2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

思想史はいかに西田幾多郎を位置づけるか? - 同一性の基底(平等性を規定する方向性)と異質性の基底(人間のそれぞれの個性を尊重した多様性を規定するような方向性)

思想史の自己肖像画 思想史は、同一性の基底(平等性を規定する方向性)と異質性の基底(人間のそれぞれの個性を尊重した多様性を規定するような方向性)から成り立ちます。一応成り立つと考えてみようということで話します。子安氏が行うように1600年に線をひく…

ネットワークとはなにか?

ネットワークとはなにか? ネットワークというものを作品化するとどういうことになるでしょうか、大変関心があります。お互いにそれぞれの内部に向かって孤立したネットワーク(系列)がせっかくそれぞれの穴倉から飛び出して外部において出会ったにもかかわ…

漢字論

漢字と仮名から成る表記体系は現代日本語をもっている。まさか漢字から侵入を受けていると思うか?思わないね。同時に、漢字が固有なものの代理とみなすこともない。漢字は日本語の外部でもなければ外部の否定でもない。漢字は日本語を外部に開かれていると…

ルソーの一般意思

丸山真男なんかをいくら読んでもわからなかったことですが、荻生徂徠などの思想(「弁名」)に、政治神学というか、社会契約的観念があったことが指摘されていています。これは私の江戸思想への最初のアプローチでした。「一般意思」といわれると、色々な場…

自民党の改憲草案の問題点

自民党の改憲草案の前文 「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。」 自民党の改憲草案だと、ヒエラルキー的に、天皇ー>国家ー>国民主権…

左翼は天皇についていつも意味づけてきたのですが、今回は無理に意味づけるよりも、おそらく、ほっておく無関心が一番

左翼は天皇についていつも意味づけてきたのですが、今回は無理に意味づけるよりも、おそらく、ほっておく無関心が一番。と、一番いいのは、天皇大好きの国民に天皇の政治化をコミットさせないためには、できることなら天皇制を廃止しそのかわりに京都に天皇…

フーコのマネ

Art for Art's sake たしか、蓮見重彦はフーコーの本のちょうど真ん中に鏡があると言った、というか、言ったままだったから、それが正確には何を意味するのかは今日迄わからないままだで、私の読解力の無さに依ることだが、兎に角彼が指示したその真ん中は、…

社会民主主義よ、理念性をすてないで!

左翼リベラルから「憲法愛国心」とか「9条愛国心」の気持ち悪い言葉をきくことがありますが、もし矛盾していないとしたら、この言葉が意味しているのは、憲法の理念性(人類の平等性・同一性を言う)が、(理念性を否定する)ナショナリズム(国家・民族のな…

「フィネガンズ・ウエイク」を称える

「フィネガンズ・ウエイク」を称える 「フィネガンズ・ウエイク」のジョイスがたたえるHere comes everybodyとは何であったのか?おそらくそれは、すべての人の同一性・平等性をいう理念への称賛を意味していた。この「フィネガンズ・ウエイク」はたとえカオ…

哲学者は新聞に媚びるな、また新聞は自分のために代弁する哲学者を都合よく利用するな

哲学者は新聞に媚びるな、また新聞は自分のために代弁する哲学者を都合よく利用するな、とおもう。常の事として、日本哲学者は、心へのアプローチから問題の所在を指摘するような哲学的とは到底言い難い態度で語る。若者を見ていると理解したいとする様子が…

なぜ「論語」を読むのか?- フランス語訳を読んで考えたこと

フランス支那学という近代の学問の解釈によるものなのか、素人の私には正しく判断できないでいるが、「論語」において「君子」と指示されているものは、フランス語でフラットに「人間」と訳されている。素直に、驚く。たしかに、規範的定義の枠組みにとらわ…

タルコフスキー、デュラス、ウルフ、ゴダール

反近代の問題は、タルコフスキーにおいて語ってみたが、本当はデュラスに即して語ったほうがよかった。タルコフスキーは、彼の映画を愛する人々から大地への帰還もどき話に専ら還元されるが、亡命者の個性的な存在のあり方を尊重する思想をもっていたことに…

左翼ナショナリズム

Wikiを読むと、大島渚「日本の夜と霧」に描かれていたような、日本共産党の毛沢東主義の活動は、左翼ナショナリズムLeft-wing nationalismとして整理・分類されているようだ。わたしにとってはこれは映画を通じてしか考えることのないテーマだったが、ダブリ…

2016年参議院選挙の意味

2016年参議院選挙の意味 安倍が訴える「日本を世界の真ん中で輝く国にしていこう」、美しい国のために「前文から全てを含めて変えたい」の言葉は、直に、東アジアの脅威にしかならない言葉でしょう。平和共存を望むアジアの人々はこの言葉に依ることができる…

近代とはなにか? 近代とは禁じられた非対称性

近代とはなにか? 近代とは禁じられた非対称性。スピノザSpinozaの近代はいかに神は自らを物に表現するかと最初に問う方法にあった。かれの方法には方向性があった。逆の方向から、つまり物から神を問わないのである。同時代のロックLockの場合は、労働から貨…

安倍の言葉には誠がない。実がない。実がないとは何か? 人に対して実をもってするとは、人に対して誠実で、欺かないことである。仁斎はこの信を人道の本という。人間の世界はこの信からなる

「日本を世界の真ん中で輝く国にしていこう」(安倍晋三のJR秋葉原駅前での演説) この人の言葉には誠がない。実がない。実がないとは何か? 人に対して実をもってするとは、人に対して誠実で、欺かないことである。仁斎はこの信を人道の本という。人間の世界…

2016年参院選<後>を読む

安倍首相は英のEU離脱の国民投票のように、「前文から全てを含めて変えたい」と明言していますが、アベノミックスをあれだけ評価しないのに安倍政権を「変える」ことをこれだけ望まぬ国民が憲法を根本から「変える」ことに賛成するのでしょうか?安倍首相は…

ドゥルーズ「差異について」(邦訳1989年)を読む

ドゥルーズ「差異について」(邦訳1989年)を読む アジア哲学の中心にある「性」の概念は、同一「性」と異質「性」の二つの方向をもっています。「理」と「気」、この両者は、朱子において、同時に存在しました。が、「理」は「気」に先行するというふう…

権利のない社会と格差の社会に反対!

近代とは禁じられた非対称性

近代とは禁じられた非対称性。スピノザの近代はいかに神は自らを物に表現するかと最初に問う方法にある。方向性がある。逆の方向から、つまり物から神を問わない。同時代のロックは労働から貨幣を説明し始めた。貨幣から労働へ行かない。やはり方向性があり…

国や時代に対等な「わたし」をつくれ!、このことが、私が良く生きるための条件ですし、皆さんも国と対等になれ!

ファシズムは近代国家からしかあらわれてきませんが、ただし、それは戦前のいわゆる単一価値観の全体化からしかあらわれないにきまっていると決めつけることはできません。ファシズム前夜の現在、高い教育のもちでも起きうる危険性も考えに入れておかなけれ…

道行われず。筏(いかだ)に乗りて海に浮かばん

由や、勇を好むこと我に過ぎたり。材を取る所なからん。」(公治長)

「子の曰く、道行われず。筏(いかだ)に乗りて海に浮かばん。我に従わん者は、其れ由(ゆう)なるか。子路(しろ)これを聞きて喜ぶ。子の曰く、由や、勇を好むこと我に過ぎたり。材を取る所なからん。」(公治長)

「子の曰く、道行われず。筏(いかだ)に乗りて海に浮かばん。我に従わん者は、其れ由(ゆう)なるか。子路(しろ)これを聞きて喜ぶ。子の曰く、由や、勇を好むこと我に過ぎたり。材を取る所なからん。」(論語、公治長)

国民投票の意味 (5)

EU

国民投票の意味 (5) ロンドン元市長のボリスは、ギリギリ危ない言説をテレビの討論番組展開していたようだが、公にEU離脱派がメディアでどんな移民排除のキャンペーンを展開したかを詳しく知ることは難しい。例えば、移民にたいしてこれを吠える番犬が必…

伊藤仁斎の天道観を参考にしながら、天道を描いてみました...

伊藤仁斎の天道観を参考にしながら、天道を描いてみました。 「語孟字義」のなかで、子安宣邦氏が注目している、陳北溪による次のような言葉あります。「誠字はもともと天道についていうものである。天道の流行は、古より今に至るまで、いささかの妄(みだれ)…

ドゥルーズ「意味の論理学」を読む

1970年代になって、ガタリと共同して著作活動を行い、その成果は「アンチ・オィデプス」、「カフカ」、「ミルプラトー」として刊行されるが、この三冊はなんといっても映画の思考に規定された仕事だとおもう。1969年の「意味の論理学」、「差異と反…

国民投票の意味 (4)

英のEU離脱の問題は、世論調査の質問できかれていたみたいだけど、「日本経済に悪い影響があるかどうか」という関心しか呼ばないのでしょうか?多分どうせそれは安倍が答えるのでしょう。英のEU離脱の問題は、現状においてそれを思想的に考えてみようとする…

History of literature in English

英文学はEnglish (British) literatureだけれど、だからといって、専門家ではありませんが、私が興味をもつ文学の歴史は the history of English literatureといえるかというと、ロンドンではちょっとその言い方について考える必要がありました。History of …

ペドロ・コスタ監督の「ホース-マネー」の感想文

渋谷で, ポルトガル映画のペドロ・コスタ監督の「ホース-マネー」を鑑賞。ペドロ・コスタは、オリヴェイラならば中流の人々を通しでなければ表現できなかったものを移民において表現できた。貧困を徹底的に観念化できる詩人だけが、人間の本質の瞬間をスクリ…

エマニュエル・トッドのインタビュー記事をよむ

EU

エマニュエル・トッドのインタビュー記事をよむ 英の国民投票の結果を解釈するのは難しい。エマニュエル・トッドは日経新聞のインタビューで、「エリート層への反乱は英の伝統ではない」という。成程たしかに、フランスとは違うことは分かる。だが、「反乱」…