英国のEU離脱の問題

‪ 英国のEU離脱の問題を知的にかんがえる人はいない。思想問題としてそれを考えてみることはできないものなのかとわたしはおもう。難しくとも、グローバル資本主義の時代にあって、形は違うが、あちらで起きていることはこちららでも起きているのだ。考えられないことはない。まず西欧の思想は最高なものであると考えてみたら、どういうことが言えるか?西欧の思想は帝国主義の近代による限界をもった。世界史の年表を注意深くみると気がつくが、ヨーロッパの帝国主義はヨーロッパの外を植民地化しただけではない。実はヨーロッパの内をも植民地化していた。だから西欧の思想を真に最高なものにしていくためには、ヨーロッパ諸国同士の戦争に帰結した帝国主義の近代を克服しなければならないだろう。そのためには、日本近代の批判的相対化は漢字を以ってアジアと江戸思想から行うのと同様に、ヨーロッパの内側で植民地化された国から考えること (アイルランドで発展していった英語と、それによって喋りはじめた文学は植民地をもたなければゼロである近代化のあり方に抗議した)、そしてフランス革命がはじまる近代を批判的に相対化できる時代から考えること(17世紀の危機の時代。ポストコロニアルが考えるマリー・アントワネットの「女性原理」の時代)。英国のEU離脱の問題は、19世紀20世紀を乗り越える21世紀の思想的課題を打ち消そうとしている点にある。イギリスはEUの時代に、「領土」を前提とした主権概念を克服できないでいるのか?あるいはグローバル資本主義に対抗する愛国心として発明しようとしているのか?