フーコ『言葉と物』

‪フーコなんかが言っているようなことは全部、ウィットゲンシュタインが言っているよという人が結構いるけれどね。ウィットゲンシュタインの名をあげるまでもない。ressemblance 類似物、similitudes 相同は、さんざん論じられていた陳腐なテーマである。だけれど、discours言説としてそれらを語ったのはフーコが最初だった。思想史はこれらの言説をもたなければ、des identités et des différences 同一性と相違性の言説で構成される表象の時代が成り立つことがなかったのである。‪表象によってみる見方が確立されてくるということ。先取りして言うと、表象という一度確立された物の見方のなかでこれとはべつの見方が出てくるのは難しいが、経験的領域があらわれてくる。表象の限界から、先験的=経験的二重体の人間の言説が出てくる‬。言説が言説を読むことは、表象の時代の終わりに、自ら本となって自らの物語をかたった本を読むドンキホーテのことが予告されている。