2020-01-01から1年間の記事一覧

石田梅岩を讃える  「第四章 形は直ちに心と知るべし  梅岩心学をどう読むべきなのか」

石田梅岩を讃える「第四章 形は直ちに心と知るべし 梅岩心学をどう読むべきなのか」 江戸の武士政権によって、天皇・貴族・寺社が独占してきた学問にアクセスできるようになった農民や町人の中から、心学とその運動を創始した石田梅岩(1685‐1744)のように…

鈴木雅之を発見することの意義 「第三章  なぜこの農民国学者は遅れて発見されるのか 農民国学者鈴木雅之と『生成の道』」子安宣邦氏著「『維新』的近代の幻想」(作品社)より

鈴木雅之を発見することの意義「第三章 なぜこの農民国学者は遅れて発見されるのか 農民国学者鈴木雅之と『生成の道』」 天保8年(1837年)下総利根川畔の農村に生まれ、明治4年に35歳で逝った鈴木雅之は「遅れて発見される国学者」である。ちなみに、鈴木雅…

横井小楠という変革期の「精神の器量」 「第二章  明治は始まりに英知を失った  横井小楠と『天地公共の道理』」子安宣邦氏著「『維新』的近代の幻想」(作品社)より

横井小楠という変革期の「精神の器量」「第二章 明治は始まりに英知を失った 横井小楠と『天地公共の道理』」 明治維新の近代を批判的に語ることができなくなってしまうのは、明治と江戸を分割することによって「言語の拡散」(フーコー)が起きていることに…

津田左右吉はどのように「明治維新」を語ったか。「第一章  『王政復古』の維新  津田宗吉『明治憲法の成立まで』を読む」 子安宣邦氏著「『維新』的近代の幻想」(作品社)より

津田左右吉はどのように「明治維新」を語ったか「第一章 『王政復古』の維新 津田左右吉『明治憲法の成立まで』を読む」子安宣邦氏著「『維新』的近代の幻想」(作品社)より 「いわゆる王政復古または維新が、その実少なくとも半ばは、皇室をも国民をも欺瞞す…

書評 子安宣邦 著、 「維新」的近代の幻想、 日本近代150年の歴史を読み直す (作品社)

書評子安宣邦 著、 「維新」的近代の幻想、 日本近代150年の歴史を読み直す (作品社) 本多 敬 「『維新』的近代の幻想」とは何であろうか。日本近代150年の歴史を問い直す子安宣邦氏の著書は、外部の思考を失い閉じた内部的幻想に囚われたわれわれが語ること…

MEMO

「「製作する(produire)」という言葉のなかの「u」という文字は、「製作する」のなかに「語る(dire)」が入り込むのを妨げているだろうか」(ゴダール『映画史』1998)。ここでゴダールが語っているのは、外部性をもった制作のポストモダンである。外部の思…

思想史 MEMO

•日本は朱子学や鬼神論の影響下にあるのにどうしてわれわれは人の生死に本質的に関わる宇宙論をもつことはなかったのかと子安氏は問う。明治維新の近代はアジアの形而上学的宇宙論を消し去ってしまった。それに代わるものはなにか?それもだれもわからない。…

MEMO

玉石を磨いたときに現れる筋のある模様に筋道が表象されるのがアジアのコスモス(「理」)思想は常に遅れる。方法としての思考でなければならない。差異であり、同時性であり論理的先行性であり、一体多元性である。垂直的な絶対無限かつ横断的な絶対的平等性…

MEMO

tableau書かれたものにおいて書き手は不在となる(ブランショ)というように、思考のなかで投射されたものにおいて投射するものが不在となるのだろうか?『朱子語類』の鬼神論を読むこと。構成的であるのは、死を共有する働きであって、この共有が行われた後に…

昭和の8月15日を考える

‪何が終わったとする記念日なのでしょうか?「戦」が終わったというのならば、「戦」とは何だったのでしょうか?アジアで2000万人の命が犠牲になったことを考えるとき、ファシズムと軍国主義が一緒の方向を向いた「普通の国」の正しい「始まり」をもたない歴…

MEMO

内閣支持率とテレビのクイズ番組はおなじナショナリズム?国民からの質問に「あなたに答える必要がありません」と狡猾に答えてきた庶民のクイズ回答者に国民が総理の王冠を与えたBBCは純然な資本主義に駆け込む野蛮なイギリス人を啓蒙する役割を自覚していて…

MEMO

‪上京してきた大学生ー特に女性ーはまだ投票先を親に相談した1980年代と、相談せずに親が投じる自民党に投じる現在。違いがあるの?これ以上悪くならないから野党も考えてみてI go to school とI go to the school では分節化が違う。前者は「勉強する」の意…

MEMO

起源なき廃墟討論なき都知事選でなにを失ったのか?「もし自由になんらかの意味があるとするならば、それは相手が聞きたがらないことを相手に告げる権利をさすのである。」(ジョージ・オーウェル、出版の自由ー『動物農場』序文)極右翼のヘイトスピーチにNo…

MEMO

砂浜に見えた何かの形が波によって消えてしまう。もうそこにないのに存在するかのようにそこにもう一度形を思い浮かべてみるが、反復はない。映画のスクリーンへの投射と類似している。時間は波。そして言語の集中のなかで、人間が存在しないのにあえて人間…

MEMO

ジョイス『ユリシーズ』の書き出しの言葉はStatelyで、最後の言葉はYes。この本はSで始まりSで終わる。Sを以って、終わりとはじまりとが繋がっているようにジョイスは書いた。これはアイルランドのことしか書いていないこの本が自己完結しているという印象を…

MEMO

“Many people in the West really don’t understand Chinese history and the deep cultural traditions that exist in China.”ーFrancis Fukuyama新自由主義・新保守主義とともに成り立った所謂ネオリベ経済学は、言論によっては覆せぬケインズ経済学の絶対…

MEMO

17世紀といえば「危機の17世紀」。この「危機の17世紀」にヨーロッパは外部へ出た。実はアジアも外部へ出た。その17世紀半ばからヨーロッパでは芸術批評が一般の人々に読まれることがはじまった。それまでは特権的な階級だけが読んだ。これは偶然だろうか?…

MEMO

" 向こう側にある『歎異抄』はみえる。朱子の『論語』はこうであるかもしれない" (子安先生の『歎異抄の近代』講義(板書)より)「天」=「公」の記号=は何かと時々かんがえる。この等価記号によって、「天」の領域=「公」の領域とのあいだの距離がなくなるとい…

MEMO

ソクラテス。それにしても何故死罪だったのか、さっぱり分らない。ゴダール曰く、ソクラテスはロッセリーニとそっくりだったと。つまり、ソクラテスもロッセリーニも、どんな立場の誰とも対話したので公から危険人物にされてしまったのだろうと。なるほど本…

MEMO

‪ゴダールは、『新ドイツ零年』(Allemagne année 90 neuf zéro、1991)によって、「歴史」の領域にはいることになった。『アルファヴィル』(1965)のレミー・コーションを、探偵として、かつて東西を分断した境界を超えていくドン・キホーテの分身として呼び…

鎖国はほんとうにそれほど鎖国だったのか?

鎖国はほんとうにそれほど鎖国だったのか?安倍応援団の日本会議の問題は、どういう国にしたいのかという理念性を拒否している点にあると思うのです。残念ながら思ったほどには左翼からも声がきこえません。ヨーロッパ諸国は戦後、平等と多様性を重んじてき…

劇評; 東京演劇アンサンブル公演『揺れる』

『揺れる』(マリア・ミリサヴリエヴィッチ作)は、ベルリンの壁の崩壊後の現代をえがいている戯曲である。<わたしたち。誰でも。何人でも>というト書きは思考を揺さぶる事件だ。これは、戯曲のコスモス(ロゴス)が、反コスモス(わたしたち。誰でも。何人でも)…

MEMO

『揺れる』(マリア・ミリサヴリエヴィッチ作、公家義徳演出、東京演劇アンサンブル公演)を観劇すると、演劇は二つの真実がある。肉体を通して次第に素描され形成され均衡し明らかにされていく歴史の真実から揺れる、両義的であり続ける言説の真実が存在する…

MEMO

ポストモダンがヘーゲル感染のワクチンだったはずだがどうもワクチンが足りていないようである。ヘーゲルとはなにか?ヘーゲルの言語は近代を体系的に示した。その言語の全体の表象が成り立つ為には、言語が「精神」(Geist、Spirit)として書かれる姿をー『百…

MEMO

ここで問題提起。演劇の死とはなにか?死の演劇に交換できない死はない。死の演劇において死は存在を交換できる存在の存在の如くあるだけれどそこで交換それ自身が成り立たない不完全なものが交換の構造の外にある。意味あるその入り口が塞がれようとしてい…

MEMO

母音もまた孤立させられて、慣用によって忘れられていた太古の名詞の秘密をあかすだろう。Aは所有(持つavoir)、Eは実在(existence)、Iは力(puissance)、Oは驚き(まるく見開いた眼)、Uは湿気(humidité)したがって体液(humeur)をあらわす。ーフーコ『言葉と物…

MEMO

20世紀における存在は戦争における叫び・歪んだ顔・天に仰ぎ地に伏す身体の表象で成り立っていた。存在は死を投射した。絶対の過去が死だった。そして死から存在それ自身を投射する。死に切った過去から問われた存在はずっと死に装束だった。背後から突き刺…

MEMO

麻生は自明のこととして、「一つの民族」と言っているけれど、そもそも「民族」の語は百年前に出てきた‪近代の新しい概念。それ以前はどうだったのだろうか?言葉がなかったのだからそれが意味しているものを考えることができなかった。‬‪• 明治に出たもの…

『揺れる』ー 東京演劇アンサンブル3月公演

今年は東京演劇アンサンブルは大変興味深い現代ドイツの戯曲に取り組みます。原画はわたしが描きました。戯曲に反映されているウィリアム・ブレイクの思想を考えて表現してみました。

MEMO

今週のお題「二十歳」Noh theatre ‪「さては昔の道しるべせし、人は朽木の柳の精」‬‪「御法(みのり)の教へなかりせば、非情無心の草木の䑓に至る事あらじ」‬‪ー『遊行柳』‬初夢は、詩を語る誰かの言葉を心の中で解釈しようとしているのに、途中から口をパク…