時代の流れゆくイマージュ

時代の流れゆくイマージュ

現在は販売されている料亭の料理は家で食べることができるようになったのですが、バブル以降は、残念なことに、どこの経営も非常に厳しくなってきたとのこと。昔は半ズボンをはいた子供のときも漱石を読むと料亭に連れて行って欲しいと思ったし、庭のある趣のある料亭に行くと漱石を読み返したくなりました。学生のときは、繁華街でもチェーン店などは珍しかったと記憶していますが。毎晩行ったきたない安い料亭では、一時間もすると、時代の流れゆくイマージュ、大学のマスの講義において現れることがない、追放されたかのような明治、大正、昭和、内村鑑三親鸞、講座派と労農派の話が鬱屈した鍋の間を次々と通過していったものです。学生の間で防腐剤でなんとか保とうとした思想史の神殿のごとき様相を呈しましたが、現在は昭和思想史研究会にこれらが新しいコンテクストで非常に重要な足取りで帰ってきました!例えば、<市民社会>のコンセプトは、講座派と(講座派の批判を展開した) 戦後民主主義の専売特許であったのですけれど、彼らの教説に依ることなく、これをいかに、今日における東アジアのグローバルデモクラシーの現実に即して社会主義思想の再建のために再構築できるかという人類史的な課題があると思います。