「三つのエコロジー」(1989年)のフェリックス・ガタリはどのようにドナルド・トランプについて批判していたか?

  • 「三つのエコロジー」は1989年に出た本だが、この中でフェリックス・ガタリドナルド・トランプについて言及していた。「社会的エコロジーの範疇に入る別種の藻類が、ドナルド・トランプのような類の人物を通して野放図に増殖もしている」。以下は前後の文を含めた引用

  • 「従来にもまして自然と文化を切り離すわけにはいかなくなっているのであり、また、エコシステム、機械領域、社会的・個人的な参照系といったものの相互作用を「横断的に」考えていく習慣をわれわれは身につけねばならないのである。突然変異的でバケモノのような藻類がヴェネチアの海に侵入しひろがっているのと同じように、テレビ・スクリーンは「退廃した」イメージや言表の群れであふれている。さらに、社会的エコロジーの範疇に入る別種の藻類が、ドナルド・トランプのような類の人物を通して野放図に増殖もしている。トランプはニューヨークやアトランテック・シテイなどの街区をわしづかみにしながら、「模様替え」を口実に家賃をあげ、同時に、幾万もの貧困家庭を圧迫して、大半を「ホームレス」の状態におとしいれたーこれは環境エコロジーにたとえてみれば死んだ魚に相当するものである。(・・・)人間という種のみならず、人間連帯の言葉も文章も行為も消滅の危機にひんしている。女性解放のたたかいや、あるいは失業者や「周辺に追いやられた者」、移民労働者などからなる新しいプロレタリアートの解放のたたかいをも沈黙の覆いでおし殺すために、すべてが動員され作動しつつあるのである。」(杉村昌昭訳、平凡社ライブラリー

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