『思想史家が読む論語』

‪「仁斎には道徳的理念としての天は存在しても、己れの究極的な依拠(信)をそこに置くような天はない」(『思想史家が読む論語』2010)の意味がはっきりみえてきたのは、『仁斎論語』を読むことによってである。「道徳的理念としての天」の意味をよく理解するためには、『伊藤仁斎の世界』『仁斎学講義』を読む必要があったのだとおもう。ここで「己れの究極的な依拠(信)をそこに置くような天はない」といわれている問題提起を考えるために、『歎異抄の近代』があったのである。『思想史家が読む論語』における「信」の問題を考えたのは、原発体制がもたらした「信」の否定にたいしてであった。今年はこの本の中国語訳はどのように読まれるのだろうか。‬アジアの人々の中で読みたい、考えたい