2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.19

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.19 ・break-through '壁を突き抜けよ'と言うんだったらこれくらいラジカルにイメージを構成できるかだよなあ... On peut la dessiner sur un mur, la concevoir comme une œuvre d'art, la construire comme une action…

翁長知事「裁判所は政府の追認機関」

翁長知事「裁判所は政府の追認機関」 判決を読むと、この国は「普通の国」ならば当たり前のことをやっているに過ぎないと繰り返している饒舌なプロパガンダのようです。プロパガンダというのは、国家は間違っていない、なぜなら国家は間違っていないからだと…

論語の世界 No. 10

論語の世界 No. 10 ここで言葉の問題についてかんがえてみますと、ヨーロッパ語の翻訳で考える日本語の貧しさというか、これでは書いている人も読む人も考えることができないのだと思います。言葉の構造の問題ならば、個人個人の努力ではどうにもなりません…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.18

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.18 ’イェルコへの途上、 暴徒達に身ぐるみはがされた者を前にして、 警察、プロパガンダ、国家、... 見よ、手を、暴虐な神の名を、 人間達の傲慢な理性は自らの姿に似せて、その神を作り出す術を知っていた’ ・プロパガ…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.17

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.17 La carte est ouverte, elle est connectable dans toutes ses dimensions. démontable, renversable, susceptible de recevoir constamment des modifications. Elle peut être déchirée, renversée, s'adapter à d…

小林秀雄を考える

高校生のとき以来、疑問をもっている。この人は思想家なのだろうか?日本思想の中心にいた講座派系の羽仁とか(講座派を包摂する)丸山の、あの客観的な語りはこの人の思想に存在しない。どうしてこのこの人は作家の語り口で登場人物の一人としてパスカルを…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.16

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.16 ”着飾った感情でもなく 理想でもない” ・映画がとらえる対象とは、自己限定した、内容の乏しい’着飾った感情’の側にあるのではなく、また構造の枠組みに教条主義化された無理な’理想’の側にあるのでもない。ここでは…

ワグナー『タンホイザー』の感想文

ワグナー『タンホイザー』の感想文 今日はメットの映画中継オペラで、『タンホイザー』を鑑賞しました。1861年にナポレオン3世の招きによって実現したパリでの初演はオペラ史上最も大失敗を引き起こしたものとして知られていると資料に記されていますが、有…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.15

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.15 ”映画は私たちの眼差しを私たちの欲望にかなう世界に置きかえる” ・映画は時代と国と対等なものになれなかった。No.13で述べたように、ゴダールにとって、「収容所」を撮った映画が存在しなかった映画の歴史は失敗の…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.14

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.14 サイレント映画とは何であったのか?沈黙する映像の傍らで、スクリーンに投射された書かれる言葉(エクリチュール)こそは、’宇宙の全体’とバタイユが呼んだもの。スクリーンのエクチュールは、外部である。愛され…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.13

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.13 ”つまり差し伸べられた手であり” ・暗闇のなかではこの「手」は見えない。感覚はあるけれど、それは「手」が指示する感覚であるとする保証はない。このことは哲学問題を構成してきた。あなたの「手」はほんとうに<…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.12

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.12 グレコGrécoは光と闇のテーマも読み取れます。価値あるものが価値のないものに覆われてしまうのか、逆に、前者が後者を包摂するのかをめぐるギリギリの均衡をみてとれますが、この均衡を占拠しているのは、近代の(自…

「二重国籍」の問題も、21世紀の問題を考えるほどの豊かな議論になっていかないですね、この問題の根底に「属する」ことの限界というか、そういう問題があります

1、繰り返しになることを恐れますが、自分の考えを整理するために大切な点なので強調しますと、政府批判を行う野党指導者に対する排除が起きている可能性を問題にしています。排除の問題について考えるために、他のこと(「二重国籍」というへートスピーチ…

再び、「ホンモノ」か「ニセモノ」かという起源が問われれている

ヨーロッパが「ホンモノ」、日本がそれと違うことをするときは「間違い」と堂々と言えないせいか、姑息にも、「ホンモノ」文化アイデンティテイーと「ニセモノ」文化アイデンティテイーの間の線引きを始めた。「ホンモノ」文化アイデンティテイーの修正を、…

「論語」の世界 No. 9

蓮舫氏という名の野党指導者に対する、事実上の屈辱

1、究極的に価値あるものとは、偶然によってはかられるものじゃないでしょうね。たまたまどこの国で生まれたとか、生まれなかったという事実は、偶然に属する事柄です。 2、究極的に価値あるものとは、そんな偶然的事実ではなく、むしろ共同体の人々と何を作…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.11

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.11 愛とは精神の極み。 そして隣人への愛とは、一つの行為。... ・暗闇が覆うイメージを指示することによって、ここで「隣人」の理念について語るのはなぜか。暗闇のなかで語らなければならない、ここでただし光ついて…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 13

言葉と物のコンパクトな世界 No. 13 ドゥルーズもよくジョイスに言及している。ドゥルーズはなんといってもフーコの本が「宇宙第一の書」であった。プルーストとジョイスの本といっしょに、自分の本について語ってきた。「昔の流儀で読まないが、また昔の…

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 13

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 13 ジョイスのどの一行を読んでも、そこに<自分は悪くないんだ、悪くなかったんだ>と訴えている彼の自己正当化を読んでしまう。そこには、ジョイスが不満におもった文化権力にたいするたたかいと、それを体現した、彼以外…

「論語」の世界 No. 8 ー安倍自民党がアナクロ的に称える<教育勅語の国民>を批判する

「論語」の世界 No. 8 ー安倍自民党がアナクロ的に称える<教育勅語の国民>を批判する 小田実はこう言った。「民主主義というのは、しゃべることによって成立する。言っておくけど、これはローマにはありません。ローマとギリシャを混同しないでください。…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.10

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.10 精神が真なるものを考えるものとなるのは、その現前を表明明するときのみ。そして「表明するmainifester」という語には、「手main」が含まれている ・ドニ・ド・ルージュモン「手で考える」(ガリマール社、1936)…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 12 (続)

言葉と物のコンパクトな世界 No. 12 (続) 「人間の分身」では、差異と同一性の間の繰り返されるゲームとしての近代の思考について語られる。難しい言い回しである。私はフーコーを読めているとは思えない。だが文脈("王の場所")からなんとか理解すると、…

百年後の人々は9/11をどのように語るのでしょうか?あれは最初の9/11だったとおもいだすのでしょうか。「イラク戦争ではない」という言い方で、イラク戦の反復にストップがかからないと心配します

百年後の人々は9/11をどのように語るのでしょうか?あれは最初の9/11だったとおもいだすのでしょうか。「イラク戦争ではない」という言い方で、イラク戦争の反復にストップがかからないと心配します。イラク戦争はいつ終わるのかという問題提起が必要となっ…

百年後の人々は9/11をどのように語るだろうか?あれは、最初の9/11だったとおもいだすことになるのか?(Remembering the first 9/11)

9/11のときは、アメリカ人の死者は2996人であった。 アメリカによるイラク侵攻の間に、9/11になんの関わりもなかった罪無きイラク人が1455590人死んだ。 百年後の人々は9/11をどのように語るだろうか?あれは、最初の9/11だったとおもいだ…

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 12

ジェイムス・ジョイスの世界 No. 12 ITHACA, JOYCE ' ULYSSES' 1 What parallel courses did Bloom and Stephen follow returning? ブルームとスティーブンは帰途いかなる平行線をとったか? Starting united both at normal walking pace from Beresford pl…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.9

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.9 理念としての音のあり方をかんがえさせる。小さな声の理念性、聞くことの理念性から、音の理念性のことが語られる。だれが最初にきいたのか?この人のまえに、声というものをきいたものはいないし、音というものもき…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.8

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.8 ・理念としての聞くことのありかた。これは、No.7で述べた、小さな声の理念性と一体をなすとかんがえられる。(ポール・ヴァレリーの詩(堀口大学訳)からの引用) (駒鳥の声のなかの、フルートの音の妙なる細部と…

「論語」の世界 No. 7

「論語」の世界 No. 7 朱子は「四書五経」とくに「大学」を第一とする儒家の国家哲学的教説体系をもった。徂徠古学は「書経」を選び、この流れを受けて宣長古学は「古事記」を選んだ。「古代先王の道」(徂徠)、「神の道」(宣長)とは、天皇制のファンダメ…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 12

言葉と物のコンパクトな世界 No. 12 「人間の分身」では、差異と同一性の間の繰り返されるゲームとしての近代の思考について語られる。難しい言い回しである。私はフーコーを読めているとは思えない。だが文脈("王の場所")からなんとか理解すると、市民の…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 11

言葉と物のコンパクトな世界 No. 11 本居宣長の仕事のユニークなのは、言語の存在と人間(共同体)の存在とを同時にあつかっているところにある、と、私のような素人でもそれなりになんとかわかります。ただ、この「同時」というのは、何でしょうか?宣長…