『「近代の超克」とは何か 』(子安宣邦氏、青土社 2008)

『「近代の超克」とは何か 』の目次

(子安宣邦氏、青土社 2008)


‪昨夜数えてみたら、本箱に子安宣邦氏の本が25冊あった。そのうち中国語訳される7冊を以て全集を為す。近代日本という物の見方とは異なる見方として、大まかにいうと、子安氏の本のその半分がアジアから批判する<外から>解体する見方で成り立っている。今週再び読もうとしている『「近代の超克」とは何か』もそういう一冊である。そしてあとの半分は、江戸思想から批判するという、<先行する>近世から近代日本思想を解体する見方で構成される。<外から>の視点と<先行する>歴史からの視点は、おそらくは『漢字論』によって、よく関係づけられているようになっているとおもっている。ただそれは都知事が好きなアウフへーベンという意味ではない。はじめて全集をもつ国の人々が<外から>の視点と<先行する>歴史からの視点の間の開かれた関係を語ることができるのだろう。恐らく十年の間に、もっとはやいかもしれないが、中国から、『われわれは<解体された近代日本>を一緒にどう読むのか』という本が出るだろうか。そうだとしたら、そのときは隣国の友人たちとともにこの自分に読む十分な力があるだろうか。