ゴダール

「全ての作品は思想性を備えてくる。文字に書かれた作品ばかりでなく、美術・音楽・演劇・建築に至るまで思想性を検証できないものはない」。ゴダールの映画作品による思想表現の過剰なほどの代替があった。問題は、一体どんな歴史感覚をもって、映画の歴史を思想の歴史に対応させることができるかである。

資本主義的近代において思想的自立をいかに獲得するか、それが思想の20世紀的問題だ。同様に、20世紀に誕生した映画は自立した思考を獲得できるのか。だが映画からその生命を搾取した現実世界は全体主義へ行く。搾取された映画の方は思想的自立なき現実世界との区別を失うという消滅の危機を絶えず経験していく