日刊ゲンダイの元NHK永田浩三氏のインタビューを読む

日刊ゲンダイの元NHK永田浩三氏のインタビューを読む

 

国際社会からみれば、国の性奴隷の関与という事実に変わりなく、朝日新聞が責任を負うのは、誤報した部分的事実についてです。読者の信頼を回復するには十分かどうかは別として訂正もありました。とくに根本のところの、'語る民主主義'が台無しになってしまったとは思えません。一方われわれの当惑は、これを契機に読売と産経、安倍首相が事実全体を隠蔽できる権利をもつとでも信じ込んでいるという傲慢な彼らの自覚なき孤立に対して向けられています。歴史修正主義に沿って現在つき進んでいる方向というのは、対象の事実が一部でもかまわないし、場合によっては、仮に事実が存在しようがしなかろうが、どうでもいい事柄と受けとめるという態度です。外部の声を遮断し、凹の中の底に自分の全感情を埋め込みたいとする集合的な閉塞感が、安倍の官邸サイドと大手マスコミのもとに広がってきました。この根底に、隣国との友好な関係を築けない精神の不安定さがある点は指摘されています。それならば、小説・詩でも映画でも芝居でもいいのですが、そういう孤立を観察させるようなつくり方で、いかにそれに同一化することの無意味さを考えさせることが大切。これを隣国の人々と共有していくのです。永田氏は反権力の小さな演劇や映画に大きな関心があるようです。