欧合理主義'というのは<ひとつ>しかないのか?18世紀には<ひとつ>の啓蒙主義しかなかったのか?

'西欧合理主義'というのは<ひとつ>しかないのか?18世紀には<ひとつ>の啓蒙主義しかなかったのか? マルクスとて、英国が西欧合理主義の文明を齎したのだからインドの植民地化は仕方がなかったという普遍主義の啓蒙的言説に絡み取られていました。スコットラ…

「この道しかない」と知らないふりをすることは無理、というか無意味。「他の道」を知ることの大切さ

「この道しかない」と知らないふりをすることは無理、というか無意味。 「他の道」を知ることの大切さ 多数とされている狂信的世論をまえに、言葉が思い浮かばない、言葉がでてこなかった状態でありましたが、一夜明けて、「信託」「圧勝」という馬鹿げた無…

亡命するエクリチュール

亡命するエクリチュール ホホー、みんなあーお久しぶり!あれっ、落ち込んでいる亡命したいみなさんのために、亡命するエクリチュールのお話でーす。(なんのこっちゃ?) 正直わからないこともあり、ここまで言い切ってしまっていいのかという躊躇もあるニャ…

狂信的世論をまえに、言葉が思い浮かばない。言葉がでてこない。点点点点。

与党が3分の2を獲得 狂信的世論をまえに、言葉が思い浮かばない。言葉がでてこない。点点点点。 数が政党にでなく、数に投票している?議席の過半数を占めるような一政党の成立は、語る民主主義を無理にしてしまうほどの民主的社会の危機ではありませんか…

中庸とはなにか?

中庸とはなにか? 「冉求(ぜんきゅう)の曰く、子の道を説(よろこ)ばざるに非ず、力足らざればなり。子の曰く、力足らざるものは、中道にして廃す。今女は画(かぎ)れり。」(雍也第六、第10章 )聖人の道とはただ中庸である。これについては道は高いと考えるか…

ヨーロッパ中心主義の偏見からアルファベットの優位をいう言説はいまも健在だ。

ヨーロッパ中心主義の偏見からアルファベットの優位をいう言説はいまも健在だ。簡潔で効率的なアルファベットを使用する国よりも、複雑な漢字の国の方が文盲率が高いと言い切ってしまうのである。この見方に沿う形で、ただし'遅れたアジア'という言説をひっ…

あまりにローマ的な、<選ぶ民主主義>に、ギリシャ的な<語る民主主義>が伴わないといったい何が起こるか?

あまりにローマ的な、<選ぶ民主主義>に、ギリシャ的な<語る民主主義>が伴わないといったい何が起こるか? 河で溺れた人は岸側の暗い方へ行けば助かるのに、明るい真ん中の方へ行ってしまうことで助かる確率が非常に低くなるそうです。あまりにもローマ的な、…

外部から学ぶと言いながら、内部のなかで国策的「規範意識」「国際性」に同一化することの無理

はい、学びます、学びますともー東京大会が発する恥の五輪を。自国の利益の為なら、放射能汚染水排出がコントロールされているという嘘が「規範意識」ですか?自国の利益の為なら、こんな嘘をついてまで トルコの国際舞台デビューする権利と希望を奪うことが…

「秘密保護法」自身の「秘密」とはなにか?

「秘密保護法」自身の「秘密」 「秘密保護法」のいわれている「秘密」の意味とは、政府批判が「秘密漏えい」であるということです。しかし「秘密保護法」自身の「秘密」はそこにはありません。「秘密」が意味してくるのは、政府を正していく小さな人間たちの…

演劇はどこにも在る...

演劇はどこにも在る... 人々が孤立しないことを目的とした企てなのだけれど、X'masのアイルランドでは刑務所の中の舞台で元囚人と囚人による公開の演劇をやっていて、フリールのレベルの高い芝居を刑務所で見学したことがあります。家族や裁判官だけでなく、…

近代の問題ーあまりにも遠い無人島に泳ぐ難しさを引き受ける無理

近代の問題ーあまりにも遠い無人島に泳ぐ難しさを引き受ける無理 民族中心主義から逃れて、<無人島に泳ぎつき無人島そのものに成る>自由と感じても、外部の視座からは、ヨーロッパ中心主義の島でしかないかもしれない、あるいはネガの島かもしれないと、日本…

時代の流れゆくイマージュ

時代の流れゆくイマージュ 現在は販売されている料亭の料理は家で食べることができるようになったのですが、バブル以降は、残念なことに、どこの経営も非常に厳しくなってきたとのこと。昔は半ズボンをはいた子供のときも漱石を読むと料亭に連れて行って欲し…

グローバルデモクラシーの思想史

グローバルデモクラシーの思想史 相変わらず民族主義の語彙で声と魂と起源から見るので、商品に束縛されたエクリチュールと映像と貨幣に、グローバル資本主義の平面に取り囲まれていることが偶然とされている。この関係を転倒していく解体、そこに留まらず、…

草間彌生を称える ー In praise of creative madness

In praise of creative madness Mad people love Ireland...という言葉はダブリンでよくきいた。creative madnessという言葉でいわれる意味は、創造と狂気は紙一重。ハムレット Hamlet のような狂気を指すらしい。(半分冗談で、Hamletはアイルランドに寄って…

方法としてのグローバルデモクラシー

70年代に起きてくるポストモダニズムは、近代を相対化していく批評精神でありました。が、80年代で衰えていき、90年代にはメインストリームの資本主義の存続を正当化するために役立つだけの反動的言説となってしまったのですね。なにごとも永遠には同じでは…

東アジアのグローバルデモクラシーの声を黙殺しつづけるこの絶望的な閉塞感とはなにか?

このわれわれが直面しているグローバル資本主義は、系< '自分が=話すことをー聞く' ー> '外部の領域を=世界の中心にすることで=絶えず自己の領域を超える'>を推進してやまない構造である。他者の声を圧殺する資本蓄積の構造のことだ。「帝国」の柄谷はこの決…

統一か? 多様性か? -ジョイス、都市の肖像を書く 

おお、あの「ひまわり学生運動」はたしかな結果をもったのですね!「選挙結果は,台湾の民主的価値と進歩を求める台北市民の決意を示した」(台北市長)。運動が先行しましたから、つぎは、言説の場での闘い、エスタブリッシュメントの為の国策的ポストコロニ…

グローバル資本主義 vs. グローバルデモクラシー

グローバル資本主義 vs. グローバルデモクラシー いくら自己の物質的な生存条件に不利な政策 (消費税とTPPと原発推進と集団的自衛権)をおしつけられたとしても、グローバル資本主義のもとで東アジア諸国同士の激しい競争が展開され互いに反発しあう民族主義…

カントの近代 (第三批判) Kant, Critique of the power of judgement No.1

カントの近代 (第三批判) 1、What is rational cognition (Vernunftkerkenntis) ? If philosophy is the system of rational cognition* (Vernunftkerkenntis) through concepts, it is thereby alredy sufficiently distinguished from a critique of pure…

信 trustworthiness (2)

信 trustworthiness (2) 安倍は「信を問う」というとき、ここでいわれていることの意味は、政は信です。この「信」は、憲法前文の主権的概念の「信託」を意味する前に、まず儒学思想の「誠」を意味する「信」であります。この一例からわかるように、日本の政…