ベジャール


最後は「ニジンスキーの日記」を舞台化した作品だったが、初めてベジャールの舞踏をみたのはニーチェに関わる作品だったと思う。そのときは、幕が上がったら踊りが始まるのかと思ったのに、そうではなかった。ジョルジュ・ドンをはじめダンサーが一人ひとり本を読みながら時間をかけて円に沿って歩みすすむのを見た。テクストの舞踏。思想を動きに変容させる安定さを奪うような、音楽に委ね切った動きは野獣をおもわせた。それなのになんだろうか?アイロニカルに、その死は人間よりも尊厳がある...