ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演) ー その2

ブレヒト「屠畜場の聖ヨハンナ」の感想文 (東京演劇アンサンブル公演)
ー その2

「屠畜場の聖ヨハンナ」では、舞台中央にある装置に向かって投射された文字列が電報の如く走るのは、ツイッターを思わせます。資本の側にある新聞とテレビが必ずしも伝えてくれなくなってしまった、声なき声をいかに結集していくか、その問題をつきつけてくる芝居。劇団員たちはわれわれが直面している現代の問題を研究し、その問題意識を芝居に生かしました。
芝居が物語る食肉市場の投機。その前提に、市場に対する根拠がない依存の構造があります。31年世界大恐慌を招いたほどの、根拠もなく市場を過大評価した神話が、TPPの問題ーやはり根拠もなく市場を過大評価した神話ーとして問い直されたとき、東京演劇アンサンブルの聖ならざるヨハンナは、聖ならざる理性の介入こそを訴えていくことになりました。