2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

フリール「トランスレーションズ」

我々を形づくっているのは文字通りの過去、つまり歴史のいわゆる「事実」というものではなく、言語の中に具体的に現れた過去の姿だということだ。ジェイムズはこの区別をやめてしまったのだ。我々は言語の中にある過去の姿というものを新たに作り出すことを…

プルースト、フリール、平田篤胤

プルースト、フリール、平田篤胤 プルーストが言及しているケルトの信仰をアイリッシュの知識人は喚起しているのは、それが、ブライアン・フリール戯曲「トランスレーションズ」の理解ー言語と世界の関係ーに欠かせないからである。この点に関して、時間がか…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.38

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.38 ’けれども彼がまだ持ちこたえているのを見た魂は、持ちこたえてい理由があるはずだと認めなければならず、その理由を持ち出して、それが通用することを懇願する。時として、あらゆるものの、そしてわれわれ自身の存…

原発問題の現在

「原発は安全だ」「原発は安全でない」「資本主義のもとで原発は安全であり得るのか」、と、議論されてきました。自民党の原発<体制>という全体がみえてきた3・11の前には、政財官司マの原発<体制>に対して、小さな声が大切なことを自由に喋らせてく…

恵比寿でクロード・ルルーシュ『男と女』(Un homme et une femme)を観た

恵比寿でクロード・ルルーシュ『男と女』(Un homme et une femme)を観た。 1966年制作だが、今のフランスとあんまり変わらないという印象をもってしまった(停滞してしまったのか、あるいは進みすぎていたのか?)久々に、視線は観念に先行するという、言…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.37

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.37 ”まったく矛盾しつつも心から、われわれはその願いを抱かずにはいられない。その願いこそわれわれの魂を瞬間的に描き出すものだからだ。魂はその男が落ちるだろうと、落ちるべきだと、落ちるはずだと思い、自らのう…

ジェイムス・ジョイスの世界 No.24

ジェイムス・ジョイスの世界 No.2 ブルームは目的地に到着していかなる行動に出たか? What action did Bloom make on their arrival at their destination? エクルズ通り七番地の等差奇数の四番目の入口上り段で彼は機械的にズボンの尻ポケットに片手を入れ…

憲法の原初をかんがえる

トマス・アクナスは消滅してしまう魂の問題を死滅しない存在の問題として置き換えた。が、消滅という問題は新プラトニズムの神秘主義において扱われる。身体のかたちに魂が映像化されていると想像してみると、ブルーノBrunoが考えたように、右足と左足、右手…

エティエンヌ・バリバール Étienne Balibar

Étienne Balibar défend le droit de cité des étrangers en Europe soutenant que la « frontière est, comme l'armée ou la police, une institution non démocratique qui accompagne paradoxalement la souveraineté du peuple C’est ici que la (ré)int…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 25

言葉と物のコンパクトな世界 No. 25 最後に飛び散った「部品」こそーその消滅が永遠にわれわれから古典主義時代の思考を遠ざけたのであるがーまさしくそれらの格子の最初のもの、表象をまず自然発生的かつ素朴なかたちで表(タブロー)として展開することを…

ジェイムス・ジョイスの世界 No.23

ジェイムス・ジョイスの世界 No.23 As in what ways? たとえばいかなる面において? From inexistence to existence he came to many and was as one received;existence with existence he was with any as any with any; from existence to nonexistence …

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.36

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.36 " この望みは二重であり、しかも無効である。われわれは彼(綱渡り師)が落ちてほしいと願い、われわれは彼が持ちこたえてほしいとも願うしかもこれは欠かすことのできない願いだ。" • 映画では、映像「腕と肩と頭…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 24

言葉と物のコンパクトな世界 No. 24 普遍主義の原理は、原理主義の原理と深い関係があるのではないか。この原理主義は近代が排除したものを復活させたというのは嘘だと思う。存在しているのは、近代の原理主義しかないのだから。近代の原理主義とは教える知…

ジェイムス・ジョイスの世界 No.22

ジェイムス・ジョイスの世界 No.22 What reflection concerning the irregular sequence of dates 1884、1885、1886、1888、1892、1893、1904 did Bloom make before their arrival at their destination? 1884、1885…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.35

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.35 ’綱渡り師がもっとも不安定な平衡状態に陥っている間、われわれは願いをかける。’ ・(「恐らく「綱渡り師」をあらわす」)一本道を真っ直ぐ走っている男の姿と組み合わされるのは、(「不安定な平衡状態をあらわす…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 26

同時代的に、ただフーコを紹介し、そしてただフーコへのドゥルーズ批判を紹介するだけでは足りない。と、これは他人事ではなく、自分自身にたいして、自己批判を込めて書くのである。たしかに、「監獄の誕生」からはっきりしてきたことだが、権力批判が問題…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.35

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.35 '急ぎ足でわれわれに歩み寄ってくる歴史もあれば、のろのろとわれわれに同伴する歴史もある’ (フェルナン・ブローデル) ・「映画史」Histoire (s) du cinémaは、理念としての、複数形で書く歴史

言葉と物のコンパクトな世界 No. 23

言葉と物のコンパクトな世界 No. 23 諸表象の列(人間の精神のなかに展開される厚みのない時間的系列)を分析してそれを転換せしめ、それを永続的表(タブロー)のかたちに固定し展開し分布させる、格子の体系全体は、すなわち、語(ディスクール)、特徴(…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.34

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.34 ”人間としての人間は、まさに創造者であるが、創造されたた創造者だ。われわれは希望のうちに救われるが、この希望は真実である。時間は行為を破壊するが、行為とは時の裁き手なのだから” ・「庭」のイメージを構成…

N+1番目の「論語」

だれがN+1番目の「論語」を読むのか? 「論語」について誰もあまり言わなかったことをここで書きますと、この原初テクストは運動です。「論語」は無限の速さと遅さをもっています。象徴的にいうと、「論語」を構成している、コンパクトによく統御されたその…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.33

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.33 ”「われわれ」という考えの賛同者たちは、個人について誤りを犯している。世界の諸矛盾はあらゆる存在の根源をなす方程式のなかにある。Xとは個人であり、創造的要素であり、計量化不可能な自由だ” 映像が言葉に先行…

私は未来を思い出している ー 分裂というのは統合を前提にしている。ドイツだけではない。明治三十年代の統合としての民族概念を前提にして、国民の分裂があったこと

Wenn also die philosophie bei einem volke hervortreten soll so muss ein bruch geschehen sein in der wirklichen welt. Die philosophie ist dann die versöhning des verderbens das der gedanke angefangen hat. Si donc la philosophie doit se prod…

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.33

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.33 ’個人こそが、すべての創造的決定を下す場所である。つまり、あらゆる世界的動乱も、私に向けられた問題とさして変わらず、そんな問題は、私に行動を強いる瞬間からしか、私にとって明確なものとはならないのだ’ 言…

ジェイムス・ジョイスの世界 No.21

ジェイムス・ジョイスの世界 No.21 " Perhaps the style's greatest achievement, in this cosmic episode, is the poetic rendering of the vastness of the spaces within which Bloom, Stephen and Molly are deployed. Science and literature, the two …

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.32

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.32 ’フランスで精神活動が刑罰に値するものに、再度ならないものかと願うことも時にはある。そうなれば、自由な精神の向きに、少しばかりか深刻さを取り戻させることにもなろう’ ・獄中の人物が自分の手を見つめる映像…

ハンナ・アーレントの言葉は再びズシリと重みをもって私をとらえるのでありました - 。「どんなに人間が互いに兄弟たりえようとも、それは兄弟殺しから成長してきたものであり、どんな政治組織を人間がつくりあげてきたにせよ、それは犯罪に起源をもっているのである」

この一年間洋書コーナでさがしていたのに、本箱を片付けていたら出てきましたよ。25年前にニューヨークに行ったときに買ったのでしたっけ、こういう表紙でしたか?兎角、早速、気になっていた、「戦争と革命」というタイトルの序文を読みました。存在に注…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 22

言葉と物のコンパクトな世界 No. 22 渡辺一民氏は、安倍晋三は全体主義があっという間に広まったあの時代のことを全く知らないのだと怒っていた。このとき渡辺氏は、青年時代を思いかえして、フランス文学をやっているのは生意気だという理由で右翼軍人から…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 21

言葉と物のコンパクトな世界 No. 21 「私にとって決定的だったのは、サルトルが戦前に書いたバタイユについての論考を戦争後になって読んだことだった。サルトルの論考は、無理解、不当、尊大、憎しみ、そして攻撃性の見本のような代物だったので、その時以…

言葉と物のコンパクトな世界 No. 20

言葉と物のコンパクトな世界 No. 20 Et comment, après tout (sinon par une technique laborieuse et lente), retrouver le complexe rapport des représentations, des identités, des ordres, des mots, des être naturels, des désirs et des intérêts, …

ジェイムス・ジョイスの世界 No.20

ジェイムス・ジョイスの世界 No.20 ブルームは過去の夜間逍遥において同様の諸問題を論じたことがあったか? Had Bloom discussed similar subjects during noctural perambulations in the past ? Had Bloom discussed similar subjects during noctural pe…