アベノミックス

浜矩子氏が過剰な言い方で「安倍首相は幼児的凶暴性の強い人」と言うのは、そう言わなければわからないからそう言っていることなのでしょう。問題はデモクラシーにかかわること。つまり全体から人間社会を捉えるその必要を喚起しています。その意味では、グローバル資本主義から自立するために、財政に対する民主的介入の要請が言われるようになったこの時代に、「財政赤字」を否定しないというだけの理由で、その新しい経済理論に反発するようでしたら、この経済学者のために無条件には拍手できません。アベノミックスに義憤をもってはいても、理論に先行した、「プロ」ならではの市場に対するオカルト的依存の観念に等しいものがみえてしまうからです。人びとが依拠できるものは、「プロ」であろうとする理論のなかに依然としてもとめられるのか、このこと自体について一人ひとりが考えることが要請される時代です。「プロ」であるネオリベ経済学の時代にあってまだケインズを読む可能性があるとしたら、それは、彼が、知識人としてあることが「プロ」意識に対する距離からする必然性を喚起したことにあります。それはポピュリズムと異なる道徳的なあり方ー恐らく芸術と切り離してはいけないーに関わるとわたしは思います