2016-01-01から1年間の記事一覧

「ザ・ガーデン」紙の論評 ー トランプについて

「ザ・ガーデン」紙の論評を読むと、英国保守主義の危うい現在について論じているが、気になるのがトランプの分析と彼の圧倒的な影響力を論じたところ。トランプは女性蔑視・人種差別・少数者差別を行うが、適正な選挙を重んじる点が、プーチンでもヒトラー…

マニエリスムをたたえる

マニエリスムをたたえる マニエリスムはルネサンスから自立しようとした多様な方向性をもった運動の代名詞であるが、バロックはここからしか生まれなかったではないか。映像は一つの視点の言葉(樹木的中心化)を読もうとはしないし、言葉のほうも一つの視点(…

カラバッジオCaravaggioをたたえる

カラバッジオCaravaggioをたたえる • 今日はナポリに三つあるカラバッジオの作品の二つ目を見ました。昨日はバロックの絵画史的な位置を自分なりに理解できたように思ったのですが、今日はその歴史においてカラバッジオが初めて行なった、彼の前に誰もできな…

ロッセリーニをたたえる

‪ロッセリーニをたたえる ・ヌーヴェル・バーグをはじめ戦後の新しい映画の表現の可能性をいかに拡大したかについてロッセリーニ「イタリア旅行」の意義が強調される。だが、この映画のなかで、愛が冷めた夫婦の妻を演じた、イングリッド・バーグマンに起き…

フェミニズムをたたえる

‪フェミニズムをたたえる ポンペイは古代ローマの植民都市でした。ただ現在再建されている劇場は、古代ギリシャの半月型のものでした。イタリア人女性ガイドによると、半月型(半円)はメガフォンと同じ形で、(そのガイドが指を指して立っているところですが)…

ナポリをたたえる

ナポリをたたえる ポンペイの火山の灰に覆われて地中のなかの古代ローマ劇場は、こうだっただろうという形で(なぜか、ローマ時代に先行するはずの、いわばオリジナルとしての半円形古代ギリシャ劇場!)、火山の岩で再建されている。それがコピーであると聞か…

ローマ・オペラ劇場

ローマ・オペラ劇場は、都会的なミラノのスカラ座と比べると、あたたかい雰囲気があります。ひとまわり小さく、なにか、音が近くから聴こえてくるいい感じです。二年前までは、ここでムーテイーが監督指揮していましたが、ベラスコー二の文化予算削減に怒っ…

ローマをたたえる

ローマをたたえる カラッバジオの代表作は、ローマ教会の聖壇の一部だから、ロンドンの美術館に展示されることはないのですね。おもいだすと、ヨーロッパに初めて来たとき、ヨーロッパを代表する絵画の全部が、国立美術館のなかにあるわけでないという事実を…

ローマの映画館

大通りはあまりにも同じ記号が使用され、あまりに同じ反復が繰り返されているのですけれど、その裏道には、世界にまだ少なくともひとつは映画館が存在していると信じさせてくれるような、そんな映画館の前を通りました^ - ^

ワグナー

ワグナーは、想像力を失った現代に神話を与えました。われわれは皆イゾルデの子孫であることを未来に向かって思い出せ、と、言いたいようです。だけれどワグナーがそう仄めかすようには、神話というものは、それほど統一されていたのでしょうか。読まれるべ…

芸術は定義できるか?芸術は定義できないか?

芸術は定義できるか?芸術は定義できないか? Gesamtkunstはワグナーが提唱した言葉で、音楽・絵画・建築・舞踏など複数の分野の芸術の混交によって創造される一つの統一的な芸術のことをいうらしい。(20世紀の映画の問題は19世紀のオペラに遡る。) ここでは…

「近代」とは何か?

「近代」とは何か? モノが主催する中世思弁哲学から最初に決別したのが、カントであった。彼は自らの批判哲学に経験知を導入して中世思弁哲学を解体したとき、そこで発見されたのが先験的ー経験的二重体の人間であった。後に続く、ヘーゲルとマルクスの課題…

教育について

90年代からあらわになったネオリベ型グローバル資本主義の展開とアフガニスタンとイラクを爆撃した戦争で、21世紀には社会民主主義とマルチカルチュアリズムが成り立たなくなったようにみえる。しかし普遍主義というものがまったくゼロになったということで…

芝居「思想たちの黄昏」

芝居「思想たちの黄昏」 登場人物; 反近代 (空間1) 脱近代 (空間2) 近代 (空間3) (筋書き) 文化大革命の政治闘争を文化闘争にしたあり方、安倍政治の宗教を文化にするあり方に、反近代主義の特に権力集中への憧憬があります。批判される脱近代主義者は、反近…

イタリア国民投票

• イタリアの憲法改正を問う国民投票は日曜日。改革を円滑にし安定化させたい首相の要求通りに改正賛成だと、権力が集中する心配がある。上院の権限縮小と二大政党化ー日本が推し進めた方向ーは、ムッソリーニのような独裁そしてベラスコー二の権力濫用を防…

ポンペイの廃墟

嗚呼、ポンペイの廃墟ー火山灰で消失させられたのにその火山の岩で再建されたような偽半月型古代ギリシャ劇場ーをおもいだしますね。イギリスの美術評論家は問いました。現在に繋がっていない、役に立たないいわば"死んだ"過去の芸術作品を見に遠くに出かけ…

オペラとはなにか?

200年前の1816年にロッシーニ「オテロ」が作曲されました。歌い手に見せ所を与える楽しいオペラですね。オペラとはなにか?私は知識もありませんが、歴史的関心から、オペラはバロックから生まれてきたことが強調されることは気になっていました。たしかに、…

シェークスピアとブレヒトからの問いーオペラを介して

シェークスピアとブレヒトからの問いーオペラを介して ‪17世紀にシェークスピアは愛の不可能性が暴力によることを初めて見抜いたとおもうのですね。愛というものが自らを示したのは「オセロー」からなのです。愛は17世紀の前には存在することがなかったので…

普遍主義が息詰ってきた今日において、オリジナルでなくコピーでもないような、<間>に生成していく世界に、新しい普遍主義、あたらしい人類的な思考のチャンスはないのか?

記号論的にみれば、「近代」とその発明物の「ナショナリズム」においては、オリジナルが<+>、コピーが<ー>として現れる。これとは正反対に、「脱近代」と「マルチカルチュアリズム」では、オリジナルが<->、コピーが<+>である。普遍主義が息詰っ…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 29

フーコ「言葉と物」の’人文諸科学’に分析された、レヴィストロースの三角形から着想を得たような三つのモデルとは、「経済学⇔社会学/葛藤⇔規則」、「生物学⇔心理学/機能⇔規範」、「文献学⇔文学・神話/意味作用⇔体系」である。それぞれについては、渡辺氏…

Cage and Godard

In praise of John Cage (No.2)  ジョン・ケージをたたえる

In praise of John Cage (No.2)ジョン・ケージをたたえる 「もちろんです。ソローは(ジェフーソンの<最良の政府とは最小限しか支配しな政府だ>という格言を次のように言い換えたとき)かなり明快にアナーキーを言い表わしました。しれは<最良の政府とは全く支…

In praise of John Cage (1)  ジョン・ケージをたたえる 

In praise of John Cage ジョン・ケージをたたえる あなたが有と無を対立させているかぎり、とにかく知的な分類遊び(カテゴリー)に留まっているわけです。わたしが<間にーあるー無>の話をしたときに言いたかったのは、そこで問題となっている無は…存在で…

思想史をたたえる

思想史をたたえる 思想史は、先行するものを問いて、絶えず距離を書きなおす過程です。思想史は同時に二つの方向をもっています。外の思考とこれと方向の反対向きの思考です。この両者の間に、終わりなき循環があるでしょう。たとえば、現在における、外の思…

レトリックをたたえる

レトリックをたたえる The guardian のテニスの記事に目が行ってしまいました。マレーがジョコビッチを下してworld no 1。面白いのが、マッチの長さを論じるのにマクベスの「どうせやってしまうのなら、早い方がいい(だったっけ?)」という存在論的セリフが…

アイルランドのウィットゲンシュタインが探求した「生成している世界」

アイルランドのウィットゲンシュタインが探求した「生成している世界」。無理に一つのアイデンティティに統合するから分裂の危機が起きる。分裂が先行するのではない。どんな関係を設定しない方が、ものはより豊かに、より複雑に浸透するだろう。特に組織す…

芝居「思想たちの黄昏」

芝居「思想たちの黄昏」 登場人物; 反近代 (空間1) 脱近代 (空間2)... 近代 (空間3) (筋書き) 文化大革命の政治闘争を文化闘争にしたあり方、安倍政治の宗教を文化にするあり方に、反近代主義の特に権力集中への憧憬があります。批判される脱近代主義者は、…

斜線からきた人類 No.2

Heidegger and Wittgenstein20世紀哲学の代表選手はハイデガーとウィットゲンシュタインだという。何という高さ!だけれど、「存在」は「存在者」と違うように、「学ぶ」は「教える(教育する)」と違う。と、このように「存在」も「学び」も読めるのは、対他…

21世紀には社会民主主義とマルチカルチュアリズムが成り立たなくなったようにみえる。しかし普遍主義というものがまったくゼロになったということではない。決してそうではない。ヨーロッパでは新しい普遍主義、新しい人類的視点を模索しているのだが、思考の決定的な欠如から、共同体の自立したあり方を非常に混迷した悪い形でしか考えることができないでいる

90年代からあらわになったネオリベ型グローバル資本主義の展開とアフガニスタンとイラクを爆撃した戦争で、21世紀には社会民主主義とマルチカルチュアリズムが成り立たなくなったようにみえる。しかし普遍主義というものがまったくゼロになったということで…

同一化の問題 - 民主主義を呼びかけるリベラル・エリートへの同一化が起きなかったように、現実には、反民主主義を呼びかけるトランプへの危険な同一化もそれほどには起きていないかもしれません。気になるのは、

民主主義を呼びかけたリベラルエリートは、トランプとかれの支持者達からは、反民主主義の特権的一部とみなされたということが生じたかもしれません。民主主義を呼びかけるリベラル・エリートへの同一化が起きなかったように、現実には、反民主主義を呼びか…