エイゼンシュタイン『イワン雷帝』

変なものができあがったなあ、と、『イワン雷帝』は意味が問われる記号。エイゼンシュタインの「西」の経験の意味はなんだったのか?映画のなかで描かれたロシアは自らに向かって、「第三のローマがわれわれだ。第四のローマはない」と繰り返し宣言する。そのロシアからみたポーランドの圧倒的洗練さに驚く。ロシアはヨーロッパではない。「野蛮なロシア人をアジアに追放せよ!」。文明は西からやってくるということだが、単純ではない。その東のなかに更に東西の分割があるからである。だが最も西に位置するアイルランドは"東"だったかは映画からは判断できぬことだったが、ヨーロッパの端と端は繋がっているみたいだから複雑で中々面白い