選挙の前に何をかんがえるべきか?

選挙の前に何をかんがえるべきか?

1、アイルランドの独立が何を意味するかが切実に問われてくるのは寧ろ内戦を経た独立後でありました。Inventing Irelandとは文字通り(新興独立) 国家の発明を意味し、作家たちの想像力がこれに取り組んだのでした。これは、Inventing Japanのことを考えさせます。竹内好も、敗戦後の日本のあり方を問うたのです。
2、この発明にかんしては、アイルランドの作家たちにおいて奇妙な規則が発明されました。作家達はアイルランド文学の父として(なんと、彼らの'敵'である、植民地主義のシンボル的存在だった)作家スペンサーを想定しました。これはアフリカ作家たちがコンラットをアフリカ文学父としたアンチーオィデプス的戦略とパラレルでありました。オリジナルなもの(父=起源)と同一化することの無意味さに訴えたというわけです。(これと比べることができるのは、近代を、音声優位の言語学とともに脱構築しようとした、漢字エクリチュールの時枝の漢字論でしょうか)。
3、さて、竹内好が侮蔑した「ドレイ的日本」は、もし植民地をもたなかった近代日本は無に等しかったのかという問いを含みました。彼の決定的な発明は、方法としての<東アジア>にありました。脱〈帝国〉化の非軍事的な平和主義的国家日本こそが、歴史的な〈負〉の遺産を負いながら、世界史にプラスの価値の徵を与えると主張したのです。最後に、選挙の前に何をかんがえておくべきか?です。安倍の権威主義体制は、東アジア諸国の民族主義的対立の原因です。呆れたことに、このトラブルメーカーの安倍は対抗的に自らの軍国主義を拡大再生産して答えているのです。日中の間で、悪循環の恐怖、歴史修正主義軍国主義を解き放っています。そして現在「帝国」の言説が、竹内の方法としての<関係>の多様性を、全体主義の抽象的な平均に置き換えようとしているのです。