スコットランドは、これから

 

スコットランドは、これから

スコットランドの独立の根底に、イギリス問題があります。スコットランドがモデルのひとつにしているアイルランドからみると、そうです。米国に仕えて地球の裏側までいく核搭載のトライデントにも、サッチャーとブレアの戦争にも、こういう英国の大英帝国の夢を追う国威発揚に、平和主義のスコットランド人からすると、自分たちの税金が使われていることは全く納得いきません。一方膨大な無意味な軍事費支出によって陥った財政難を理由に、一方的に福祉予算がカットされること(年金受給年齢スコットランド人の平均寿命より上に設定されてしまう可能性があること)に対する反発は、米国に仕えて地球の裏側にいく集団的自衛権の日本の将来において起きてくる反発かもしれません。他人事とは思えません
スコットランドが独立を要求する背景として(1)で述べた事実があるにもかかわらず、「民族主義エゴ」と非難する声が、イギリスではなく、EUの結束力を擁護する側から出てきたのはいささか驚きました。その根拠も、(第一次大戦を招いた多民族主義であった)オーストリアハンガリー帝国や(分割された小国の集合体であったために実効的支配が空洞化した)神聖ローマ帝国の失敗例を参照するというものです。ゲームの規則が変わったのでしょうか?EUの Small is beautifulという民主主義的多様性の精神はどこへ行ってしまったのか?EUは「帝国の構造」になり果てたのか?このようなEU擁護の言説は、きっぱりと、グローバル資本主義の荒波に対して自立できない「民族エゴ」の小国は寧ろ大国に頼れと説得するのですが、スコットランドはイギリスに頼れないからこそ独立しようとしているのに。イギリスそのものがグローバル資本主義という事実がみえていません。とにかくいかに反対の声があろうと、スコットランド国民投票の影響は、他のバスクやフランドールの地域だけでなく、ヨーロッパの外に、例えばクルドやケベックに及ぶことは必至。その場合注目されているのは、事実上中国から独立してはいる台湾が新たに国民投票によってその独立を宣言するという可能性です。同じように、アメリカが要求し安部自民党が受け入れようとしているTPPと(事実上米国のための)集団的自衛権の脅威に対して、日本はアメリカの主権から独立していることを宣言する国民投票を行うべきではないでしょうか!