BBC

賃貸借契約を済ませて、初日に、ロンドンで借りることになったアパートのそのポストに、何と、BBC受信料不支払いを理由とした強制執行を二週間以内にするという通知が入っていた。イギリスに来て一ヶ月、テレビを観ることがなかったが、来るなら来てみろと笑った。どの部屋もガランとしていて、差し押さえるものは何もなかった。わたしのロンドン生活は、人違いとBBCと裁判所からの支払い命令からはじまった。思い返せば、BBCがなければやっていけなくなる4年間だったと言うのは、BBCはこの国で何が起きているのかを伝えるだけでなく、啓蒙的にその意味を解釈するからである。間違いを恐れず敢えて言うと、三権分立も国家も公共放送を住処としているとおもう。そうしてイギリス人の間で最も信頼できない職業が政治家となっているのは、‪BBCという公共放送のおかげかもしれないのである。) 色々な理由で逆の方向に行く公共放送もあるようだけれど‬その出発を為した、とてつもないことを実現しようとした原点をどうか思い出してほしい‬)