2009年に出版された「もういちど読む日本史」を開くと、338頁の最後の2頁の凝縮された記述に、「日本史」を読んでいる、この<私>が属しているおぞましい時代が語られています。中でも2003年が大きな転換点だったかもしれない

「日本史」の教科書は、自己言及的に、家永教科書裁判のことを触れないといけませんね。家永三郎が、教科書検定に関して、政府を相手に起こした一連の裁判(1997年に第三次訴訟の最高裁判所判決をもって終結した)は、日本史の大切な一部を構成するのですから。(私の高校時代ときは日本史の教科書をいちども読むことはなかったのだけれど)、2009年に出版された「もういちど読む日本史」を開くと、338頁の最後の2頁の凝縮された記述に、「日本史」を読んでいる、この<私>が属しているおぞましい時代が語られています。中でも2003年が大きな転換点だったかもしれない ('なぜ自衛隊イラクへ行かないのか'と訴えるナショナリズム)。2006年から2016年現在まで空白となっているテクストを書き込もうとすると、嗚呼溜息しか出ません。
「安定成長から平成不況へ。1980年代を通じて日本経済は安定成長を続け、・・・その間、中曽根康弘内閣のもとで、電電・専売・国鉄の民営化が実現した(<ーさせられた)。・・・21世紀に入ると、自民党公明党との連立政権を維持し、小泉純一郎内閣のもとで・・・小泉内閣によってテロ対策特別措置法が国会で成立し(<ーさせられた)、それにもとづいて、インド洋に(<ーのどこかに)海上自衛隊の艦船が派遣され、2003年にアメリカの(<ーブッシュの)イラク攻撃が始まると、(20年前から決めていたー>)有事法制の整備をすすめ、翌年にはイラク自衛隊を派遣した。また小泉内閣は2005年に郵政事業の民営化を決定した。靖国神社参拝問題では、中国・韓国の批判を浴びることになった。2006年に成立した安倍晋三内閣は、・・・」