ゴダール『フォーエヴァー・モーツアルト』(For Ever Mozart 1996 )

‪『フォーエヴァー・モーツアルト』(For Ever Mozart 1996 )は、仏語の「pour rêver Mozart」(「モーツァルトの夢をみるために」の意)に聞こえるのは『フィネガンズ・ウエイク」の書き出しを思い出す。徴は至る所に。凡庸なものに読み解かれるのを待っている。だけれど新しい時代の<オリジナル>の鋳造に絡みとられるよりは、不快・不解に留まって、深く読み解かず、愚鈍に見るだけで、 <オリジナル>をさがさせる言説から離れたほうがよい。オリヴェイラの言葉がひかれる。「ともかく私は、概して映画のそこが好きだ。説明不在の光に浴す、壮麗な記号たちの飽和」。映画はサラエボボスニアのイメージをもっている。だけれど「カラビニエ」(1963)のように、戦争と死が示されてはいない。大地の言語が湖を覆う。ゴダールの母の名を記した墓。廃墟の <オリジナル>無きイメージが成り立っている。寧ろそこで自己の人生を回想するのだろうか?モーツァルトは音楽によるヨーロッパの和解を体現しているf:id:owlcato:20190406180926j:plain