ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.28

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.28

”われわれは道具のことを悪く言うつもりはない、ただ私はそれが使えるものになってほしいのだ。危機は道具のうちにではなく、われわれの手の弱さの方にあるのが、概して真実であるにしても、機械のリズムに身を任せた思想こそが、自らをプロレタリア化してしまうということは、だからこそはっきりさせておかななければならない。それにそんな思想は、もはや創造を糧にしていない。”(ド二・ド・ルージュモン「手で考える」1936)

 

・ここではゴダールは編集のリズムについて思考を喚起している。従属しない速度とはなにか?リズムを理念化している。思考手段としての映画の中心に、編集がある。映画の編集の問題は、ゴダールにとって、思想を書く問題と等価となるべきである。’手の弱さ’とド二・ド・ルージュモンが言った言葉をゴダールがどう解釈したかははっきりと分からないが、「手で考える」といわれるその「手」(編集作業する手)は、考える主体として、方法論をもってトータルに考えるかが常に問われることを言いたいのか?寓意的な映像を読み解くのは頗る難しい。ひとつめの映像は、それぞれに彫刻が置かれている多数の部屋とその入口を呈示している。接近の観念の映像化?二つ目のは手が編集を象徴するナイフの形となっているようであり、頭のない胴体を想像させるが、頭は解決を意味する?曖昧ながら、このモンタージュは、いかに問題を発見しそれを解決するのかという問いかけの行為と運動を示しているのではないか?

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