演劇

観客の位置も聞く側の非在にあるといえる。話す側の現前にいない。観客の視点から眺めると、舞台の話者と聞く者の関係は、言語の端における関係としてあらわれる。17世紀の芸術が文学に場所を与えようとした時代に近代演劇が成立した。20世紀後半は、あえて映画のように反演劇的ジェスチャーをもって、芸術を言語の端(言説)に置くことを試みた。近代という時代が何者かを知ろうと聞こうとしたとき、そこで17世紀は話す側から聞く側へ移行していくことになった