鏡と仮面 THE MIRROR & THE MASK

鏡と仮面 THE MIRROR & THE MASK

ピカソはアフリカの仮面を利用して作品をつくりました。ポンピドウ・センターに行くと、それらの仮面が展示されていますよね。ピカソの時代の芸術は、多くのアーチストたちがそれぞれの表現の様態において、鏡と仮面 を利用して肖像画をかきはじめたことに気がつきます。映画のエイゼンシュタインも、シュールレアリスムバタイユのように、仮面に大きな関心をもっていました。仮面の痕跡は至る所に。誰にも見られない鏡の自己の姿も、誰にも見られない仮面?20世紀の近代の芸術が、仮面との複雑な関係を表現したことにたいして、1930年代のファシズム芸術は反発したかのようです。ファシズムルネッサンスもどき隠すものがないかのような単純な解剖学的身体像を呈示していきました。が、かえって、どうしようもなく死のイメージを喚起していくことになります。ところで「太平洋戦争」という言い方ですでに日本がアジアにもたらした戦争を隠ぺいしている問題も、この仮面にかかわる事柄かもしれません。戦後において戦争が終わっていないこと。戦争を終わらせていないこと。日本人が自らのひび割れた肖像画を隠す言葉の仮面