2015-01-01から1年間の記事一覧

ロンドンに来るジジェクの使命は何あったか?ヒューマニズムこそがスターリニズムだと告げにくるだけではない...

ポストモダンの共産主義から、ポストモダンのモダン化という不気味な教説が本屋の棚に並んでいるのは本当に不気味だ。地層を形成している書棚の表層は売れ筋の人気の本が占める。左だか右だかわからぬ、したがって右とみなすのが妥当であるアジアの共産主義…

フェルメールの耳飾りの少女

VERMEER 映画の主人公にもなった描かれているこの少女は、家政婦として雇われていたがフェルメールの助手になるらしい。ところで当時のアムステルダムには、セファルディムSephardim ーディアスポラの人々でスペイン・ポルトガルから来た商人の比較的裕福な…

「心斎橋大丸と青山学院の建築原図展」を見学した

「心斎橋大丸と青山学院の建築原図展」 きょうは北夙川不可止さんのご案内のおかげで、歴史的な日本アールデコ建築の美しさを発見いたしました。前と後のことを想像しました。この大正建築が誕生する<前>に、これを懐胎していた世界アールデコの理念は何であ…

貧富の格差と戦争

第二次世界大戦前ほど金持ちが金持ちになり貧しいものは貧しくなった時代はなかった。貧富の格差のことである。映画監督ヴィスコンティーが描いたようにたとえ地獄に墜ちることになる真っ暗な未来だとしても、なんやかんやいってもやめられないのは、戦争は…

今日はジャン=リュック・ゴダールの誕生日・・・

今日はジャン=リュック・ゴダールの誕生日・・・ 『映画史』(Histoire(s) du cinéma、「単数(複数)の映画史」の意)は、ジャン=リュック・ゴダール脚本・監督による、1988年 - 1998年の間に断続的に製作および発表され1998年に完成した。翌年の1999年に…

「邦無道、危行言孫 (邦道無くれば、行いを危しうし、言孫(したが)う)」 (「論語」憲問第十四第4章)

「邦無道、危行言孫 (邦道無くれば、行いを危しうし、言孫(したが)う)」(「論語」憲問第十四第4章)大意 (君子は道を枉(ま)げるべきではないが、極言して禍を招くことは避けるべきである。伊藤仁斎) 「監獄の誕生」はあまりにも、ノンポリの社会学者たちに委…

イギリスがシリアを空爆、という新聞の見出しを今日読んで

イギリスがシリアを空爆、という新聞の見出しを今日読んで 一番よい解決は現地の人々がテロ組織を撲滅すること?だが、それを指摘する識者によれば、良い悪いは別として、現存のテロ組織は西欧に対する一定の軍事的対抗勢力として現地でそれなりに支持を得て…

「たまには、『なまけ者』になるのも生きていくには必要」 ー 戦争体験をもつ人の言葉の意味はなにか?

「たまには、『なまけ者』になるのも生きていくには必要」 戦争体験をもつ人の言葉の意味は何か?権力妖怪から自立した『なまけ者』になろうということではなかったか。テロと戦いの勝ち負けにあまり思い詰めずに...、あまり思い詰めると、「ゲゲゲの鬼太郎…

Chomsky

What’s your reaction to the attacks in Paris earlier this month, and what do you think of the current Western strategy of bombing ISIS? The current strategy plainly is not working. The ISIS statements, both for this and the Russian airline…

ダブリンの反戦デモ

ヨーロッパEUとの関係よりもアメリカとの経済関係をどんどん深めていったいわゆるバブル化の時代にあって、当初、アイルランドでは、シング、ジョイス、ベケットの文学、(年間5本程度を生産する)マイナーなアイルランド映画の歴史、そして80年代に世界演劇が…

自由を言う言葉と意志

このままではファシズムになるよと危惧する言葉を読むと、もうファシズムになっている事態にまだ気がつかないのかと呆れてしまう。国会前の抗議に行って、全体主義反対!と叫んだら孤立するか囲い込まれてしまうかもしれないほど日常の隅々まで、自由を言う…

ダブリン女性の言葉

この写真を見たときに私に語ったダブリン女性の言葉を忘れることはないだろう。「現在ここに女性たちが囚人になっている」という言葉の意味を知るためには、独立後の新国家のナショナリズムのもとで女性たちが抑圧されることになった事情を知る必要がある。…

「有徳者必有言」 (「論語」憲問第十四) について

「有徳者必有言」(「論語」憲問第十四) 現代語訳「徳ある者は必ず言有り」 「だが言葉がなくてはならないときに言うものが有徳者である」(伊藤仁斎の大意、子安氏訳)。ここで「有徳者」という言葉がやはり近代のわれわれにはひっかかかる。2500年前の孔子の…

PANOPTICON

現在ダブリンに植民地時代のパノプティコンが博物館として残されていています。ここで、この雰囲気を利用して、シャークスピア「テンペスト」が上演されたそうです。初期のタイプのこのパノプティコンは、罪を犯したら(買ったら)罰で償う(罪の価格通りに支払…

作家の問題を構成するのか、それとも作家が住処としている近代の問題を構成するのだろうか?

だから言語(ランガージュ)は、透明であるためにのみ実在し、十六世紀に判読すべき言葉(パロール)として言語に厚みをつけ、言語(ランガージュ)を世界の物ともつれあわせた、あの人知れぬ手ごたえを失ってしまっていた。しかもまだそれは、今日われわれが自ら…

Zizek on The Paris Attacks and Refugees ー西欧の外部の悲惨に対しては人間的感覚が麻痺しはじめたのではないかということを心配しております。

パリのテロ攻撃に巻き込まれた死んだ人々に同情することは尊重すべき人間的な感情だとはおもいます。しかし関心がパリの悲惨だけに留まってしまうとき、あえて言うと、その不幸な出来事はたった一日だけのこと。他方で米国とヨーロッパの中近東攻撃とそこか…

ダンスの意味とはなにか?映画が照明で光を書く芸術だとしたら、ダンスとは身体で距離を書く芸術といえるのではないか。そんなことをピーナ・バウシュの演出をみておもうのであった

恵比寿時代は六本木の映画館では彼女の映画を観ていましたが、ピーナ・バウシュPina Bauschの『カフェ・ミュラー』をロンドンの舞台で実際にみたとき、ダンサーというのは、空間の距離を占拠している椅子たちを蹴散らすエイリアンのようだときがつきました。…

大阪をおもう...

大阪をおもう... 勉強不足で大阪のことはよく知っているとはいえません。間違いを恐れずにいうと、大阪の事情に即した多様性の要求に沿った結果ではなかったかと考えました。だから厄介なんです。もし橋本を否定しきってしまうと(追放すると)東京の近代的中…

THE OBLIQUE CITYー身体と建築との間の関係を問うこの問いから、現代建築が自らを斜線としてのあり方として自己規定するに至った思考の歴史を考えることになりそうです

THE OBLIQUE CITY 建築家だから必ず図面を引くかというとしそう単純なことではないようです。例えばカントは建築家として通用する知識をもっていたということがポストモダン建築家から指摘されていました。難しいですが、人間学の哲学者は哲学の建築を書いた…

FOUCAULT; L'homme et ses doubles

FOUCAULT; L'homme et ses doubles 博物学が生物学となり、富の分析が経済学となり、なかんずく言語(ランガージュ)についての反省が文献学となり、存在と表象がそこに共通の場を見出したあの古典主義時代の<言説(ディスクール)>が消えたとき、こうした考古…

「左翼リベラル」はいかにサバイブするのか?

「左翼リベラル」はいかにサバイブするのか? こういう政治的な事柄はリベラル派憲法の教科書には書いてはいなかったが、護憲「左翼リベラル」が自民党政治の前近代的権威体制の内部改革を求めるとき不可欠だったのは、米国からの圧力だったのだ。だから求め…

吉本隆明

吉本隆明 人間は自分の権能が及ぶ範囲の事柄については配慮することができますけれどね、常の事として、自分の権能が及ばない範囲のところではどうしようもないことが起きてしまいます。圏外の事に関しては責任を感じるまえに自己の無力を感じます。というか…

「我考える、外部に, 我存在す」

ホホー、父親の眼差しから、最近母親の眼差しに似てきたと不安に駆られた男がプロフィール写真にいきなり侵入してきたが、みなさんの梟猫は元気ニャッ。リア王もこうして外に追放されたときみたいな心境だったのかな..。と、なんだか世の中はねー、なんでも…

裁判所は秘密保護法を違憲であると積極的に判断すべきだとおもいます。権利のない国に反対です!

権利のない国に反対です! 裁判所は何が法であるかを発見し法を適用します。その法が憲法の「法」である場合が、憲法裁判(違憲裁判)です。しかし裁判所は国 (立法府の国会)に委ねるのが民主的だと考えたときは何が法であるかという憲法判断をあえて回避する…

「イタケ」挿話、「人間とその分身」、「「漢語」とは何か」

市民大学講座「20世紀精神史」のときだったかはっきり覚えていないが、東大文学部時代の同級生丸谷才一と一緒に授業を抜け出しては駒場喫茶店でそれぞれが相手に向かってフランス文学史と英文学史について喋りまくったという思い出話を池袋駅喫茶店で渡辺一…

Itacha Ulysses

ITHACA, JOYCE ' ULYSSES' 1 What parallel courses did Bloom and Stephen follow returning? ブルームとスティーブンは帰途いかなる平行線をとったか? Starting united both at normal walking pace from Beresford place they followed in order named L…

リアルなものー消すことができない痕跡

リアルなものー消すことができない痕跡 アメリカのようにイギリスでも原理主義ブームが吹き荒れていて、当時、'やさしい聖書入門'の類の本がベストセラーであった。ロンドンのICA講演会のとき、これを憂う聴衆からの質問にたいして、ジジェクがあたえた答え…

第三次世界大戦前夜、ホントか?かくも反復してくる、世界の不条理とは何か?

ここで正直私はどれくらいアイルランドでの限られた経験と知識をイスラムに適用していいのかよくわからない。戒むべき大きな誤解もあるはずだ。だが間違いと非難を恐れて何も言わぬことはできないと考えるようになった。第三次世界大戦前夜とはホントか?か…

パリ同時爆破事件の意味

パリ同時爆破事件の意味 2005年ロンドン同時爆破事件では、当初はイギリスが戦争している勢力による組織的テロだと一方的に報じられたのですけれど、国外で軍事訓練をうけたアラブ系「イギリス人」が実行犯だということがわかってきました。中には小学校で先…

現代語訳「古事記」ブームの意味

Le philosophie est une lutte contre la maniére dont le language ensorcelle notre intelligence. (1921,Wittgenstein) 現代語訳「古事記」ブームの意味はなにか? 21世紀において、これからだれが、哲学の脱神話化と覚醒の意義を言ったウィットゲンシュ…