映画の感想文 ー シュレンドルフ監督「ディプロマティック」

日曜日に渋谷で、「ブリキの太鼓」のシュレンドルフ監督がつくった「ディプロマティック」を観ました。なるほどあのように、パリのレジスタント運動の反撃が連合軍に先行したからこそ、戦後のフランスは米国に従属しない立場を保てたことがわかります。映画のタイトルの'ディプロマティック'は、'外交'を意味する言葉。ヨーロッパの危機に生きる現在の観客に、中立国の外交官とナチスの将軍の間の交渉を見せる前に、まず、映画の導入部の冒頭は絶対にフルトフェングラーのベートベン交響曲 (当時のラジオ放送のもの)でなければならなかったのでしょう。おそらく他の音楽では不可能だったにちがいありません。