白紙の本

白紙の本

「しかし、人生は決して定められた、すなわちちゃんと出来上がった一冊の本ではない。各人がそこへ一文字一文字書いてゆく、白紙の本だ。人間が生きてゆくそのことがすなわち人生なのだ。労働問題とはなんぞや、という問題にしても、やはり同じことだ。労働問題は労働者にとっての人生問題だ。労働者は、労働問題というこの白紙の大きな本の中に、その運動によって、一字一字、一行一行、一枚一枚ずつ書き入れていくのだ」(第一次「労働運動」第6号、1920年6月)。

大杉栄が労働者に語った言葉。ここに主張されているのは、大杉が幸徳秋水とともに語った直接行動論の理念性です。これは大杉の反ボルシェビキ、反第二インターナショナルの考えを凝縮した言葉です。たとえこの二人が知られていなくとも、68年に再発見された大杉と幸徳の理念は、「ノンセクト」の自発的な運動の主体性ーたとえば21世紀の香港、台湾、ニューヨークのウロウロウヨウヨ、ワイワイガヤガヤするの抗議運動ーにおいて現実化しています。21世紀のグローバルデモクラシーは「白紙の本」に一字一字、一行一行、一枚一枚ずつ書いています。そして現在沖縄の人々はなにを決めたか?非暴力抵抗の直接行動の理想でたたかうしかないのだときめたようにみえます。それにたいして、海保が市議視察船の船長の胸ぐらつかんでいます (写真)。自分でもこんな労働をやっている理由がみえない人間が自分の疑問を絞め殺そうとしているかのよう。疑問に思った労働を止めるかサボればいいのに、無意味に頑張りぬく日本人の絶対に降参しないという無理な兵隊メンタリティー。逃げられなくなってきた、文字通り自分の首を絞めている明日の日本人の一人ひとり姿。しかし