2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人『世界史の実験』の感想文

柄谷行人『世界史の実験』(岩波新書)は彼の交換様式論を使って、言説<平田篤胤と柳田国男>の線から言説<狼人間ーノマド山人>に線を引く。面白く読みはじめたが、読み終わってみると、われわれが逃げ出したい<一国民族学>の顔の多様性を殺戮する教説<村人>ブ…

ヌーヴォ・ロマンをたたえる

https://twitter.com/waynbrunsdon/status/1097537344507387910?s=21 ヌーヴォ・ロマンをたたえる 主体は銅像の如く立つためには物の媒介を必要とするのですが、物の内部に深い疎外があります。文学はそこに人生を物語りますが、映画は空白としてのXを埋め尽…

言説『日本人』について

「帰国子女」の特権は、「みんなと一緒に」と親や先生に叱られるとき、それは日本人のことなのかとストレートに反論できること。この後、「日本人という言い方をやめなさい」と叱られるのだけれど。「『みんな』は『日本人』とは言わないのですからね」と続…

近代、脱近代、ポストコロニアル

‪近代、脱近代、ポストコロニアル ‪近代、脱近代、ポストコロニアル 普遍主義に反撥する浪漫主義的文学の近代は、絵画の近代と同じように、資本主義からの独立を目指すという近代である。文学は文学のほかに立つことはない。世界からの独立は前衛精神の抵抗…

『ベルリン・天使の詩』Der Himmel über Berlin 1987

『ベルリン・天使の詩』Der Himmel über Berlin 1987 ‪『ベルリン・天使の詩』は本当に素晴らしい映画だった。今世紀の映画史に言及されないのはなんだか寂しい。ヴェンダースは前の世代のヌーヴェルバーグの映画で相撲を取っていた中途半端な所があったから…

『皆殺しの天使』(1962 ルイス・ブニュエル)をたたえる

‪2019年は安倍政権が制作した「敗北日本」の部屋から誰も出ようとしないかんじだけれど、『皆殺しの天使』(1962 ルイス・ブニュエル)がなんかようやくわかってきたような気がする。誰も出れない部屋とは絶対権威の部屋として物語られていたのではないか。そ…

MEMO

‪安倍政権の「東京新聞記者の会見で閣議決定」は、言論・報道の自由、知る権利に対する爆撃に等しいのではないだろうか。「必ずしも簡潔といえない質問が少なからずある」(閣議決定)というが、それは質問者は国民が理解できるように質問しているからこそであ…

東浩紀氏の「多文化共生の国際社会」の言説

‪ ‬‪‪「神」に言及するのは中立の立場から両者を説得するためのただのレトリックですか?レトリックならば絡むべきではないでしょうが、しかしですよ、なんか引っかかるんですね。「神々の闘争」というロジックとしても、黙って「なるほど」と頷くこともでき…

国家神道の安全神話化

‪大嘗祭「違憲」訴訟、棄却。公費差し止め認められず。 これに関しては裁判所は、あえていいますが、まるで国家神道の復活を許すただの行政の解釈改憲ではないですか。そして国家神道の安全神話を形成してきた言説の責任が決定的にあるでしょう。日本会議を…

‪2018年の漢字は「災」

‪ ‪2018年の漢字は「災」。市民大学講座の後で池袋駅前の喫茶店で渡辺一民氏が言っていたが、財界の教育の介入によって、語学教育の中心が伝統的なテクスト読解から英語モデルの実践的会話となったが、このことが安全神話を疑う思考力を奪った可能性があると…

<半ー亡命>は思想となるか?

‪ ‪‪疎外は全体性が失われている状態であるといわれてきた。しかしそれほど単純なことではない。亡命者は困難な条件のもとに疎外されているが距離を保って全体を見渡す知識人的視点をもつ可能性のことをサイードは指摘したとわたしは理解した。この場合、距…

マラルメの詩

une constellation froide d’oubli et de désuétude pas tant qu’elle n’énumère sur quelque surface vacante et supérieure le heurt successif sidéralement d’un compt total en formation ー Mallarmé, Coup de dés 白鳥 LE VIERGE ステファンヌ・マラ…

聖人の夢

‪ ‪ 聖人の夢 聖人は言葉を制作した作者である。聖人はもう現れないという。制作の痕跡を辿ってウロウロウヨウヨする夢を見た。北に行くと、虚の側において自ら分割する粒子によって実在性が世界に成り立っている、と同時に、実の側で原初へ帰る方向がある。…

Sailing To Byzantium by W.B. Yeats

Sailing To Byzantium by W.B. Yeats I That is no country for old men. The young In one another’s arms, birds in the trees —Those dying generations—at their song, The salmon-falls, the mackerel-crowded seas, Fish, flesh, or fowl, commend all…

フェルメール

「至上なものは遠くにある」と吟遊詩人達が託す哲学者の思考の秩序は、反復する形で言い過ぎると、その秩序は最初の透明さを失わせるとともに受動的に浸透されなくなる。その秩序が唯一可能なものでもないし最上なものでもないと認めるほど自由になる。そう…

ワーグナー 『タンホイザー』(Wagner 『Tannhäuser』)

‪ワーグナー 『タンホイザー』(Wagner 『Tannhäuser』)の舞台は13世紀初頭、テューリンゲンのヴァルトブルク城。吟遊詩人の騎士のタンホイザーは、女神ヴェーヌスが棲んでいるという異界ヴェーヌスベルクに赴く。彼の精神がこの世のものではないような魔法の…

MEMO

思想の欠如。米中の時代に安倍政権に依存しきった「敗北日本」を含んだ人間世界の全体性を見渡す視点がもっと必要である。自身への反省をこめて。 (承前)日本の伝統文化については知らないし、むしろイヤだったのですが、たまたま文楽を見る機会があってシ…