ジャック・アタリ著「世界精神マルクス」を読み終えて

ジャック・アタリ著「世界精神マルクス」を読み終えて

現在は失望のあまり、このネットにも、あたかもよき時代を懐かしむ言葉が頻繁にながれてきます。しかし現在は、敢えてこのノスタルジーを捨てたいとおもいます。ジャック・アタリが指摘するように、二一世紀のグローバリゼーションは十九世紀のグローバリゼーションと非常に似てきたので、未来の生存戦略をかんがえるためには、現在十九世紀の思考を構成しなおすことには十分な根拠があります。つまり、'世界精神マルクス'、とアタリがよぶものです。この世界精神は、なにが真の平等であるかを示す規範的言語normativeを含むだけでなく(例、教育の無償化)、いかにこの平等を行うのかという行動を問う言遂行的言語performativeを含むことを知るのが大切です。さて真の平等を実現する革命はまず、投票に依拠すること、そしてその他の出発点はありえないにも関わらず、この出発点から革命が直面するのはこの問題です。すなわち、社会民主主義は、投票によって得た権力は、投票によっても失うという問題です。歴史的にいうと、第一インターナショナルは十分にこの問題を論じていませんでした。(また第二インターナショナルでは民主主義国家に革命は不要と決めつけていたのでこの問題がそもそも存在していませんでした)。1870年代以降、思想の「最後の闘い」において、マルクスはその解決を、(国家の奪取を目的とすることがなかった)、市民的蜂起であった'パリ・コミューン'の実践に沿ってかんがえてみようとしました。