2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『思想史家が読む論語』

‪「仁斎には道徳的理念としての天は存在しても、己れの究極的な依拠(信)をそこに置くような天はない」(『思想史家が読む論語』2010)の意味がはっきりみえてきたのは、『仁斎論語』を読むことによってである。「道徳的理念としての天」の意味をよく理解するた…

民主主義と普遍主義

民主主義と普遍主義は、何と喩えようか?旅の途上で知り合て離れることがない人びとである。そうだとしたら、どういうことがいえるだろうか。グローバルデモクラシーは、政治多元主義であるから、後期近代のグローバル資本主義に抵抗する<一>の場所である。…

『仁斎論語』

飯田橋「論語塾」の後でこんな話の展開になった。もうブントはいいでしょうよ。それよりも現在は、全共闘がぶっ壊した、リベラルが隠ぺいしていたものが剥き出しになってきた感がある。(知識人が転向した後に?) それはなにかと私は考えた。それは『大学』で…

『仁斎論語』

思考できないものを思考するためにはフーコが言うように言語を集中させなければならない。「明治維新」の失敗は、ヨーロッパ語から行った言語の拡散というような体制にあった。ポストモダン孔子とポスト構造主義の『論語』、そして漢字文化圏のコスモロジー…

オリエンタリズムとヘイトスピーチ

「売れています」という‪ケント・ギルバートの本。言外に対を為す非合理主義のアジアと合理主義の西欧を書いているようですね。そうであれば、オリエンタリズムの反鏡面的な教説をどうして容認できましょうか。貧富の格差をはじめグローバル資本主義の問題、…

「伝統」

百年前ぐらいの過去の話をずっときかされてもね?エクリチュールにすんでいる過去を否定しきった明治維新は本当に伝統を為すものなの?1000年ぐらいは遡らないとね。イギリス人ならば、屈折した抑圧の中でノルマン・コンクエストの時代を考えるかしら?アジ…

子安先生の『漢字論』

‪『漢字論』は、『仁斎論語』を読んだ後にどう読めるかという楽しみがある。不可避の他者は、言説の差異化の方向(自然哲学or倫理学)、理念化の方向(漢字文化圏コスモロジーor信における仰ぎ見る天)から構成されてくる。他者との関係によって新しく自己との関…

朱子たちの霊魂観とコスモロジー(宇宙論)

朱子たちの霊魂観とコスモロジー(宇宙論)‪「鬼神は、體(タイ)なきによりて、これを視れども其の形見えず、これを聴けども其聲聞こえず」(朱子『中庸章句』より。中村揚齋)‬‪「朱子たちの霊魂観は、コスモロジー(宇宙論)を構成しながら、コスモロジーのなかで…

『仁斎論語』

『論語』についてツイートしようとしたら、140字では説明できないことに気がついた。140字は無理だ。140字は長すぎるから。『論語』は「人の外に道無く、道の外に人無し」の言葉に尽きる。路にいる人は、どの路であれ、そこでの関係のなかに生きる。道は路で…

保つこと

保守思想といったってもね、それを語る思想のプロに想定される保守主義があるだけのことじゃないかしら?物の見方でしかないものを、思想のプロがやるように実体があるように考えなければならないとしたら、そのうち、考えること自体がむなしくなってしまい…

『伊藤仁斎の世界』を読む

‪『伊藤仁斎の世界』(子安宣邦著)は、私の知識と能力を遥かに超えてしまった本ですが、ここに書かれている仁斎と朱子の思想闘争の展開をなんとか追っています。アジア思想は天を物語る三種類の見方があります。天道と天理と天命。問いたいのは、天は存在する…

ケインズ

‪アイルランドは自分たちの歴史的な経験から、イギリスにおける人道主義は植民地をもつ帝国主義と両立していることを知っている。実際にイラク戦争のときは、人道主義を根拠に爆撃が行なわれたのである。だから英国知識人たちは、イギリスの明治の啓蒙思想に…

アルベルト・ジャコメッティを描いた映画を読む

アルベルト・ジャコメッティの映画を日比谷で観ました。映画の中で「木」へのこだわりをしめすのだけれど、「ゴトーを待ちながら」にでてくる「木」なんでしょうかね。無の輪郭をかいたのか、空虚からキャンバス=スクリーンに介入してきたみたいな、ベケット…

マラルメを読む

‪詩は天空を住処とするように、魂は言葉にすんでいる。(魂は理念に?)だけど、マラルメが言う「住処」と呼ぶあり方が、詩も魂も土地=鏡に在るというならば、私の構成ではない。ブレッソンが言うように、(アパートの)壁に掛けられている額縁と同じ大きさをも…

平成はどう語られたのか

‪昭和の終わりの年に玄関前に座り込んだ新橋の公害企業の人の命を何とも感じぬ社長が愛読者というので、平成が始まった年に一冊を読んでみたが挨拶論しか読みとれなかった。「平成はどう語られたのか」を考える百年後の人たちも私と同じ気持ちになるのかしら…

ヨーロッパの一番端っこは?

‪ヨーロッパの一番端っこは?それはアラン島です。何故でしょうか?一度フラハティの映画をみていただきたいのですが、人と羊がうっかりおちゃう険しい崖が有名で、この下に漁夫の死体があがります。アラン織りの服で死体を特定できるようになっていますけれ…

二百歳のマルクス !?

‪二百歳のマルクスマルクスが生きていたら外国のマルクス主義ー想定されるコミュニズムの専制君主ーに吃驚するだろうという話をしている言葉に、それほど説得されることはないのだけれど。(だってその場合は、マルクスが日本に生きていたらという前提に、マ…

信念

昭和思想史研究会の懇親会で、安倍は「信念」をもっていない特別な政治家であるという話になりました。「信念」とは何か?それは無関心のもとでは中々生まれてこないのだろうとおもいます。統制する側は、無関心になってもらうことがそのまま政権に「希望」…

ゴダール

‪ジョイスの「ヨーロッパー内ー亡命」はエクリチュールの読み直しを住処としていたように、ゴダールの「ヨーロッパー内ー亡命」は映画史として再構成されるセリーとしての映像の読み直しにすんでいたということ?言説「世界-内-存在」の差異化を行うものであ…

おてんとうさま

お祭りの夜店で祖父が買った味噌おでんをパクっと食べてしまった。「食べてません」と嘘をついたら、「おてんとさまのばちがあたるぞ」と叱られた。‪どうも心の中の「反省」とは違うようである。意味がわからぬ「おてんとうさま」を三回聞いたのを思い出した…

「国内亡命」はエクリチュールの読み直しにすんでいる

「国内亡命」はエクリチュールの読み直しにすんでいるか。一考の価値あり?解釈で壊さぬ、解釈しない読み直しは可能か?知と弱さがいる。至高性と卑近性の間で、結びつかないもの同士を近づける流れ、セリー(系)を作り出すことのほかに何もできないし一人で…

歴史修正主義

ジジェクは、知識人の役割とは何かと問われたとき、かくも私たちが疎外されている原因を説明することだとロンドンの聴衆に話した。しかし日本知識人は疎外の理由を分析することをやめて、教えるようになった、世界史という物語を。そして、これに沿う形で、…

今日神保町に行ってきました。散歩していたら、なにか「地下の屋根裏」という球を想像できました。捻れながら回転し、直進しているのに行ったり来たり・今度引越したら、(人生最後の引越しかも?)、家にテレビをおく部屋なんか必要ないでしょう。ただ二つだ…

アジアのグローバル・デモクラシー

‪アジアのグローバル・デモクラシーの思想とはなにか?グローバル資本主義が齎らす孤立の"痛み"をいかに言葉にすまわせるのか?普遍主義を開かれた方向に差異化する為に。知が自らを語る言説ゲームの規則は、2011年「ウォール街を占拠せよ」運動から変わった…

津田左右吉

‪今日は「津田は明治維新をどう見たのか」のタイトルで子安宣邦氏が話した。近代が物語る「明治維新」の神話を相対化する視点を学んだ。「明治維新」の近代は本当にそれほど近代なのか?津田の見方は一見講座派的であるとおもったが、たんに講座派を再語りす…

本居宣長

『伊藤仁斎の世界』をもう一度読む前に、読みかけた『宣長学講義』をきちんと読んでおこうとおもう。朝方布団の中でその理由を考えてみた。それ以上根拠づけてはならぬものが宣長にある。一体この彼を捉えて離さないものはなにか?近代は文献学と解釈学を以…

仁斎論語

‪‪アジアのグローバル・デモクラシーの思想とはなにか?グローバル資本主義が齎らす孤立の"痛み"をいかに言葉にすまわせるのか?普遍主義を開かれた方向に差異化する為に。知が自らを語る言説ゲームの規則は、2011年「ウォール街を占拠せよ」運動から変わっ…

Art in theory

イギリス人たちの手による編集だとおもうけど、これで知った、いやずっと知っていたのだけれど、1648年と1815年というのは大切な年。知は自らとの新しい関係を作っていくために、それはアートを絶対的に選択していくことになった、1648年と1815年は、イギリ…

文化多元主義か、政治多元主義か

ヨーロッパで問題となる転向は戦争協力の転向だけだ。思想の変化は言論の自由が保障する発展だから。だがアジア知識人を殺戮した政治的多元主義の否定を導くギリギリ危ない思想の変化は、逃走すべき転向ではないか。浅田彰は専ら文化多元主義への逃走をずっ…

脱<原発体制>

「二十歳の笑顔」という全国新聞の見出しに、違和感を感じたのはこの私だけでしょうか?2011年から、この国から、笑顔というものがあるという幻想すら消滅しました。‪<原発体制>の物の見方が問題となっていることがわかってきたときに、たとえば、脱<原発体…