2016-08-24から1日間の記事一覧

ジェイムス・ジョイスの世界 No.9

ジェイムス・ジョイスの世界 No.9 近代の作家のなかで、ジョイスはファシズムの共感と植民地主義に行かなかった稀な作家である。「亡命」の定義によることであるが、ジョイスの場合は「自分で決めた亡命self-imposed exile」と自身のイタリア行きを形容した…

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.5

「言葉と物」のコンパクトな世界 No.5 「『大正』を読み直す」は、日本ファシズムをいかに読むかという課題をもっている。現在の問題を明らかにするために、大衆が昭和ファシズムを担う国民になっていった言説空間が展望されていることは、新聞の書評で指摘…

ロダンのバルザック

Art

ロダンのバルザックは、一見してギリシャ彫刻の美しい裸体像と違う。健全な精神は健全な肉体に宿るとすれば、近代の人間の精神がかくも崇高に醜い肉体に定位しているのかと見る人をぞっとさせる。完全の表象が掘り崩される、近代のこの孤独な不完全さをみよ…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.6

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.6 映画の世紀といわれた20世紀はワーキング・クラスの時代であった。映画が衰退していく21世紀にその没落が起きたのは単なる偶然だろうか。そして「貴族」復興の時代?だが彼らが依存するグローバル時代の「この道しか…