ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.40

  • ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.40

  • 'アルフレッド・ヒッチコックの方法への序説’・ゴダールは手で思考してきた。なぜここにヒチコックを導入しようとするのか?...

  • ・近代が生み出した究極の夢は映画であるかもしれない。夢は、映画スクリーンをとおして、コンセンサンスのもとに目覚めるのことのない、自立した思想を発明し投射しつづけることができるだろうか?その点において、裁かれるべきは映画作家ヒトラーであるとする見解は一考に値する。ファシズムはあくまでもハリウッドと張り合うかたちで生きられたとみられている。大衆の有機的全体はもはや国民の全体主義にすぎなくなった。ベンヤミンが「芸術としての政治」と呼んだものが純然たる恐怖になりさがった。この後のヌーヴェル・バーグのゴダールたちはどうしても映画の問題を考えざるをえないのである。映画に現れたる思想の自立は完成することがなかったというか。テレビも、映画の代わりとなるまえに、コンセンサンスそのものとなる。テレビは無媒介的に社会性を帯びてしまう技術であり、しかもこの技術は社会的なものに対するズレを一切許容しないという見方がある。ファシズムのほうはテレビの小さな画面で完成したとき、だれもはいってこれない私の部屋に、楽観的な政治家が高笑いする屈辱しか伝えなくなったのである

     

 
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