2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

言論の自由を尊重しない大学と書店は批判されなければならない。このとき批判の仕方も大切だとおもう。言論を通じてどういう思想を言うか、である。

政治テーマのシンポジウムにたいして大学がホールの使用を禁止したり、書店が民主主義テーマのブックフェアを中止したりすることはたしかに見逃せない問題だ。言論の自由を尊重しない大学と書店は批判されなければならない。このとき批判の仕方も大切だとお…

「不可避性」の意味

近・現代ヨーロッパ語の言葉(英語・フランス語・ドイツ語の話し言葉)はギリシャ・ラテン語の文法性に規定されているとおそらく同じ意味で、近・現代日本語は漢字と漢文に規定されているといえよう。だから、ー読まれるとヤバイが(汗)ー、「他者の不可避性」…

真の「映像の世紀」はむしろ人々が考えたくないことをあえて見せるべきではないだろうか。この映像をともなってこそ、ほかならない、思考が語る「映像の世紀」である。

おそらく最後に見たテレビ番組は「映像の世紀」(1995年)だった。TLに新「映像の世紀」のよい評判が流れてくるが、私の関心はただ、新「映像の世紀」はかつての「映像の世紀」を見た視聴者の姿を示したかということだけだ。「映像の世紀」はいかにみられたの…

'Trace et archivem image et art', Derrida ー 映画フィルムの割礼としての意味 ?'痕跡'と'起源'について新たな問題提起

映画フィルムの割礼としての意味 ? Et le film, l'experience du film, c'est ça, ça n'est pas à moi, non seulement ce n'est pas moi, mais ça n'est pas à moi et je ne peux pas posséder ça, je ne le veux pas et je ne le dois pas. Et je crois qu…

フクロウ猫はかく語りき ー ホ~、二十一世紀はどんな時代だろうか?

フクロウ猫はかく語りき ホ~、二十一世紀はどんな時代だろうか?分子の小さな人間達が活躍する時代になるニャ。「大きな人間」のままだと「一億総活躍」としか繋がることができないよ(おー嫌だ)。寧ろ70億と繋がりたい。折角生まれてきたこの惑星の色々な…

アムステルダムのスピノザ

アムステルダムのスピノザ ラテン語の完璧な知識を持っていたから、自分のオランダ語を正してくれと頼んだ1665年の手紙で「生まれたときから慣れ親しんだ言語で書いていればもっとよく思想を表現できたはずなのだが」で言われているのは、ラテン語のことだと…

ケルト特別展、大英博物館に来た

ケルト特別展、大英博物館に来た 展示されたケルトの首飾りを見ると、ジョンケージが緩やかに描いてみせた水に流れるような輪の連なりを連想した。ケルト人はおしゃれだった。だから彼らはできるだけ着飾るために遠くと交易をした。そうしてこの集団は自らを…

新オペザ座 ;シェーンベルグ「モーゼとアロン」 ー Arnold Schönberg、Opera " Moses and Aron " ( and Tarkovskii's image)

Arnold Schönberg、Opera " Moses and Aron " ( and Tarkovskii's image) ポストモダン批評家やサイードはヴェルディを再発見し色々と論じました。今回はヴェルディではなく、新オペラ座のシェーンベルク「モーゼとアロン」をみにきました。オペラのテーマに…

ウディ・アレンの新作「irrational man」

久々にウデイアレンの新作「irrational man」をみて映画館を出たとき、新聞の「二つのヒューマニズムについて」と題する記事を思い出した。(Une symbiosis de plus en plus initime enter l'homme 、Le Monde diplomatique : Les deux humanismes ) 進歩的な…

イギリスの変化(10月 2015年)

今回ヒースロー空港が非常に整備されていることに気がついた。訪英の事は全然知らなかったが、30billionをもってきた習近平と同じ日にロンドンに着いたようだ。新聞を読んで勉強する。金融危機の2009年以来、イギリス経済は中国からの投資で支えられている。…

まだテクスト論にできる仕事があるのか?ー 搾取に抵抗する人々を非政治化してしまう文化論に対する批判として、また人々が語る自由を奪うナショナリズムを相対化する視点として、形式の問題を問うテクスト論の意義が重要でありつづけている

まだテクスト論にできる仕事があるのか? 「オリエンタリズム」のサィードによると、オリエンタリズムは実体ではありません。オリエンタリズムは言語にすむ、ヨーロッパのオリエンタル的観念の構成物なのです。同様に、国家はどこに存在するのか?「想像の共…

「ラスト・エンペラー」からはじまった事柄

坂本龍一の音楽は素晴らしいなあ。なかでも、Rain (I want a divorce) が好きでした。1987年のこの映画について、筑紫哲也はラストエンペラーとは昭和天皇のことだと指摘し、手塚治虫はオリエンタリズムだと苦言を呈します。柄谷行人は外部の問題を考えたと…

「日本書記」は中国の知識人と朝鮮の知識人、そしてかれらに育てられた日本知識人との共同作業だったことの意味

声しかなかった(といわれる) 時代は、空間的でない(いきなり始まる)、感覚的でない(ずっと赤色)、外部的でない(他国との連結がない)。そこに、「自分が=語るのを=聞く」という純粋な声の経験を重ねよと「世界史対照年表」はいうのだろうか?無理無理。文字を…

ジジェクが語るマルクス、フロイト、カント

タイムラインに流れてきたこの映像とは関係ありませんが、ICAでおこなわれるかれの講演の直前に立ち寄った中のカフェテリアで直ぐ後ろに並んでいたときは、Σ(・ω・ノ)ノ!なんか配管工事のときのような作業服を着ていましたが、しかし注文はカフェ・オレでしたヽ…

大島渚とゴダール

大胆にも、大島渚は自らがヌーヴェルヴァーグに十年先行できた理由として、フランスと比べて早く日本で共産党の権威の失墜が起きたからだと看破した。このときのゴダールの沈黙はどう解していいかわからない。大島に承諾するかは別として、やはり次のことを…

感想文ーMozart 魔笛Die Zauberflöte、フィガロの結婚Le Mariage de Figaroを観劇 (ポーランド国立室内歌劇場オペラ)

Mozart 魔笛Die Zauberflöteを観劇 (ポーランド国立室内歌劇場オペラ) 最後にロンドンで魔笛をみたときに、隣の観客女性が「オーストリアの政治権力を反映した物語」と連れの者に囁いていたのがずっと気になっています。そうなのでしょうか?三人の侍女たち…

平民とはなにであったのか? ー 平民、労働者、大衆、民衆、丸山の市民、小田の市民

平民とは何であったか? '平民'という言葉は明治に遡るのですが、'大衆'と同様に、大正からデビューしてくる言説です。蘇峰の平民主義は国家主義に吸収される'平民'です。他方で、国家に吸収されない'平民'を考え、(日本の歴史に欠けていた)民衆の自立性をい…

なぜ冤罪が起きるのか?死刑の問題をかんがえるときに知らなければならない構造とは

最近はこれを指摘する意見をあまりきかなくなりましたが、国家が無実の者を処刑したらそれは国家犯罪です。ここでお話したい免田事件とは、1948年に起こった初めて死刑判決に対する再審無罪が確定した冤罪事件です。再審ではアリバイを証明する明確な証拠が…

「ユリシーズ」を脱神話化していくこと

「ユリシーズ」を脱神話化していくこと ブルームが「諸君の神は僕みたいなユダヤ人だった」というと, 怒ったアイルランド独立運動の愛国者は貴様を十字架に貼り付けにしてやると爆発。ところで(愛国者がみとめるように) 神が人間らしく生かされたり殺された…

思想史地図

思想史地図 無矛盾というものが形式的に証明不可能という数学上の定理を知ったとき、ここから思想史の重要性を理解するのに三分はかからなかった (嘘。ほんとうは30年近くかかった。) 思想史のセリー(系列)においては、諸項の間に矛盾がない。矛盾があるよう…

ヨーロッパではうまくいくのに、日本ではなぜ自発的な市民運動がかならず挫折を被るのか?

ヨーロッパではうまくいくのに、日本ではなぜ自発的な市民運動がかならず挫折を被るのか? 身近な話からしますと、昨年の秘密保護法の強行採決のときは内閣支持率が3割台まで下がったのに、その後5割近い安定した支持率になりましたように、戦争法の強制採決…

断絶は思考の特異点とみなすべき思想史のブラックホールなのだろうか?ー 近代日本における近世からの断絶の問題

近代日本における近世からの断絶の問題 反復をいかに観察するか?同じことは再び起きない。常に異なるものが繰り返されるのです。さて古義堂の仁斎は倫理的な人間的世界を考えた思想家です。武士階級が支配者となる政治体制のもとで再び始まった学問の方向が…

避難所という理念 ー現代思想の多様性をいかに保つかという問題をかんがえるためにー

避難所という理念 ー 現代思想の多様性をいかに保つかという問題かんがえるために ー フランス系現代思想の若手の研究者によると、現代思想がヨーロッパで停滞しているという。しかしここで、まだ現代思想を?ではなく、寧ろ日本を現代思想の「避難所」にし…

二十数年ぶりに、ゲッツ・フリードリッヒ Gotz Friedrichの演出で、ワグナーのラインの黄金"Der Ring des Nibelungen" Vorabend Das Rheingold (Richard Wagner)をみた。

二十数年ぶりに、ゲッツ・フリードリッヒ Gotz Friedrichの演出で、ワグナーのラインの黄金"Der Ring des Nibelungen" Vorabend Das Rheingold (Richard Wagner)をみた。神奈川県民ホールでみたときはヴォータンたち神々は一歩進み一歩下がるという単純な反…

痕跡というのは消し去ることはできない。痕跡はかならずのこるという。痕跡の問題を表現するのは現代アートである。諸々の時代の記憶が定位しているはずの整然とならべられた複数の箱・引出し・部屋に、しかしカオスの力が働いた痕跡が不可避的に残ってしまうのである。

痕跡というのは消し去ることはできない。痕跡はかならずのこるという。痕跡の問題を表現するのは現代アートである。諸々の時代の記憶が定位しているはずの整然とならべられた複数の箱・引出し・部屋に、しかしカオスの力が働いた痕跡が不可避的に残ってしま…

ジョイスのことを書いたので、ここでゴダールのことも

ジョイスのことを書いたので、ここでゴダールのことも。 うまく書けないだろうけど。 夢の言語の如く解釈不可能な「最も儚い瞬間こそが華々しき過去を所持する」(エミリー・ディキンソン) le plus éphémère des instants possède un illustre passé (Emily D…

大英博物館のケルト展

大英博物館で初めてのケルト展が始まります。方法論的探究を超えて実体的に、文字なき大和王国を実体化するのがヤバイように(現在の政治を都合よく投影した解釈でしかないから)、ケルト文化の実体化を疑うアカデミズム的見解に従ってきましたから、わざわざ…