「まさか戦前じゃあるまいし・・・」、「断じてない」

「まさか戦前じゃあるまいし・・・」、「断じてない」

戦前を経験した、わたしの知っている人びとは現在、戦前と同じようなことが繰り返されてきていると警告してきました。昔読んだ、なぜ戦争が起きるのか言ったフロイトの文を思い出します。ワイマール憲法ヒトラーとの複雑な関係を精神分析的に分析して投射のメカニズムというものがいかに働くのかを明らかにしてみせました。ここでうまく説明できないかもしれませんが、こういう趣旨のものでした。近代・現代の侵略者は、いわば検閲機構と同じ役割をもつ戦争を禁じた憲法のせいで、検閲=憲法の監視から、自分の攻撃性を隠さなければならない。だからナチスのような侵略者は常に、検閲=憲法の監視の目をかいくぐるために、それと折り合いをつけるかたちで、「敵」が攻撃してくると言い出した、とフロイドはみていました。そうして侵略する欲望を<合法的に>実現していくわけですね。昇華することによって置き換えていく、投射のシステムが、社会的に起きてきたというわけです。安倍はこういう戦前の戦争体制を繰り返そうとしているようにみえます。そうであれば、集団的自衛権の場合、攻撃意思表明なしで行使可能とする安倍首相の見解がいかに破壊的なものであるかを見抜かなければなりません。 「まさか戦前じゃあるまいし・・・」、「断じてない」と、戦前のことをよく知っているという身振りで当惑する、安倍の支持者たち、また安倍に反対するが自民党を支持することで安倍に同調していることを理解できないような、事なかれ主義者たち。彼らは、<領土問題の解決は戦争によってしか解決しない>という戦前の教訓から学ばないとしたら、このかれらは戦前についていったいなにを知っているといえるのでしょうか?