テートモダン常設展('詩的想像力')の最初の部屋にキリコGiorgio de Chiricoの作品が飾られています。なぜこの絵が?と最初思ったがここに通っているうちに段々とみえてきました。▼だがカントの本の表紙をキリコの絵が飾るという必然性が理解できたのは、カントの統整的理念の意味を読めたときでした。キリコの作品こそは統整的理念の意義について考えさせるものでした。▼さて柄谷行人はこの統整的理念を以てイデオロギーについて語ることになったのですが、しかし「天なる帝国よ、内なる固有信仰よ」なのかしら、柄谷さん?もし「世界共和国へ」は実は帝国の構造へという意味だとしたら、「共和国」の民主主義的理念はどこに消失してしまったのでしょうか?▼秩序オプチミズム、天なる帝国の構成的原理こそ、民主主義の声をあげる統整的理念を嘲笑うことになっていませんか?▼そして柳田論も相当にヤバイですね。複数の日本、複数の日本語のために努力してきた'穴あけ'の多様化の努力が有効でなくなったといきなり勝手にきめつけて、あなたが戦略的に?強調なさる「固有信仰」で意味されるのものが基底...的深層としての'一つの日本'だとしたら...。